珍しい事になっているな。というか、これ、支那の経済状況の悪さを物語っているとも言える。
「関税・貿易・科技戦争に勝者なし」 習氏、米に呼び掛け IMFなど国際機関首脳と会談
2024/12/10 17:52
中国の習近平国家主席は10日、国際通貨基金(IMF)など国際機関の首脳らと北京の人民大会堂で会談した。中国国営新華社通信によると、習氏は米中関係について「関税戦争、貿易戦争、科学技術戦争は歴史の潮流や経済法則に反しており、勝者はいない」と述べた。
産経新聞より
アメリカも支那との貿易戦争をやると短期的に損をするのはわかっているんだけど、長期的に見たらどう考えても対決を選んだほうがマシなんだよね。支那にとっては死活問題だけども。
勝者の居ない貿易戦争
IMFすら悲観的な数字を見積もり
ええと、IMFか。
新興国の成長予想は2024年は+4.2%に据え置き、2025年は▲0.1%の+4.2%に下方修正しました。中国の2024年の見通しは▲0.2%の+4.8%に下方修正し、中国政府が目標としている+5%を下回りました。2025年は+4.5%に据え置きました。長引く不動産武侠による消費の鈍化が続くと見ています。
三井住友トラスト・アセットマネジメントのレポートより
IMFは極めて支那の経済に肯定的な数値を出しているんだけど、それでも5月の時よりも数値を下げているね。
中国の経済成長率の見通し 5.0%に引き上げ IMF
2024年5月29日 14時54分
IMF=国際通貨基金は、中国のことし、2024年の経済成長率の見通しを5.0%に引き上げ、中国政府が掲げる「5%前後」の成長率目標を達成するという見通しを示した形となりました。一方、不動産不況の長期化がリスクだとしたうえで、政府に対し、より包括的な政策を実行するよう促しました。
NHKニュースより
支那経済が5%成長するわけ無いだろう……。
これ、支那からの要請で数字を出していることは確実なのだけれど、IMFとしても出された数字を下に予測するしかないわけで。支那が公式に提出している数字が当てにならない以上、IMFが正確な予想を出せるわけがない。
が、そんなIMFですら経済成長見通しを下げざるを得ない状況が続いているのが、支那経済の実情である。
世界の金融関係者を集めて会議
北京で重要な会議をやったわけだけれども、その面々がこちら。
中国の李強首相は9日、IMFのゲオルギエワ専務理事や世界銀行のバンガ総裁、世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁など計10の国際機関の首脳が参加する対話会を北京で開いた。習氏は、対話会に参加した首脳と会談した。
産経新聞「関税・貿易・科技戦争に勝者なし」より
IMFの専務理事も随分親支那派だという話ではあるが、世界銀行やWTOもチャイナマネーが随分と活躍したらしくてね。そして、AIIBの総裁などは習近平氏の頭が上がらないだろう。
で、こういった人々を集めて会議やって、アメリカに「勝者はいない」だぁ?
いやいや、そういうことじゃないだろう。そもそも支那は自由主義経済に片足を突っ込みながら、市場介入やら株式操作やらまあ好き放題やっている。そんな相手と真っ当に貿易で争うということ事態がが間違いなのである。
そんなことよりも、技術の剽窃を許さない、市場を荒らすのを許さない、という話になるのは、今、現在進行系でやらかしていることを考えれば、当然の報いである。
習氏は、米中関係に関して「中国は自らの主権や安全、発展の利益を断固として守る」とも訴えた。
産経新聞「関税・貿易・科技戦争に勝者なし」より
習近平氏は「自らの主権や安全、発展の利益を断固として守る」などと嘯いているが、アメリカも多分全く同じこと考えているよ。
トランプ政権は本気
タリフマン
さて、中華皇帝が「止めようぜ」と言っている相手は確実にトランプ氏なのだが、しかし、対支那貿易において国富流出を懸念しているのはアメリカ議会も一緒なんだよね。
トランプ次期大統領 追加関税発言 世界の企業 懸念広がる
2024年11月15日 18時31分
みずからを「タリフマン=関税男」と称するトランプ次期大統領。 米国内の製造業や雇用を守るためだとして、選挙戦でも追加関税をにおわせる発言を連発してきました。 企業の間では懸念が広がっています。関税をめぐる動きはどうなるのでしょうか。
NHKニュースより
流石にトランプ氏の発言は極端なものが多いのだけれど、それだけ腹に据えかねているということでもある。
各メーカーに対しては、「関税をなくすための唯一の方法は、アメリカ国内にあなたたちが働くことができる工場を作ることだ」と述べ、アメリカでの生産を強化するよう訴えています。
NHKニュース「トランプ次期大統領 追加関税発言」より
解決策も提示さされているので、ある程度は関税引き上げられていくことは必至だ。ただ、一律関税を上げていくと、インフレ傾向が加速するという問題もあって、経済と雇用のバランスを取りながらというアドバイスは入るはず。
したがって、言っている通りになるとは思わないけれど、それだけ本気だという風に捉えるべきだろう。
最恵国待遇の撤回
なお、支那にはこんな措置も。
一方、中国については貿易上の優遇措置などを講じる「最恵国待遇」を撤回し、電子機器や鉄鋼、医薬品などの輸入を4年間で段階的に廃止し、依存度を引き下げるとしています。
NHKニュース「トランプ次期大統領 追加関税発言」より
最恵国待遇というのは、WTOの基本原則の1つなので、「守るべきもの」という位置づけにしている国が多いのだけれど、厳密に言うと最恵国待遇には条件つき最恵国待遇と無条件最恵国待遇、双務的最恵国待遇と片務的最恵国待遇などがある。
ただ、この基本原則、内国民待遇とともに、外国において差別を受けることなく公正な貿易や商取引などを保障するってな話に続いているわけ。支那が公正な貿易や商取引をやらない以上、そもそも最恵国待遇する必要あるの?という疑問が湧くのは当然である。
実際にアメリカはロシアに対してウクライナへの軍事侵攻をきっかけに、最恵国待遇の撤回を行い、関税引き上げを実施している。それと同じ扱いというのはちょっと面白いけど、支那はロシアと組んでアクドイことをやっていることを考えれば、妥当だろう。
IMFに泣きつき、WTOに訴えたところで、このアメリカの決定が覆るとは思えない。それに、アメリカとの関係がどうにかなったところで、支那経済の不調は根本的な問題が解決しないとどうにもならんと思うんだけど。
コメント
いまのIMF総裁は、WHO某事務局長同様に、支那に取り込まれた人物です。彼女は前ユネスコ事務局長で、経済畑ではないはずですが、IMF総裁には支那の後押しがあったとか。だから、元データが何であれ、IMFの支那経済予測は甘々でしょうね。
ちな、世銀も甘いと言わざるを得ませんが、2023年10月公表の支那経済予測レポートでは、2024年と2025年のGDP成長率を、それぞれ4.5%、4.3%と見積もっていました。
https://tinyurl.com/5azn9pd8
で、(経済を知らない)紅皇帝が、国際経済機関の代表を集めて演説ぶっても、まるで意味のないパフォーマンスとしか言いようがなく、それって愚痴ですか?レベルの話でしょう。
支那経済は順調に崩壊中なので、紅皇帝の次の愚痴(あるいは開き直り)に注目しています。
世界銀行の記事も見せていただきましたが、ヒドイの一言ですな。
いえ、スミマセン、見栄を張りました。英語読むのが大変だったので、参考したのはこちらですが。
https://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2024/10/07/east-asia-and-pacific-resilient-growth-in-turbulent-times
ともあれ、どうするんでしょうかね、習近平氏はどちらの方向に向かって走って行くのでしょうか。
記述内容に誤りがありましたので、以下訂正させていただきます。
①ゲオルギエバ氏は、前ユネスコ事務局長はありませんでした。同じブルガリア出身のイリーナ・ボゴヴァ氏と混同していました。
②ゲオルギエバ氏は、生粋の経済専門家で、過去に世銀総裁も務めた国際経済のキャリア組でした。全くの勘違いでした。
今後、記述内容には細心の注意を払うよう努めます。皆様にお詫びいたします。
丁寧にありがとうございました。
こんにちは。
本当にね、何度も言いますが、100年後の歴史教科書とか、歴史家のレポートとか見たいんですよ。
この時代について、どう書いてあるのか。
間違いなく、各国為政者と、特に国連について、こてんぱんにこき下ろしているでしょう。
そうならない理由が無い……こともないか、赤い国と寒い国が勝つ未来線だけは……
こんにちは。
紅い国と寒い国の間も少しギスギスしている感じですよ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/279616
どうなのかなぁ。
ううむ。前々から中華の夢、世界秩序の中華による再編はムリと想うてきたが、そろそろ本格的にアメリカに代わる覇権は夢と消えたよう思います。
ただナントカの最後っ屁は有り得ると思うんで。トランプ氏がBRICSがドル基軸通貨を抜けて新たな通貨を発行するなるば、100%関税をかけると恫喝してますよね。
それは逆に「ドル体制の揺らぎ」でもあるわけで、トランプがどう立ち回ろうが中長期的にアメリカの覇権が衰退する運命は変わらんと思うんですよ。
なので、こっから10年間で起きる様々な難儀で、今後の日本の未来も決まるかと。
いや、難儀な時代に生きてますなぁ。
ドルに代わる国際通貨をBRICSで、ですか。
そもそも無理でしょうね。
支那は人民元を手放すつもりはありませんし、ロシアはルーブルを手放さないでしょう。
EUでユーロを導入して苦しんでいる国が多すぎる現状を考えると、通貨統一というのはリスクにしかならない。アメリカの警戒は分かりますが、信頼性については人民元もルーブルも最悪です。デジタル人民元で巻き返しを図る構想もあったのですが、未だ未だスマホ決済の方が便利なんですよね。