時代だねぇ。
選挙でSNS通じ真偽不明の情報拡散、「懸念感じる」が85% 共同通信世論調査
2024/12/15 21:13
共同通信社が14、15両日に実施した全国電話世論調査で、選挙期間中に交流サイト(SNS)を通じ、真偽不明の情報が拡散する懸念について「大いに感じる」「ある程度感じる」とした回答は計85・5%に上った。
産経新聞より
産経新聞もSNSを叩く流れで記事を書いているんだけど、違和感を感じる方も多いはずだ。でも、「真偽不明の情報が拡散する懸念」に関しては多くの人々が感じていると思う。
変わる選挙のあり方
エコーチェンバー
良い面も悪い面も凝縮されているのがネットの世界である。僕のブログを含めて、真偽不能で玉石混交の情報が飛び交うのが特徴で、SNSはエコーチェンバー現象を起こしやすい。

ちょっと恣意的な図ではあるが、エコーチェンバー現象とは概ねこんな感じの印象でいいと思う。
こういった話は、ネットの黎明期から結構確認されていた。一時期流行ったミクシィなども「鴨の養殖場」と揶揄されているほどだし、記事にあるように新興宗教のような印象でもある。某党の周りはこんなのばっかりだし。
「エコーチェンバー」極端思考が仲間内で加速…抜け出した男性「集団はカルト宗教のよう」
2023/09/19 12:12
ネット空間の問題の一つ「エコーチェンバー」。SNSで自分と似たような関心を持つ人々とつながる結果、同じ考えばかりが目に入り、思考が極端化していく現象だ。
讀賣新聞より
ただ、エコーチェンバー現象は別にSNSだけに起きる減少ではなく、記事にあるように新興宗教のセミナーなんかでもよく使われる手法である。
そして、実際にネットではこういったリスクは起きやすいのだということだけは念頭に置いておいたほうが良い。
動画サイトはわかりやすい
こういった話とは別にショート動画とか解説動画などは、騙されやすい人は特に気をつけて欲しいと思う。
SNSや動画サイトが選挙に与える影響について「大きくなると思う」「ある程度大きくなると思う」との回答は合わせて91・6%に達した。
動画を重視した国民民主党が先の衆院選で躍進し、兵庫県知事選や名古屋市長選でもSNSを駆使した候補が勝利しており、今後、選挙でのインターネット利用の在り方が問われそうだ。
産経新聞「選挙でSNS通じ真偽不明の情報拡散」より
「ネットで真実を知った」などという名言が生まれたが、ネットで「真実はこれだ!」という宣伝のされ方をすると、なにか本当のことを語られているように感じてしまうことはある。
「ネットで神を見た」(正確には、Q.あなたは神を信じますか? A.インターネットで見たという流れである)というミームを知っている人には、アホらしく感じるネタではあるが。
尤も、そういった弊害はあれど、わかり易く解説してくれるサイトは有り難いし、国民民主党の玉木チャンネルなどは、情報が正確かどうかはさておき同党が何を目指しているのかはしっかり理解できる。そういった、ツールとして使うのは実に有用だと思う。
逆に、間違っているというのであれば、解説動画でどこが間違っているかを説明すれば良いのである。もう、そういう時代になっているのだ。
また、未だに街頭演説のために、候補者があちらこちらに訪れて演説を行っているが、ああいった連呼する選挙方法にも疑問を感じている。
一体感を得るために行っているという意見もあるが、辻立ちで演説をするのではなくて、箱を用意して解説するようなやり方にしないと、セキュリティ的にも問題があるように思う。キチンとした建物の中でなくて公園などでも良いかもしれないが、とにかく閉鎖空間で演説ができるようなスタイルにすべきだと思う。
動画の利用は紙一重
ただ、この話は政策の良さ悪さではなくて、動画作成能力の旨さで選挙が決まってしまうおそれがある。
産経新聞は「兵庫県知事選や名古屋市長選」を事例に挙げているが、僕に言わせれば兵庫県知事選挙はメディアの敗北だし、名古屋市長選挙は河村氏の戦略であってSNSはむしろおまけだったと思う。
それよりもコチラで紹介した話。
ルーマニアの件とモルドバの件だね。ルーマニアは裁判所が「やり直し」の判断を下したが、それはそれだけの証拠があったということでもある。巧妙に隠されてしまえば、早期の発見は難しいということになってしまう。
だが、こういったネットにおける選挙の影響というのは避けられない状況になったのも事実だ。既に、テレビのような一方通行のメディアは、高齢者にしか利用されなくなりつつある。正直、僕自身も自発的にテレビをつけるようなことは、年に2~3度あるかないかだ。それも、台風情報や地震速報などを確認する程度の用途にしか使ってはいない。
新聞など、取らなくなって久しいしね。
良くも悪くもインターネット上の情報の拡散が、主流になりつつある。これは、オールドメディアが使えなくなったという意味ではなくて、シェアが逆転しつつあるという意味だ。
既存メディアは、自らの強みを活かした生存戦略を練っていくしかないわけで。
そういう背景をベースにした選挙戦略を練ることは各政党に求められるし、外国勢力に酔って選挙が歪められるようなことがないように注意が必要である。今や、オールドメディアの方が外国勢力に歪められている疑いが強いのだけれどね。
その上で、虚偽情報の発信だけはなんとかフィルタリング出来るようにして欲しい。「真偽不明の情報」はともかく「明らかに虚偽である情報」は宜しくない。ファクトチェック機関などは幾つか見かけるけれど、それ自身がファクトではない情報をバラ撒いているから質が悪い。
僕自身も最低限、一次資料にあたるようには注意しているつもりだけれど、案外、思い込みで書いてしまっていて、後からコメント頂く展開もままあるんだよね。
よって、各自に気をつけるように、というのも難しいだろう。
インターネットを使った選挙
当然ながら、政府としてもその辺りには気を遣っているようで。
総務省からはこんな案内が既に出ている。
とはいえ、コレを見ると、結構矛盾点も多いように思う。


まず、メールを使った選挙運動はNGという点。イメージとしては戸別訪問NGに近いものがあるので、なんとなく理解はできる。でも、SNSを使った運動と何が違うのか良く分からない。
また、年齢規制もネット上において意味があるのかどうか不明だし、印刷物の配布禁止も果たして意味があるのかどうか。誹謗中傷やなりすまし等の4類型は特に異論はないけれど、選挙運動の方法に関する規則に関しては、ネット以外の選挙運動を含めて相変わらず謎ルールが多い。
例えば、18歳未満の選挙権のない人の選挙運動は禁止されているが、何故か外国人による選挙運動は禁止されていない。……なんで?
そろそろ公職選挙法そのものを見直す必要があるのではないか。
ネット投票は可能なのか
さて、最後になるが、ネット投票について。
エストニアの人口は136万人程度。有権者総数が96万人程度だとされているので、先ずは人口規模が違う点は念頭に置く必要がある。が、遠隔地から投票できるというのは、有権者に対する利便性という点では優れていると思う。
エストニアのインターネット投票システムは、高度な技術的セキュリティと制度的な信頼性確保の仕組みを備えている。すべての電子投票には有効なデジタル署名が付与され、投票箱には暗号化された投票者の意思表示のほか、デジタル署名、証明書の有効性確認、タイムスタンプを含むファイルが別々に保存される。これにより、投票内容の改ざんや不正な追加を防止している。また、投票操作は専門家によってリアルタイムで監視されており、システムの機能に関する詳細な監査が定期的に実施されている。2021年には経済通信省の委託によりKPMGがプロセス監査を実施し、投票の高レベルの秘密性、情報システムの耐性、セキュリティスキームの強度、投票者の独立性が確保されていることが確認された。
~~略~~
このような状況において、公職選挙法で定められた国民の参政権行使の手段である選挙についても、同様のデジタル化対応を進めるべき時期に来ているのではないか。マイナンバーカードによる本人確認と電子証明書の仕組みは、エストニアのIDカードシステムと同様の機能を有しており、インターネット投票の技術的基盤として活用できる可能性が高いといえよう。
第一生命研究所のサイトより
結局は個人認証の問題だとは思うが、マイナンバーを利用すればスマホから投票できるのではないか?と指摘されており、その通りかなぁと。それが良いかどうかはまた別なんだろうけれども。
投票行動くらい、自分の足で投票場所に行ってやれと思わなくもない。選ぶ者の責任として、それくらいはやって然るべきだとは思うのだ。だが、入院していたり移動のための足を確保できない方も一定数はいるわけで、その辺りは緩和されても言いようには思う。
結局のところ、様々な技術が進んでいるのだから、それを活用できるように社会を変えていく必要はあるのだと思う。
追記
なお、オールドメディアの方々は何か勘違いしている模様。
「SNS無視できぬ情報源に」「物語性必要、リスクも」「第三者の拡散、選挙戦左右」 ネット選挙解禁11年、民意どう形成、課題
12/16(月) 9:32配信
インターネット選挙が解禁されてから11年。X(旧ツイッター)やユーチューブなど、交流サイト(SNS)を活用した選挙活動への注目が急速に高まっている。既存政党の戦略や有権者の投票行動が大きく変化する中、民意はどこへ向かうのか。
Yahooニュースより
記事の中身自体は、色々な専門家に話を聞く構成になっていて、偏りはあまりなかったようには思うのだけれど、タイトルが如実に47NEWSの本音を物語っていて苦笑せざるを得ない。
えぇ?「民意どう形成、課題」って。
オールドメディアは、民意を恣意的に形成してきたんですかね?それはかなり問題では?
コメント
いわゆる社会の出来事を伝える情報伝達に 完全なニュートラルは まあ不可能であって、何らかのバイアスやノイズが掛かってしまうのが普通
受け手側として、このバイアスやノイズの影響を下げる最も一般的かつ効果的な方法は、サンプル数(n)増し。
ネット情報のクズ度は、まあ個人的主観としてはオールドメディアより多い(笑)
しかしnは増やし易く、何よりこのn増しでクズが消え易い すなわちランダムベクトルであること。
オールドメディアが信用ならないのはn増やしても殆どベクトルが変わらないこと。
この理由は彼らの主張に基づけば、オールドメディアはもともとニュートラルだからとの事だが、、、
これって人間には不可能なことを自分らはしているという主張だし、これ迄の言動、ヤラカシの数々からして
共謀して捏造をしていると推定するのが自然ですわな
書き手の思惑がどうしても乗ってしまうので、偏向しないというのは結構難しいと思います。
というか、立ち位置をハッキリして頂ければ、受け手は然程困らないと思うんですが。
そして、オールドメディアは揃いもそろって左派寄りというのが、困ったモノであります。産経新聞ですら、あの様ですからねぇ。
こんにちは。
>オールドメディアは、民意を恣意的に形成してきた
そりゃ、今までやってきたから……
新聞とか、言うなればプッシュ型情報源で、読者からのリアクションは基本ないし、その当時の読者も情報源は新聞だけだから、アジり易かったでしょうね。
それがテレビになっても同じ事で。
結局、SNSは情報の拡散速度と、情報源がマルチ化する、情報に個人の見解がついた状態で拡散する、特に、オールドメディアが毛嫌いあるいは故意に黙殺する「その筋のご意見番」の意見が拡散される、これらがオールドメディアがなしえなかった、これをされると死んでしまう弱点を狙い撃ちしてきているわけですよね。
世界情勢もそうですし、流通形態もそうですし。情報伝達についても然り。
今は、全てにおいて、転換期なのだと認識を新たにする次第です。
こんにちは。
民意を形成するのは、メディアだという自負があるのでしょうね、未だに。
そして、そこが信用を失うポイントなんですが。