さて、この件。北朝鮮側の収まりが付かなくなってきた模様。
金正恩氏、国防会議を招集 韓国無人機「侵犯」協議か
2024年10月15日 9:20
北朝鮮の朝鮮中央通信は15日、金正恩総書記が14日に国防に関する協議会を招集したと報じた。当面の軍事活動の方向について指示を出したと伝えた。北朝鮮は韓国の無人機が平壌上空を侵犯したと主張しており、対応策を協議したとみられる。
日本経済新聞より
どちらが無人機を飛ばしたかは、最早問題ではなくなってきたようだ。
危機感は高まるが
砲兵部隊が配備される
国境付近では砲兵部隊を用意している模様。
北朝鮮 砲兵部隊に「射撃準備態勢」指示=韓国無人機侵入に備え
2024年 10月 15日(火)
北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部は12日、韓国の無人機侵入に備え、南北軍事境界線付近の砲兵連合部隊と重要火力任務が与えられた部隊に「完全射撃準備態勢」を取るよう「作戦予備指示」を下し、平壌の上空を監視する施設を増強した。朝鮮中央通信が13日、伝えた。
聯合ニュースより
そもそも韓国と北朝鮮は戦争継続中であるので、争いが再燃してもおかしくはない。そして、ここのところゴミ風船を飛ばすなど、北朝鮮側からの挑発が続いていた。
汚物を結びつけた風船を飛ばしてくるという、実に汚い作戦ではあるが、これが有害な物質であった場合にはかなり危険を伴う話。
そして、北朝鮮側が噴き上がっているのは、韓国側から飛ばしたという無人機がビラをバラ撒いているとする事件が発生しているからだ。

これが証拠と言うことらしいのだけれど、内容は北朝鮮の体制批判のようだ。
国境付近へ
射撃姿勢に転換、というのが僕には具体的にはどのような状況なのかは良く分からないのだが、おそらく照準は韓国の首都ソウルだろう。
総参謀部は「完全武装した八つの砲兵旅団を13日午後8時までに射撃待機態勢に転換し、各作戦事業を完了」するよう指示。韓国の無人機が再び侵入した場合、対象物を打撃する状況や打撃により武力衝突に拡大する状況まで想定し、各部隊に対応策を講じるよう命じた。
聯合ニュース「北朝鮮 砲兵部隊に「射撃準備態勢」指示」より
残念ながら、首都ソウルには国境から火砲の弾が十分に届く。ミサイルであれば、もっと確実性が高い。そして、北朝鮮には十分な量の火砲とミサイルの備えがあると言われている。
「コクサン」と呼ばれる170mm自走カノン砲は、射程60kmで3500門程が用意されていると言われている。他に配備数のハッキリしない240mm多連装ロケットなど、ソウルに照準を合わせて配備されているとされている。その他にも弾道ミサイルを多数保有しているので、おそらく侵攻を開始するのであれば使ってくるだろう。
北朝鮮「国境砲兵部隊に射撃態勢指示」…金与正氏、二日連続で談話出して韓国に威嚇(1)
2024.10.14 07:41
韓国無人機が平壌上空に浸透したとし「凄惨な惨事」など報復を予告した北朝鮮が、国境線付近の部隊に完全射撃準備態勢を整えるよう指示を受けた事実を公開した。特に戦時編成として完全武装した兵力を配置したと明らかにして、臨戦態勢を整えた点を示唆した。
金正恩国務委員長の妹である金与正労働党副部長も二日連続談で話を発表し、韓国に対して「戦争勃発の導火線に、ついに火を付けようとする特大型犯罪行為」を犯したと非難した。
中央日報より
この件では金与正氏が何度も警告を出しているのだが、彼女は北朝鮮の戦狼外交担当なので、今のところは然程危険度は高くないという風にも読める。
爆破ショーを開催
ただし、北朝鮮国内へのアピールには余念が無いようで、前回も触れたけれども国境付近の道路を爆破するアピールを行っている。
北朝鮮が「京義線爆破ショー」準備…韓国は「先に措置、後に報告」指示(1)
2024.10.15 09:53
北朝鮮が正体不明の無人機浸透を「韓国軍部勢力が加担した重大主権侵害挑発」と規定し、前方全域に実戦対応体制を整えた中、韓国軍も部隊に火力待機態勢の強化などを指示し、韓半島(朝鮮半島)の緊張が高まっている。北朝鮮は今回の事件を南北関係断絶のための「敵対的な二つの国家論」正当化に積極的に活用する中、京義線・東海線一帯の南北連結道路を爆破するための準備も完了したことが把握された。また金与正労働党副部長は3日連続で談話を出し、韓国を「雑種犬」に例えながら米国にまで矛先を向けた。
中央日報より
実際爆破したところで特に影響の無い道路なので、意味合いとしてはデモンストレーションに近い話。
北朝鮮は京義線および東海線一帯で南北連結道路を爆破する準備も終えたと、軍は明らかにした。9日に北朝鮮軍総参謀部が南北連結道路・鉄道を断絶して要塞化する工事に着手すると明らかにしたが、その後続措置だ。具体的に北朝鮮軍が道路に幕を設置してその後ろで準備作業を進める姿が軍の探知資産で捕捉された。金与正副部長はこの日午後に朝鮮中央通信を通じて公開した談話で「私たちは平壌無人機事件の主犯が大韓民国軍部のゴミたちということを明白に知っている」とし「核保有国の主権が米国の奴らが飼い慣らした雑種犬によって侵害されたとすれば、雑種犬の飼い主が責任を負うべき」とし、韓国軍と共に米国までも対象にした。
中央日報「北朝鮮が「京義線爆破ショー」準備」より
だが、今回はターゲットに在韓アメリカ軍も含めているようで、少々厄介ではある。
そして、北朝鮮国内の敵愾心を煽るような宣伝活動をしているらしいということで、有事の準備をしているのだという風な捉え方もできる。
労働新聞はこの日、「朝鮮人民が激怒した」と題した記事を2面に掲載するなど、対南敵がい心を鼓吹するための宣伝扇動も続けている。「民心が憎悪と復讐の溶岩として沸き立つ時、その強烈な噴出に対応できる力はない」「敵に想像もできない恐ろしい苦痛と破滅を与えろ」などの内容だ。
中央日報より
大したことに発展しなければ良いのだが、応酬が始まってしまうとかなり大事になりかねない。
言い訳は聞かない
そして、民間機の可能性があるという韓国側の主張に、北朝鮮側は「言い訳するな!」と激怒中である。
北朝鮮「民間無人機、弁解通じない」 韓国軍に責任転嫁
2024.10.15 06:23
北朝鮮が平壌無人機潜入に関連し、連日韓国に対して威嚇レベルを高めて露骨に韓国軍の仕業として責任を転嫁している。専門家は北朝鮮が公開した情報が制限的なので軽率な判断はできないが、韓国軍が介入した可能性は低いという意見が支配的だ。
韓国政府は「確認することはできない」という立場を維持している。北朝鮮国防省の報道官は13日の談話で、「我が国の首都上空に侵入した無人機は民間団体が任意の場所から飛ばすことのできる無人機ではない」と主張した。「特定の発射台や滑走路があってこそ離陸させることができる無人機」とし「これを民間が飛ばしたという弁解は通じない」ともした。
中央日報より
今回の問題を引き起こした無人機なのだが……、韓国軍側は関与を否定。北朝鮮側は「軍がやった」と断定しているので、民間が行ったという言い訳は通用しない温度感になっている。
まあ、騒いでおいて適当なところで矛を収める可能性のほうが未だ高いと思っているのだが、それでも日本やアメリカの動きにくいタイミングの方が都合はいいという判断は働く可能性は否定できない。
北朝鮮の経済状態を考えると、戦争をしている場合ではないとは思うのだけれど、一方で、ロシアを見ていても、北朝鮮国内の情勢が厳しくても継戦能力はアリと判断した方が良いだろう。
日本としては政治的に働きかけるチャンネルがあるわけでもないので、指を咥えてみているしかないのだろうけれど。
命を狙われる金正恩氏
さて、ここからは裏付けのない話ではあるが、こんなコラムを紹介しておこう。
トランプ氏銃撃、「独裁」金正恩総書記も心中は穏やかではない?
7/18(木) 16:32
トランプ前米大統領の暗殺未遂事件が起き、米大統領選の動向を注視してきた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記も衝撃を受けているのは間違いない。北朝鮮国外で指導者を標的にした銃撃事件が相次いでいることから、北朝鮮の独裁的リーダーも身辺警護をさらに強化しているのかもしれない。
~~略~~
トランプ氏銃撃事件の前から、北朝鮮では金総書記の警護が強化されているようだ。
北朝鮮情報専門サイト「NKニュース」は17日配信の記事で、北朝鮮国営の朝鮮中央テレビや朝鮮中央通信の映像・画像を分析した結果について報じ、公式行事における警護強化の詳細について伝えている。
それによると、金総書記が今年4月25日、金日成軍事総合大学を訪問した際、その1週間前には12台で構成されていた車列が18台になり、1.5倍に増えていた。
また、5月21日に開かれた党中央幹部学校の竣工式では▽正面玄関に6つの金属探知機が配置されていた▽爆発物や化学兵器を嗅ぎ分ける探知犬を連れた警備員の姿があった▽金総書記の車列が到着する際、警備員が学校の外周と建物の屋上に並んでいる――などの状況がとらえられたという。
また金総書記が下車した際、すべての出席者が数百メートルも引き離されていたにもかかわらず、護衛官は保護ブリーフケースを持って金総書記を取り囲んでいた。
さらに、6月19日にロシアのプーチン大統領が平壌に到着し、金総書記が出迎えた際も、午前2時すぎという時間帯にもかかわらず、数百人の警備員が道路に並び、警戒に当たっていた。
Yahooニュースより
金正恩氏が最近特に身辺警備に気を遣っている様子は、色々な証拠から確認されている。国外に出る際には特に厳重な警備が行われているようだ。
そんな金正恩氏は、トランプ氏暗殺未遂事件を目にして更にストレスを感じたのではないか?という趣旨のコラムではあるが、トランプ氏だけではなく安倍晋三暗殺事件(2022年:令和4年7月8日)や習近平氏やプーチン氏への暗殺未遂の噂など、各国の指導者が狙われる話が増えている。当然、心当たりのある金正恩氏が心配するのは間違いない。

こちらの記事の指摘のように、韓国軍は斬首作戦が出来る体制を構築しつつあって、そのことも金正恩氏のストレスに繋がっているのだろう。ユンユンと仲が悪いしね。

こんなニュースも頻繁に流れてくるのだが、国内での弾圧も強めている状況が伺える。
こうした疑心暗鬼にも似たストレスを常に受け続けている金正恩氏にとって、無人機が平壌上空を飛ぶというのは耐えがたい苦痛だったのではないだろうか。だからこそ、過激な反応をして見せた、という風にも解釈できるよね。確証はないのだけれど。
追記
爆破したね。
北朝鮮が韓国に通じる道路を爆破 韓国軍合同参謀本部が発表
2024年10月15日 12時40分
韓国軍の合同参謀本部は、15日正午ごろ、北朝鮮が韓国とつながる、北朝鮮側の道路を爆破したと明らかにしました。北朝鮮が爆破したのは、朝鮮半島の東側と西側にある道路の一部だとしています。
NHKニュースより
うんまあ、何というか。
緊迫した空気は感じないね、これに関しては。
追記2
え?未だ続けるのこの話。
北朝鮮の金与正氏、無人機の領空侵犯問題で「韓国軍が主犯である証拠を確保」と主張
2024/10/15 19:01
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は15日、韓国から飛来した無人機が領空侵犯したとする問題を巡り「韓国軍が挑発行為の主犯である明確な証拠を確保した」と談話で主張した。具体的な中身には触れていない。朝鮮中央通信が伝えた。
産経新聞より
口撃だけなら、北朝鮮側にもメリットはあるんだろうけれど、まだ続けるのかぁ。
コメント
ん〜。あくまで当て推量ですが……。
体制崩壊というか金王朝末期に近い?
オヤジも爺さんも南をこき下ろしはしても、
あからさまに主敵とは言わなかったすよ。
北伐ならぬ南進して北からの統一を旗印にしていた事もあるんですが。台湾に対する中国と同じで、「誤った政権が南を腐敗させているので、統一して指導してやらねばならない」の立場でした。
それが主敵ときたでしょう。まぁ、それなら、先に腐った帝国主義の米国を打倒しろよ(笑)と想うすが(笑)それは不可能(笑)なので、手近なところで主敵が必要と。「民族」より敵を掲げるのが大事。
てことは、もう抜き差しならぬところまで国が崩壊しかかっているか、
はたまた……「いつ軍部がクーデターを起こすか解らない状況」なのでないかと、
実は専制君主に観えるキム・ジョンウンですが、思ったほど軍部のグリップは弱いのではないかと。
そうはいいますが、習近平体制に金正恩体制が追従する形にすると、独裁政治が揺らぐのでは?
北朝鮮はあくまで、頂点に君臨するのが将軍様なわけで、支那の言うことをハイハイ聞いて従っていると、もはやそれは支那の属国であって権威もなにもあったものではなくなってしまいます。
金正恩氏は、正当性に疑問のある将軍様なので、無理をしてでも中央集権にしていく必要があるのかも知れません。若いといえば若いのですが……、国家崩壊が近いというのは同意ですね。
こんにちは。
基本的には、内外に対するアピール以上のものではないと思っているのですが……
「今やらないと、もう次は無い」
程度には、色々と疲弊しているのだとは思います。
それを理由におっぱじめるのは、悪手of悪手なんですが……
※結果的に北が死ぬ、巻き添え食って南も酷い目に合うのは、別に知ったこっちゃないんですが。これが西側の手を縛って、そこから漁夫の利を得るヤツが必ず居る、日本の隣に、デカいのが二つ、ってのがなんとも嫌なのです。
こんにちは。
結構追い詰められている感はあるんですよね。
でもそれは、北も南も似た感じのように思えるのは、僕の目が曇っているからかも知れません。
巻き添えは勘弁願いたいですね。