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ドイツ首相のショルツ氏辞任にカウントダウン

北欧ニュース
この記事は約6分で読めます。

余り需要はない話だと思うが、ドイツの話である。

ショルツ連立政権が崩壊 来年3月、前倒し総選挙―ドイツ

2024年11月07日14時30分配信

ドイツのショルツ連立政権が6日、崩壊した。連立与党3党の一角を占めた自由民主党(FDP)が政策の不一致を理由に離脱。

時事通信より

ショルツ政権は短命だった印象だが、それでも2年続いているのか。まあ、政策方針もぐだぐだだから仕方がないかもだが。

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エネルギー政策での失敗

何をやった人?

ショルツ氏が首相に就任したのは2021年12月8日のことで、ドイツ社会民主党の党首であったために棚ぼた的に(直前の選挙で僅差で第1党になっている)首相になった人物である。

ショルツ首相は、来年1月15日に連邦議会に自身の信任案を提出する意向を表明した。否決で不信任となって議会解散に至り、9月に予定されていた連邦議会選挙が3月に前倒しされる公算が大きくなった。

時事通信「ショルツ連立政権が崩壊」より

政策的に支持されて首相になれたわけでもなかったため、どうしても実現したかった政策やビジョンがあったわけでもないらしい。だから、首相になってからブレブレであった。

しかし、2022年2月26日にロシア軍がウクライナへ侵攻し始めた為に、対応を余儀なくされて、ドイツの国防費をGDP比2%超とすることを決定。一気に右派の印象が強くなったのだが……。

低迷するドイツ経済

結局のところ、経済不況が決め手になったといって良いだろう。

独経済は今年、2年連続のマイナス成長を記録すると予想され、立て直しが急務となっている。連立内では、ショルツ氏の社会民主党(SPD)と緑の党が大規模な財政出動を唱えているのに対し、FDPは財政規律の堅持を主張。対立が激化し、政権運営は行き詰まっていた。ショルツ政権はFDP離脱で少数与党に陥るが、年内は継続し、2025年度予算案の成立を目指す。

時事通信「ショルツ連立政権が崩壊」より

かつて、「欧州の病人」と揶揄されたドイツだが、支那と積極的に関係を持つことで一時的に景気回復。

しかし、支那の戦略が明らかになるにつれ、ドイツとしても距離を置かざるを得なくなった。

ドイツ、2年連続でマイナス成長へ 「欧州の病人」再び

2024年10月10日 3:24 (2024年10月10日 18:59更新) [会員限定記事]

ドイツ政府は9日公表した秋の経済見通しで、2024年の実質成長率をマイナス0.2%と4月時点のプラス0.3%から下方修正した。マイナス成長は2年連続になる。個人消費の戻りが鈍く、設備投資や生産も冷え込む。ロシアの安価なエネルギーと中国市場の拡大に頼った成長が限界を迎え、構造的な経済不振の様相が強まってきた。

日本経済新聞より

かつて「欧州の病人」と揶揄される経済状態になったのは、ベルリンの壁崩壊(1989年11月9日)に伴う東西統一がトリガーだったと言われている。社会システムの異なる西ドイツと東ドイツが統一したのだから、当然統合後の混乱は発生する。システム改修の為に財政赤字を垂れ流し、高インフレ状況が抑えられず、シュレーダー政権下での労働市場改革を通じた単位労働コストの低下、「永遠の割安通貨」ユーロを背景とする輸出の加速など、「風が吹く」までその状況が続いた。

ドイツ経済が再び弱体化した背景には、支那経済が極めて良くない状態になっていることに加え、メルケル氏が難民を無制限に受け入れるアホな政策を展開した上、エネルギー政策で極めて愚劣な選択をしたからである。

エネルギー政策は継続

ドイツは国内に在る全ての原発の廃炉を決定した。

【解説】 ドイツが脱原発を実現 国民の意見は今も割れている

2023年4月18日

ベルリンのブランデンブルグ門の片側では15日、パーティーが開かれていた。反原子力発電活動家が、60年にわたる闘いの勝利を祝っていた。

門の反対側では、ドイツに残っていた3カ所の原発の閉鎖に反対する人々が、抗議のデモ行進を行っていた。

この日の深夜までに、イザール2、エムスラント、ネッカーヴェストハイム2の3基の原発が、全て運転を停止した。

BBCより

ドイツの国内世論はさておき、ドイツ国内の原発全てが可動を止め、再生可能エネルギー発電の比率は5割を超えた。

その結果、ドイツ企業は国内で生産を続けられない判断をした。

独企業、エネルギー高で減産や海外移転検討の割合増加

2024年8月2日午後 1:33

ドイツ商工会議所(DIHK)が1日公表した約3300社の加盟企業に対する調査によると、減産ないし海外への生産移転を検討している企業の割合が37%と、昨年の31%、2022年の16%から増加したことが分かった。

ドイツ国内におけるエネルギー価格の高止まりや、エネルギー供給を巡る信頼性の欠如が背景にある。

エネルギー消費の多い企業ではこの割合は45%前後に達している。

ロイターより

何故これを放置しているのか理解できないのだが、ドイツは不思議な国だな。だが、これの後追いをしているのが日本という国である。アホじゃないかな?

ドイツのための選択肢

こんな状況なので、支持を拡大しているのが「ドイツのための選択肢」という政党である。

ドイツ3州の議会選挙 右派政党が第1党の勢い 最新の世論調査で

2024年9月1日 3時45分

9月1日と22日に行われる3つの州の議会選挙で、移民や難民に対して排他的な主張を掲げる右派政党「ドイツのための選択肢」が初めて第1党になる勢いです。ナチスへの反省から寛容さや多様性を重視してきたドイツでは、異例の事態で、選挙の行方が注目されています。

NHKニュースより

日本のメディアは「ドイツのための選択肢」(AfD)を右派政党、或いは極右政党と表現しているが、僕の印象としてはポピュリズム政党であるように思う。

「ドイツのための選択肢」は、移民や難民に対して排他的な主張を掲げているほか、一部の政治家からはナチスを肯定するような発言やイスラム教徒への差別的な発言などが目立ち、識者やメディアからは極右だと批判されてきました。

NHKニュース「ドイツ3州の議会選挙 右派政党が第1党の勢い」より

ナチスの肯定という点について、前提としてドイツではナチスは絶対悪で評価してもダメだし、話題に出すのも憚られるという存在である。ところがAfDは、そのタブーに触れてしまった。

だが、別に手放しにナチスを賞賛したというわけではない。

AfDのトップ候補者のマキシミリアン・クラー欧州議会議員は今月中旬、イタリアメディアなどとのインタビューで、第2次世界大戦中にユダヤ人の大虐殺(ホロコースト)に関与したSSについて「SSの制服を着ている人ならだれでも犯罪者であるとは決して言えない」などと発言。ドイツ国内外でSSを擁護する発言だとの批判が出ていた。

朝日新聞より

全部の文脈を読んだわけではないが、記事通りであれば割と真っ当な発言をしたと思われる。

また、「移民や難民に対して排他的な主張」に関しては、ドイツが経験した移民や難民が引き起こした犯罪のことを考えれば、排他的な主張をするのは無理もないように思われる。

ただ、AfDの政策そのものがドイツの為になるのか?というと、これも疑問ではあるのだが……。

ともあれ、欧州で安定的なのはメローニ氏が首相をやっているイタリアくらいだというのは、なかなか驚きだな。EUもいよいよ危ういかもしれない。

追記

あー、これは。

ドイツで「ショルツ降ろし」の声、現職の与党議員からも

2024年11月20日 0:00

2025年2月に前倒し総選挙が行われるドイツで、ショルツ首相の代わりにピストリウス国防相を次期首相候補に擁立すべきだとの声が、与党ドイツ社会民主党(SPD)の連邦議会議員の中から上がった。現職の連邦議会議員がそうした発言するのは初めてで、ショルツ氏の支持率の低さに党内で懸念が高まっていることが浮き彫りになった。

NIKKEI Worldより

ショルツ氏はいよいよ危なくなってきたな。

まあ、何か実績があるかというと、見当たらないし。仕方がないのかも知れないね。

コメント

  1. ken より:

    この頃、国際問題では韓国の次にドイツが面白いですねw(笑独)正しいと思う方向に突っ走る姿が清々しいです。

    • 木霊 木霊 より:

      ドイツって割と独裁国家に親和性が高いんですよね。
      振り切った考え方は、なかなか素晴らしいと思っています。

  2. 砂漠の男 より:

    >FDPは財政規律の堅持を主張
    同じことを言っている輩が我が国にも”大勢”視られますね。たとえば石破首相とか、たとえば野田立民代表とか、Z省の連中とか。不況のときは、減税and/or財政出動しかないんですが、いったいどこから財政規律指令が来るんですかね。

    >ドイツ国内の原発全てが可動を止め、再生可能エネルギー発電の比率は5割を超えた
    独生産企業が国外移転するとなると、次は雇用問題が起こるでしょう。そのうちEVに乗れなくなりそうw ドイツはまじめに国家運営する気があるんですかね。
    でも、そういうドイツを後追いする日本は、ドイツに輪をかけて間抜けているようです。
    そのうち「日本のための選択肢」とか出てくるかもしれませんね。

    • 木霊 木霊 より:

      財務省の呪いですな。

      EVに関しては、あれ、悪い車ではないんですけれど、使用環境は選ぶシロモノだと思うんですよね。
      にも関わらず、日本国内で流行らせようとする。別に金持ちの道楽は構いませんが、エンジン車の選択肢が少なくなるのは勘弁して欲しい。

  3. 山童 より:

    う〜む。「壮大なアホ」ですねメルケルからずっと。原発止めてとうなるか数値で解るはすまなんですよね。んで木霊様が何度も仰るように再生可能エネルギーは安定性がない。安定性のないエネルギー源など生産活動に採用てきっこない。
    まぁリベラルの化けの皮が剥がれるのは良い事ですけどね。企業が国外脱出し始めているのに、何を無視してんですかね?
    兄貴がドイツの財団の金で留学して戻った時に、「ドイツ人てのは正気を保ったまま狂える民族なんだよ。上手く作用するとフロイトを産むが、ダメだとナチスの地球空洞説みたくなる」と申していたのを思い出しましたねぇ。

    • 山童 より:

      まぁフロイトはユダヤ人なので
      「V1ロケットと地球空洞説」くらいにしておきますか。実際にモスクワ砲撃すると言って空に対空砲を撃ったりしてますし。

      • 山童 より:

        あ、すみません「地球平面説」でした。なんか地球が平面で、それが丸めた紙のようにめくれてるので、それを撃てばモスクワに届く…という不可思議な実験たったようで。

    • 木霊 木霊 より:

      「正気を保ったまま狂える民族」というのはまた。
      彼らが本当に正気なのか、或いは我々が正気ではないのかなかなか興味深いのですが、突き抜けた思考は優れた発明を産んだりしますから、全くダメというわけではないと思います。ただ、あれを国家単位での選択とするのは、いささかやり過ぎだと思うんです。それがお国柄といえば、それまでかもしれませんが。あ、隣国もそうでしたな。

  4. 匿名 より:

    米国は何とか踏み届まってトランプ氏らが何とか回復(出来ると思いたい)

    が、メルケル氏らが10年以上の歳月をかけ、じっくりと破壊したドイツ(&EU?)は、シュルツ氏らの手腕云々とは関係なく、もう手遅れかも知れない

    20~30年を失う程度(で済むと思いたい)

    • 木霊 木霊 より:

      アメリカもどうなることやら。
      ドイツはメルケル氏をずっとトップに据えてきたツケを支払わされるわけですが、じゃあ、現職のショルツ氏がマシかというと、そんなことはなかったんですよね。
      困ったものであります。

  5. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >ショルツ政権は短命だった印象だが
    第二次石破内閣も発足しましたが、こちらも短命になりそうな……石破さん、顔面土気色。
    肝硬変か何か煩ってしまっているのでは?と思ってしまいます。
    健康理由で退陣すると、また外野がうるさそう。

    >これの後追いをしているのが日本という国である。アホじゃないかな?
    一度、経産省その他のレッドパージ、スリーパーのあぶり出しをした方が良いのでは?
    与野党問わず、政治家にもごっそり売国奴が居ると思ってますが……

    >「SSの制服を着ている人ならだれでも犯罪者であるとは決して言えない」
    まず、武装SSと一般SSを分けて考えないとダメですよね。
    大体クズは一般SSに多い認識ですが、それでも、前部が全部ダメだとは思わない。
    組織である以上、上にクズが居ると、下はその命令を聞かざるを得ない状況は必ず発生しますし。
    まあ、クズ中のクズのライヒスハイニがトップなんですが……

    >EUもいよいよ危ういかもしれない。
    前代未聞の社会実験の幕引きですね。
    少なくとも、拡大しすぎたとは思ってます。
    旧東側を取り込む理由が「西側の生産物を売り込む為の買い手の確保」では……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      ドイツの命運がどうなるかは見守るしかありませんが、日本国内のことは国民がしっかり責任をもつ必要がありますね。
      石破内閣はかなり危うい印象ですが、このまま政権運営するんでしょうかね?

  6. 砂漠の男 より:

    最近、面白深刻な記事を読んだのでご紹介します。
    ドイツ経済研究所のレポートの一部ですが、ドイツが近年にどれだけ支那経済に入れ込んできたのかが判る直接投資額のデータが示されています(データの出所はドイツ連邦銀行)。
    https://www.iwkoeln.de/studien/juergen-matthes-deutsche-direktinvestitionen-nach-china-und-hongkong-auf-neuem-hoechststand-von-diversifizierung-kaum-eine-spur.html

    記事の要点は:
    ①2023年ドイツから支那(+香港)への直接投資額は、119億€(=125.5億$=1.9兆円)で過去最高
     ドイツの直接投下額は、支那への海外直接投資額全体の7.7%を占める
    ②2021年と2022年の同直接投資額は、それぞれ113億€と114億€で、2021年から急膨張した
     2021-2023年の直接投資資本は、現地の収益のみでまかなわれた(つまり再投資)  
    ③2023年の支那からドイツへの直接投資額は、1160億€(=1223億$=18.5兆円)で全体の10.3%

    データをみると、ドイツの支那への傾倒ぶりが客観的に判ります。
    むしろ両国とも、相手国への依存がますます強まっているようです。
    あくまで私見ですが、ドイツと支那は、根底の部分でよほど相性がいいのでしょう。
    いまのショルツ政権は2021年12月に発足していますから、ショルツ政権になってから、
    支那との経済癒着がますます進んだ、と言えそうです。

    • 木霊 木霊 より:

      興味深い資料ありがとうございました。
      ドイツはかなり支那への投資に傾倒していましたが、こうやって数字で見るとなかなか凄いものがありますね。
      そしてこの投資を回収できるかと言うと…。
      なかなか残酷な話ですね。