1日で終わった演習で肩すかしを食らった印象だったが、着実に圧力を増しているようだね。サムネイルは海警局の動向を示したモノだが、今回の軍事演習と連動して行われていた。
中国軍 台湾周辺で軍事演習 今後も軍事的圧力を継続する姿勢
2024年10月15日 5時35分
中国軍は、台湾周辺で空母などが参加した大規模な軍事演習を14日に行いました。台湾側は演習を強く非難する一方、中国側は今後も軍事的な圧力を継続する姿勢を示しています。
NHKニュースより
このブログでは日本政府の方針とは異なり、台湾は独立した国家として扱っている。実態から判断すればそう考える方が妥当だからである。その上で、独立国家に対して軍事的な圧力をかけた支那の対応は非難されるべきだと言える。
計画的な大規模演習
台湾島を取り囲んでの大規模演習
今回の演習は、実弾を使った演習というわけではなかったようだ。
中国軍は14日、台湾をほぼ取り囲むように設定した海域と空域で、空母や爆撃機なども参加して大規模な軍事演習を行い、「成功裏に終了した」と発表しました。
NHKニュース「中国軍 台湾周辺で軍事演習」より
だが、5月に行った演習とはちょっと質が違ったようである。
随分と軍用機も飛ばしたらしい。
台湾国防部は「理性のない挑発行為だ」と強く非難していて、演習に参加した中国の軍用機は一日としては過去最多の、のべ125機にのぼったとしています。
~~略~~
中国軍が、台湾をほぼ取り囲むようにして行う軍事演習はおととし以降繰り返されていて、中には7日間にわたったこともありましたが、今回は一日で終了しました。
NHKニュース「中国軍 台湾周辺で軍事演習」より
当然、それだけのお金を使ったという意味でもあるのだけれど、前回は頼清徳氏の就任演説の際に行い、今回は台湾建国記念日の式典演説の後で行われた。
恐らくは、予めこのタイミングで演習をやる予定となっていたのだと考えられる。
今後常態化する可能性
そして、恐らくは今後年2回程は演習が行われる可能性が高い。
これについて防衛省防衛研究所の増田雅之中国研究室長は、「空母と爆撃機の連携や主要な港湾都市の封鎖など、複数の訓練で迅速な展開能力を一気に示すことによって台湾の頼政権への圧力を強めるねらいがある。来年以降も同様の演習が継続し、常態化する可能性はある」と分析しています。
NHKニュース「中国軍 台湾周辺で軍事演習」より
問題は、こうした常態化する軍事演習を行うことで、人民解放軍の練度が上がっていってしまう事だろう。
今回は、お飾りの空母だと揶揄される空母「遼寧」も参加しての演習であった。
防衛省によりますと、13日午後、中国海軍の空母「遼寧」とミサイル駆逐艦のあわせて2隻が、台湾の南東、沖縄県与那国島の南およそ460キロの太平洋を航行しているのを確認しました。
周辺海域では14日、「遼寧」に搭載されている戦闘機やヘリコプターの発着も確認されたということです。
中国軍は台湾周辺で行った大規模な軍事演習に「遼寧」も参加したとしていて、この周辺海域で演習に参加したとみられます。
NHKニュース「中国軍 台湾周辺で軍事演習」より
しかし、海上から発着する戦闘機やヘリコプターがいると言うことは、台湾軍にとってはかなりの脅威となる。
空母「遼寧」の展開場所は、バシー海峡付近であったと言われている。展開位置としては日本に対するアプローチの可能性もあって、なかなか日本にとって嫌らしい感じはする。
中国軍機延べ125機が台湾周辺の演習で活動、90機が中台境界線を越える…台湾国防部発表
2024/10/14 20:39
台湾国防部(国防省)は14日夜、中国軍が台湾を取り囲む形で実施した大規模軍事演習で、同日午前5時頃(日本時間午前6時頃)から午後4時半(同午後5時半)までに、台湾周辺の空域で過去最高となる中国軍機延べ125機の活動を確認したと発表した。
国防部によると、延べ125機は無人機などで、このうち延べ90機が台湾海峡の事実上の中台境界線となってきた中間線を越えるなどしたという。
讀賣新聞より
また、境界線を越境する飛行も繰り返したようで、前回の演習よりもより実践的な連携を確認するような訓練であったことが伺える。
支那の狙い
ということで、前回の記事では「即時撤収して肩すかしを食らった」という印象を持ったモノの、よくよく考えてみるに頼清徳氏の演説するタイミングを見計らって演習の準備をしていたということであり、予定されていた動きであったと理解できるので、単純に台湾に圧力を掛けることが目的だったと理解した方が良いと思う。
それと共に、実際に侵攻するに当たって必要な練度を高めたという「成果」も得たと考えるべきであり、かなりのお金を使ったとは思うが、習近平氏にとっては有益な演習だったと考えるべきだろう。支那経済低迷の中で習近平氏の指導力を発揮した側面もあるしね。
石破茂首相、中国の台湾包囲軍事演習に「推移を注意深く見守る」
2024/10/14 15:47
石破茂首相は14日、中国軍による台湾包囲の軍事演習について「台湾周辺の平和と安全は、わが国のみならず地域にとって極めて重要な問題だ。推移を注意深く見守りながら、どういう事態にも対応できるような態勢を整えておく」と述べた。東京・永田町の自民党本部で記者団の取材に応えた。
産経新聞より
我が国の総理、石破氏はネットリとした視線を台湾情勢にも向ける決意を表明したようだ。いつもの「見ているだけ」の姿勢とも採れるのだが、結果的には大騒ぎする必要のない事案だったと思うので、良かったのではないか。
この対応に関しては台湾からも謝意が伝えられている。
石破首相が台湾海峡の平和と安全への支持表明 外交部「感謝」
2024/10/14 18:58
中国人民解放軍が台湾を包囲する形で軍事演習を実施したのを受け、石破茂首相は14日、「台湾周辺の平和と安全は、我が国のみならず地域に(とって)極めて重要な問題であり、我が国はこの状況を注視している」と述べた。外交部(外務省)は同日、石破氏が中国の軍事演習に対し、高い関心を公の場で即座に表明し、台湾海峡の平和と安定への支持を改めて示したことに「高い評価と感謝を表明する」とのコメントを報道資料を通じて発表した。
フォーカス台湾より
対応が早かったことに評価を得られたようだね。

今後も、こういった当日発表型の軍事演習が予想される一方で、多少、国際社会に対する配慮も見られるという分析が出ているが、何れにしても継続的に演習をするという意志を感じられる話である。
追記
興味深い分析も出ていたので、紹介しておきたい。
台湾包囲演習、「威圧」から「実戦」へ 中国、「エネルギー供給封鎖」能力を誇示
2024/10/15 10:44
国人民解放軍は14日に今年だけでも2回目となる台湾を包囲する海空域での軍事演習を実施し、「台湾独立派」とみなす頼清徳政権への圧力を増した。中国軍は2022年以降、台湾の民主進歩党政権への対抗措置を名目に演習を定例化させており、威圧に留まらず「実戦能力」を着々と高めているとみられる。
産経新聞より
ええと、要点はこうだ。
- 対抗措置として軍事演習のタイミングを探っていたとみられる
- 支那軍の即応性を証明した
- 台湾の主要な港を封鎖する訓練を行った
- エネルギー資源の輸入を封鎖する能力を持っていることを台湾側に示した
- 海警は中央軍事委員会の指揮下で「第2海軍」化が進んでおり、台湾への対応でも前面に出てきている
台湾側も冷静に支那人民解放軍の動きを分析していたとは思われるが、見せつけることが目的の演習は、台湾国民にも大きなメッセージを残したと言えると思う。
コメント
こんにちは。
なるほど。腑に落ちます。
いずれにしても、中華艦隊の練度が上がるのは剣呑。
特に軍と海警の連携が進むのは面倒ですね。
フィリピン方面では、漁船に乗った民兵が色々やってるらしいですが、こっちもそれを口実に戦端を開く可能性がありますから、便衣兵を平気で使う国は面倒ですよね……モラルもクソもない、そのあたりが100年前の政治と軍隊なんですが……だからこそ、めんどくさい。
こんにちは。
支那共産党の幹部は色々と画策しているのでしょうね。経済が不安定でも習近平氏の意向に外れて何か政策を提案するわけにも行かない。政治的なことがダメなら軍事的な動きということに視野を広げている気もします。良い傾向とは言えませんけどね。