予算は通したのね。
韓国国会、予算案可決、野党が一方的に規模縮小
2024年12月10日午後 8:50
韓国国会は１０日、最大野党「共に民主党」が政府・与党の同意を得ずに規模を縮小した来年度予算案を可決した。
ロイターより
何故、この記事を取り上げたのか？というと、予算案可決の方法が凄かったからである。
無責任予算
来年度予算案の中身
先ずは、この記事を取り上げる切っ掛けになった記事を紹介しておこう。
凄いタイトルだな！
ご存じの通り、韓国国会は混迷の極みにある。その理由は、大統領であるユンユンが自己クーデターを起こしてしまったからだ。
韓国大統領のユンユンが非常戒厳の宣言に至った理由は、未だ本人の口から詳らかにされてはいないのだが、大凡のことは想像が付く。
１つは、与党主導での政治が出来なくなってしまっていることで、１つは、韓国経済が終わっているからである。
国会は野党が多数派を占める。政府は６７７兆４０００億ウォン規模の予算案を提案していたが、共に民主党が６７３兆３０００億ウォン（４７０６億ドル）に規模を縮小した。賛成１８３、反対９４で可決された。
尹錫悦大統領は今月３日に非常戒厳を宣布したが、理由の１つに野党が予算審議を妨害したことを挙げていた。
国会が省庁や対立する政党間の同意なしに規模を縮小した予算案を可決したのは初めて。
ロイター「韓国国会、予算案可決」より
国会通過した予算案だが、「共に民主党」が押し切ったものである。ユンユンとしてはコレを通すつもりはなかったのだろう。
政府予備費：2兆4,000億ウォン
国債利子返済費：5,000億ウォン
検察の特定業務経費：506億ウォン
特殊活動費：80億ウォン
大王クジラプロジェクト：497億ウォン
大統領秘書室・国家安保室の特殊活動費：82億5,000万ウォン
上記の小計：3兆165億5,000万ウォン他にも削られており、削減は計4兆1,000億ウォンです。
大統領室関連、また政府の予備費、検察の特定業務経費など、重要な予算がカットされています。
Money1様のサイトより
なんと、政府の予備費、利払い費のほか、大統領府・検察・監査院の予算などが大幅にカットされているのだが、これは政府の力の源泉でもある。予算削減すれば、政府の基本機能が麻痺は必至。与野党の攻守逆転はほぼ間違いなかろう。
膨らむ一方の歳出
大幅に政府関連予算を削減してしまって、一体何を増やしたのか？という話の前に、そもそも総額で６７７兆４０００億ウォン規模というところにちょっと無理があるという話はMoney1様のところでも出ていた。
韓国の歳出の伸びはここのところ著しく、2022年には600兆ウォンを突破している。
2022年予算案は前年比8.3％増の604兆4,000億ウォン
2021年09月06日
韓国政府は8月31日、2022年予算案を閣議決定した。総予算額は前年比8.3％増の604兆4,000億ウォン（約57兆4,180億円、1ウォン＝約0.095円）で、伸び率は4年連続で8％超となった（添付資料表参照）。
予算編成は、（1）より強い経済回復とグローバル強国への飛躍、（2）包容的回復と地域均衡発展などの二極化対応、（3）カーボンニュートラル・デジタルシフトなどの未来型経済構造大転換、（4）国民保護強化と暮らしの質の向上、の4本柱を軸に行われた。
分野別にみると、保健・福祉・労働分野に歳出の35.9％に当たる216兆7,000億ウォンを計上した。政府は211万人分の雇用の維持または創出を支援するとし、民間雇用支援の一環として、若年層を雇用する企業に対し、年間最大960万ウォンを支給する。
JETROより
2022年度予算案を通したのは、ムン君である。その年にユンユンに大統領は交代しているのだが、この年の予算案の中身は保健・福祉・労働分野に巨額を突っ込むものであった。実は、ムン君が大統領だった時代の経済対策は悉く失敗していた。
そりゃまあ、碌でもない市場原理を無視した経済政策をやったからねぇ。
具体的には、最低賃金を急激に引き上げ、基礎老齢年金を引き上げ、公共部門を中心にした雇用創出を加速し、非正規職の正規への転換を促した。
この結果何が起こったかと言えば、卸・小売・飲食業界を中心に雇用が減り、公務員の人数が激増して経費が増えた。しかし公共部門中心の雇用創出といっても、戸締まりのチェックを専門にする人材の雇用とか、専門性のない雇用を無理矢理増やしただけ。それも、老人中心に雇用したので、若年失業率が増える結果に。なお、統計上の失業率は2022年は2.9％と極めて低い。若年失業率に限っても7.0％だ。そのからくりは非労働力人口の割合が高い事にある。
やっていることは支那と同じで、働かない若者を増やして雇用統計に反映していないだけという話なのである。
とはいえ、ムン君は武漢ウイルス感染症蔓延に対処するという仕事をやっつけた実績もあるので、経済についてばかり批判するのは不公平だろう。この時期は各国ともに経済状況改善に苦しんだのである。
もう一つ、ムン君はエネルギー政策でとんでもない失敗をやらかしたのだが、そこは棚の上に。多分別の機会に言及する機会はあるだろう。
借金増大
韓国の歳入は580兆ウォン（2022年度）と歳入に対して歳出が大きく、韓国政府が借金経営を続ける状況にある。日本のような対外資産がある国家とは違うので、600兆ウォン超えの歳出はMoney1様のところが指摘する通り身の丈に合っているとは言えない。
ユンユンが大統領になってからは歳出を抑えたものの、政府債務は増えた。
2年連続で税収不足、韓国政府債務1200兆ウォン超えの可能性も
記事入力 : 2024/07/09 06:55
文在寅政権下で400兆ウォン（約47兆円）以上急増した韓国の政府債務は、尹錫悦政権になって増加傾向が鈍化したが、楽観するのは早いと指摘されている。財政の健全性を重視する現政権が財政支出の伸びを大幅に抑えたにもかかわらず、景気低迷で税収不足に陥っているためだ。
文在寅政権で年平均8.7％に達した財政支出の伸びは2023年には5.1％に落ち着き、今年は過去最低の2.8％まで低下した。しかし、企業業績の悪化で法人税収が急減し、昨年の税収不足額は過去最高の56兆4000億ウォンに達し、今年も少なくとも10兆ウォンの税収不足が見込まれている。不足分を埋めるために赤字国債の発行を増やせば、国内総生産（GDP）に占める政府債務の割合が50％に迫るとの懸念が浮上している。
朝鮮日報より
元々、韓国経済はアキヒロの時代から痛んでいた。その次に政権を担ったクネクネは、内需の拡大を図って住宅融資規制を緩和をしたお陰で多少持ち直した。ただ、これは寧ろ禁じ手で韓国の住宅バブルを膨らませる結果になったが、それでも一時的には一息ついた格好になった。
あと、設備投資に力を入れたことで半導体産業が飛躍的にシェアを拡大するに至って、この判断はクネクネの英断であったと言えよう。
だが、ムン君が実質的にコレを食い潰した。
韓国企画財政部によると、韓国政府が試算した今年の政府債務（中央政府と地方自治体の合計）は前年比5.4％増の1195兆8000億ウォンだ。しかし、今年末の実際の政府債務は1200兆ウォンを超える可能性がある。今年の国税収入が予想を下回り、年初から5月末までの集計でも10兆ウォン近い欠損が発生したためだ。昨年赤字だったサムスン電子など大企業からの法人税収が急減した影響で、1～5月の国税収入は前年同期比9兆1000億ウォン減の151兆ウォンにとどまった。
朝鮮日報「2年連続で税収不足」より
政府債務は増加の一途を辿っており、これは住宅バブルに付き合った家計債務も同じである。
韓国家計債務残高、8月は3年超ぶりの高い伸び 中銀が懸念
2024年9月11日午後 3:06
韓国銀行（中央銀行）が１１日に発表した８月末時点の家計債務残高は１１３０兆ウォン（８兆４０５２億ドル）となった。前月から９兆３０００億ウォン増で、前月比では２０２１年７月以来最大の伸びとなった。
ロイターより
まあ、ご愁傷様としか言いようがない。地方債務も企業債務も順調に膨らんでいて、韓国は何処もかしこも借金で首が回らない状態である。
政府債務の増大は避けられないが
そんな状態なのだが、そもそも韓国経済は支那経済とアメリカ経済に大きく影響を受ける。アメリカは割と好調ではあるが、支那経済はどん底であることは指摘したばかりである。
そんな状況なのだが、韓国経済の柱は、半導体と二次電池という状況になっていて、その何れも支那に食い潰されつつある。
エコノミストは予算の削減が景気に悪影響を及ぼすと指摘。
ｉＭ証券のエコノミストは「拡張的な財政政策が必要な時期であり、経済にとって良いニュースではない。政策の空白が生じ、来年の補正予算編成がほぼ確実視される」と述べた。
ロイター「韓国国会、予算案可決」より
そうすると、今正に景気対策を中心に韓国政府が後押しして新たな経済のエンジンを作り上げねばならない時期のはずなのだ。
残念なことに、ユンユンは経済に明るくない人物であったので、民間経済はボロボロのままだが、幸いなことに軍需産業中心に需要を作り上げているので全くお手上げというわけではない。
のだが、ここでまた共に民主党が出てくると何をやらかすかと言えば、ムン君経済の承継である。今のところ詳細は不明だが、「景気浮揚や経済回復への支援は補正予算で対応」とか言っている時点でやる気が感じられない。
まずは来年度の予算案を通過させ、それに合わせて国の財政を立て直すことで当面の不確実性を解消し、景気浮揚や経済回復への支援は補正予算で対応するというのが共に民主党の立場だ。
李氏は、新興企業向け株式市場コスダックの指数が急落し、韓国総合株価指数（ＫＯＳＰＩ）も年初来安値を記録するなど不確実性が高まっていることについて「尹錫悦大統領の無謀な戒厳と与党の弾劾反対のせいで全国民が後々まで代価を支払うことになった。コリア・ディスカウントは尹大統領の戒厳と政権与党の弾劾反対がもたらした結果」と指摘。政府と与野党による非常経済点検会議を立ち上げ、代案を検討することを提案した。
聯合ニュースより
序でに、市場が不安視しているのはユンユンのせいだから、さっさと弾劾しろと言う始末。
共に民主党の予算は、去年の記事などを参照すると、恐らくは社会的経済領域の予算、つまり左派関連団体に配る予算を積み増した可能性が高い。
4.1兆ウォンも削ったのに予算が増えた理由は後に明らかになるんだろうけれど、少なくとも経済対策じゃないよというところが、恐ろしい話である。今、サムスン電子が滅んでしまえば、韓国経済は長期間浮揚することはできないと思うんだが。
抵抗を続ける人々
ただまあ、悲観的な話ばかりをしても仕方がないので、多少はマシな話も紹介しておきたい。
イ・チャンヨン「チェ・サンモク、戒厳令反対後、席を蹴って出てきた… 辞職勧告を拒否される」
入力 2024.12.10 12:24
イ・チャンヨン韓国銀行総裁は10日、「与野党が来年度予算案を合意処理するよう努力しなければならない」と述べた。
聯合ニュースは、複数の議員を引用し、李総裁が同日午前、韓銀を訪問した国会企画財政委員会所属の野党議員たちと会い、このような趣旨で要請したと報じた。
李総裁は「政治状況とは別に、経済問題に関しては政府と与野党が協力して状況を安定的に管理する姿を見せなければならない」と強調した。彼は「海外投資家に国内経済プロセスが正常に機能することができるというシグナルを与えなければならない」と付け加えた。
～～略～～
チェ・サンモク副首相兼企画財政部長官が戒厳令宣布前に召集された国務会議で反対意見を強く提示した後、席を蹴って退席し、辞意を表明しようとしたのを李総裁が諌めたという。
李総裁は「当時、崔副総理に『経済司令塔がいなければ対外的に心理が安定する』と辞任を諌めた」と明らかにしたというのが出席者の話だ。
中央日報より
韓国銀行の総裁と副総裁が、韓国経済に対する評価が低下しないように頑張って色々とメッセージを出している話はこちらで紹介した。
蟷螂之斧という言葉が頭を過ぎったが、それでも韓国経済が大崩れしていない理由は、韓国銀行の奮闘があってこそという側面がある。
何処まで頑張ってくれるかは分からないが、少なくともユンユンがこの李昌鏞氏を韓国銀行総裁に選んだのは英断だったと思う。IMFアジア太平洋局長を経験した猛者で、国際経済のことを実に良く理解している。
「韓国でも頑張っている人も居るんだ」ということはちょっと頭の片隅に入れておかないと、ちょっと不公平かなと思ったので紹介した次第。Money1様のところの最新の記事でも、持ち上げているね。
でも、結局は韓国政府の経済対策があるかどうか、って話になっちゃうんだけどね。
愚劣な弾劾乱発
なお、韓国銀行総裁の努力を紹介して持ち上げたうえで、落としていこう。
共に民主党、ハン・ドクス首相の弾劾も検討…「立場を明確にせよ」迫る
入力2024.12.10.2024.12.10.午後7時09分
戒厳令と関連し、文字通り弾劾攻勢をかけている共に民主党は、韓徳寿国務総理に対する弾劾も検討中だと明らかにしました。
戒厳令宣布当日の国務会議でハン首相がどのような立場だったかを直接明らかにするよう圧力をかけている中、同調疑惑が濃厚なら弾劾を推進するしかないという立場です。
NAVERより
ねえ、バカなの？
寧ろ共に民主党の面々をクビにすべきじゃないの？
韓国国政を混乱に陥れたのは、むしろコイツラなのだという気がしてならないのは、僕の気のせいだと良いのだけれど。
追記
今回の話、どうにも「内乱罪」云々というところが理解できないのだけれど、実際に成立するかどうかは裁判所の判断になるんだよね。
韓国政治に詳しそうな方のポストを参考にすると、取り敢えずは「内乱」の疑いで逮捕・起訴されるのは確実っぽい。
日本の刑法と似た条文構成だと、ちょっと引っかかるんだよね。
（内乱）
刑法77条
Wikibooksより
- 国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
- 首謀者は、死刑又は無期拘禁刑に処する。
- 謀議に参与し、又は群衆を指揮した者は無期又は3年以上の禁錮に処し、その他諸般の職務に従事した者は1年以上10年以下の拘禁刑に処する。
- 付和随行し、その他単に暴動に参加した者は、3年以下の拘禁刑に処する。
- 前項の罪の未遂は、罰する。ただし、同項第3号に規定する者については、この限りでない。
「暴動をした者」の部分が果たして軍隊を国会に突入させた事実を以て構成されるのか？という事なんだよね。恐らくは職権濫用あたりが妥当だと思うんだけど、どうなんだろう。
「国の統治機構を破壊」「その領土において国権を排除して権力を行使」「その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱する」は……、何れかに国会議員の排除があたる可能性はありそうだ。
暴動をした者に該当するかがやっぱり焦点になりそうなんだよね。
暴動は、多数の市民・民衆が集合的に暴行・脅迫・破壊などの暴力的な活動を行うことである。軍隊の出動がこれにあたるかどうか、警察官の動員がコレにあたるのかどうか。韓国の憲法裁判所の判断を待つしかないのだが……。
コメント
こんにちは。
沈没仕掛ってる船の上で、誰が悪いの吊し上げしかやらない船員。
挙げ句、救命ボート(≒予算)も減らす、と。
船室の乗員はただただ沈むばかりなり。
……あれ？既視感が……
こんにちは。
真っ先に船長が逃げ出して、海に浮いたお金を回収するパターンですね。