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石破氏、ラオスに水力発電のODAを提案してしまう

アジア
この記事は約6分で読めます。

正直言うと、石破案件には言及したくないのだが、「これはどうなの」と思ったので。

石破首相、ラオスの水力発電をODA支援 首脳会談で伝達

2024年10月11日 12:01

石破茂首相は11日、訪問先のラオスで同国のソンサイ首相と会談した。現地の事情を考慮して日本側が提案する「オファー型」の政府開発援助(ODA)を活用し、ラオスの経済発展を支えると伝えた。水力発電の能力強化を支援し、電力の安定供給や輸出拡大を後押しする。

日本経済新聞より

ラオスね、ラオスと言えばさ、セーピアン・セーナムノイ副ダム決壊事故(2018年7月23日)だよね。

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オファー型のODAならもっとよく調査しろ!

脱水力発電の流れ

ダム決壊事故の話は、以前「ヤバイ韓国建築物」というシリーズで取り上げさせて貰った。

韓国企業がラオスの水力発電用のダムの建設に参加していて、それが決壊。多数の死者・行方不明者(42名が死亡、少なくとも1,100人行方不明)を出した事件である。

ラオスにおいて、水力発電は豊富な水資源を利用して安定的に電力を作り出せるというメリットはあるが、水資源管理の問題があって、農業などに悪影響を及ぼす事があるので問題視されている。

ラオス、脱・水力依存へ備え 風力発電の再エネ電力輸出

2023年4月14日 20:30

東南アジアの小国ラオスが風力発電に本格的に取り組む。三菱商事と東南アジア最大級となる発電施設の建設を始めたほか、ベトナム企業とも施設開発の検討に入った。水資源に恵まれたラオスは水力発電が盛んで発電した電力を周辺国に輸出している。近年は水の枯渇やダムの決壊事故で過度な水力依存の危うさが露呈しており、再生可能エネルギー発電源の多角化を進めて、電力の安定供給につなげる。

日本経済新聞より

ラオスにとって、電力を近隣諸国に売却する事業はかなり大きな収入に繋がっている。水力発電はラオス国内の発電量の7割を締め、その電力の大半は外国に輸出されている。

ラオスにとって、ダム決壊によるダメージは思いの外大きかったということだろう。

ただ、じゃあ水力発電がダメなら風力や太陽光、火力が良いかというと、そんなことはない。結局、豊富な水資源を上手く利用するのが賢いということになる。

支那からも電力が狙われる

で、今も継続的に発電設備の増強に勤しんでいるのだが……。

中国、ラオスの電力インフラに投資増加

2024年3月12日 2:00

ラオスで中国の国有企業が電力インフラへの投資を増やす。中国電力建設は水力発電所の新設を進める。中国南方電網はラオスの電力公社から送電事業を買収した。タイなど周辺国がラオスから電力調達を増やすなか、中国の影響力が強まる。

日本経済新聞より

ここを支那にも狙われることになった。

支那マネーがアジアで最貧クラスのラオスに流れ込んで、乱開発を行うという展開はラオスにとって不幸である。

尤も、予算を注ぎ込んでいるのは支那だけではなく、日本も韓国も興味はあるようだが。

ラオス最大規模となるナムニアップ1水力発電所水門鉄管工事を受注

2014年10月29日

株式会社IHIインフラシステム(所在地:大阪府堺市,社長:井上 明,以下IIS)は,このたび,ラオス人民民主共和国のナムニアップ1パワー・カンパニー・リミテッド社(以下NNP1)*1よりナムニアップ1水力発電所水門鉄管工事を受注しました。本工事は,IISとしては,初めてのラオスでの水門鉄管工事となります。IISは,主ダムにゲート・水圧鉄管一式,逆調整ダムにゲート一式の製作・輸送・据付等を担当します。本工事は,2014年10月17日(金)に着工し,2019年1月に営業運転を開始する予定です。

JETROより

実のところ、過去に何件かは日本からの水力発電関連の支援事例があったようなのだが、最近はちょっとご無沙汰である。

Access Denied

そういう意味で「支援負けしないように」という力を入れ方はアリだとは思うんだけど、そもそも「水力発電ばっかじゃ拙いよね」ということになっている国に、現地の事情を考慮して日本側が提案する「オファー型」の政府開発援助っていうのは、本当に正しかったのか。

ラオスは支那にも電力輸出しているので、ラオスの利益には繋がるかもしれないけれども、日本の権益の確保に繋がる話なのかは若干疑問である。

雪だるま的に増える公的債務

ラオスは現在大きな債務を抱えている。

高速鉄道ブームの影で債務増大 ラオス首相「返済見直し交渉する」

2024年2月28日 14時00分

東南アジア諸国連合(ASEAN)の今年の議長国ラオスのソンサイ首相が、朝日新聞との単独会見に応じた。中国と直結する高速鉄道が2年前から稼働し、観光客の人気を集める一方、建設にともなう対中債務の問題が深刻化。「債務の多さは認めざるを得ない」と率直に語りつつ、返済繰り延べの交渉を進めて、ASEANの物流拠点として発展を図る考えを明らかにした。

朝日新聞より

いわゆる債務の罠にひっかかってしまったという事例ではあるんだけど、ラオス政府のやり方も随分と拙かったよね。

そして、ラオス電力セクターも電力の輸出に力を入れるあまり、赤字体質で運営を続けているのである。デカイ水力発電用のダム建設をした結果、資材購入から工事に至るまで全て輸入に頼る始末である。

更に電力の輸出に関しても、ラオス電力公団(EDL)がタイ発電公社(EGAT)と電力融通契約を締結している(EDLからの電力輸出の9割はタイ向け)のだが、ここの輸出はラオスにとって得になる契約ではなく輸出するほど損になるようだ。

また、2023年は雨量不足により電力輸出が不調(微増だった)だったようで、水力発電設備投資に見合う収益が得られるのかは少々疑問である。

それでも「ラオス側が欲しいって言っているんだ」というのであれば、まあ仕方がないと思うんだけど。オファー型なんだよね。

だったらもっと考えて提案しようよ。

ラオスの発電量の8割を水力が占める。二酸化炭素(CO2)を排出しないグリーン水素やアンモニアの製造などの技術開発も支援する。首都ビエンチャンの国際空港のターミナル拡張事業に無償資金協力する。

日本経済新聞より

多分、グリーン水素やアンモニア製造技術開発の支援だって、喜びはしないと思うよ。

Access Denied

なお、外務省のサイトには、詳細な情報が今のところ出ていない。出ているのは、首都ビエンチャンの国際空港のターミナル拡張事業で、水力発電絡みの情報は見当たらない。

また何か分かれば追記していく所存である。

コメント

  1. 河太郎 より:

    税金は人の金だからどうでも良いのでせう。まぁこれは他の政治家も霞が関の官僚も同じすけどね。

    • 木霊 木霊 より:

      うわぁ、ソレを言われちゃうと。
      いや多分そういう空気は政治家にもあるんでしょうけれど、見えるところに出して欲しくはないですよ。……石破氏は結構そういう側面は見える気がします。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    石破さんはねぇ……
    悪いオタクなんですよねぇ……
    自分の推し以外は認めないタイプ。
    そう思えて仕方ないです。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      同担拒否する輩は、本当にろくな奴がいませんねぇ。
      異論は認めて頂いてこその民主主義ですから。