メディアが大騒ぎしているが、然程騒ぐようなことでもないだろう。
ロシア軍機が3度領空侵犯 空自機初めて「フレア」で警告―北海道・礼文島北方で・防衛省
2024年09月23日21時56分配信
防衛省は23日、ロシア軍の哨戒機1機が、北海道・礼文島北方で3度にわたり、日本の領空を侵犯したと発表した。
時事通信より
陰謀論者も大活躍しているようだが。
表面化してきた外交問題
IL-38哨戒機が飛来
航空自衛隊が出したのは、航空自衛隊北部航空方面隊のF15戦闘機とF35戦闘機であったようだ。スクランブルにF35A戦闘機を持ち出すようになったか。


一方、対象機はIL-38哨戒機であった。

この写真で、みんなが驚いたのはIL-38哨戒機が爆弾倉の扉を開いていたことである。

IL-38哨戒機は魚雷・爆雷・機雷を搭載できるほか、ソノブイと同じ場所に搭載している。場合によっては空対空ミサイルを翼下に搭載することも可能なのだとか。
流石に、単独で威嚇用に飛行させるのに、空対空ミサイルを装備した機体を持ち出しては来ない。そんな無神経なことをしたら、迎撃されても文句は言えなくなってしまう。
意図的な領空侵犯
なお、今回は3回も日本の領空を侵犯するなど、明らかな挑発行為を行っていったようだ。
同省によると、23日午後0時50分ごろにロシア軍のIL38哨戒機が大陸方向から飛来し、礼文島北方の空域で午後1時3分から約1分間領空に侵入。同機はその後周辺でジグザグ飛行や旋回飛行を続け、午後3時31分ごろと同42分ごろにも2回、領空に入った。
時事通信「ロシア軍機が3度領空侵犯」より
飛行ルートはこちら。

1機だけで飛来して、上空で踊りながら領空侵犯を意図的にやると。明らかな挑発行為なのだが、流石にここまでやられると、無線通告だけで済ませるわけにも行けないという判断になったのだろう。
同省によると、23日午後0時50分ごろにロシア軍のIL38哨戒機が大陸方向から飛来し、礼文島北方の空域で午後1時3分から約1分間領空に侵入。同機はその後周辺でジグザグ飛行や旋回飛行を続け、午後3時31分ごろと同42分ごろにも2回、領空に入った。
空自はF35とF15を発進させて対応し、無線による呼び掛けや警告を実施。3度目の侵犯の際に、フレアを射出したという。ロシア機は午後5時50分ごろまで飛行を続け、大陸方向に去った。
時事通信「ロシア軍機が3度領空侵犯」より
爆弾倉の扉を開いた状態が、どのタイミングだったのかについては明らかにされてはいないのだけれど、フレアの射出前だったろうことは想像出来る。

こんな感じの行動を行ったのだろうと思われる。
フレアはデコイの役目
基本的に、戦闘機に搭載されているフレアの役割は、空対空ミサイルに対する回避行動ということになる。
フレアの役割は、敵のミサイルやセンサーを騙すための囮(デコイ)で、機体表面の投射装置(ディスペンサー)から射出されると、それ自体が約2000度という高温で激しく燃焼し、こちらに向けられたミサイルやセンサーを誤作動させる狙いがあります。
また、ミサイルにはレーダーを使ったものもありますが、こちらの場合はレーダー電波に効果がある「チャフ」が使用されます。チャフはガラス繊維にアルミなどの金属を蒸着したもので、空中に散布されるとレーダー電波を反射します。これによってフレアと同じ仕組みでレーダー波を使ったミサイルやセンサーを誤認させます。
ただ、チャフは見た目が派手なフレアと異なり、投下されても目視は難しいことから、映画やイベントで使われるのはもっぱらフレアだけとなってしまっています。
乗り物ニュースより
ミサイルやセンサーは熱源を探知して飛来するタイプのモノがあるので、コレを欺す目的で使われるのがフレアだ。エンジンより高熱の物体をバラ撒くことで、熱源探知センサーを欺すのである。
ただ、この「高温で激しく燃焼する」という特性から、エアショーに使ったり警告にも遣われるケースがある。
もっとも、投下に関しては、パイロットだけでなく機体側が自動で行うこともできます。フレアやチャフが装填された投射装置には自動モードと半自動モードがあり、機体のセンサー(相手のレーダー波を探知するレーダー警報受信機など)がレーダー照射やミサイルの飛来を探知した場合、その脅威度や状況に合わせて自動的にフレアとチャフを投下してくれるのです。
映画ではミサイルの飛来をパイロットや他の編隊の仲間たちが目視で確認して警告を出していましたが、実際の戦闘で飛んでくるミサイルを人間の目、すなわち肉眼で見つけるのは難しく、このような自動モードも使われます。
乗り物ニュースより
余程、強い警告をしたかったのだろうね。現場判断で行ったということなのだが、適切な行動であったように思う。
フレアはミサイル回避などに用いる装置で武器使用には当たらないが、熱や閃光を相手に示すため、対領空侵犯措置ではより強い警告の意思を伝えるために用いられる。空自が無線や機体動作以外の手段を用いて対応したのは1987年に旧ソ連軍機に信号弾による警告射撃を行って以来2度目という。
時事通信「ロシア軍機が3度領空侵犯」より
ただ、これまではこういったことが行われていなかったので、ちょっと騒ぎが大きくなったという。
演習と監視
そして、この話の前提として、この周辺海域で演習が行われており、更にそれを監視している状況であったことがある。
礼文島近くの宗谷海峡では22日から23日にかけてロシア海軍と中国海軍の艦艇合わせて9隻が日本海からオホーツク海に向けて航行したのが確認されていて、防衛省が今回の領空侵犯との関連について分析を進めるとともに、警戒と監視を続けています。
NHKニュース「ロシア軍哨戒機が領空侵犯」より
ロシア海軍と支那海軍が合同演習をやっている。一方、海上自衛隊はこのロシア海軍と支那海軍の合同演習について監視している。この近海では、近年、アメリカやイギリス・ドイツ・フランスなどと合同演習を行うなど活動を活発化させている。
つまり、海面下では別の戦いがある状況なのである。
それに併せてソノブイを投下する積もりだったということなのだろうね。
まあ、こんな感じで騒いでいらっしゃる方々もいらっしゃるわけだが。
コミュニティノートが付いている状況なので、流石に看過出来ない発言だと一般的には理解されているとは思う。変な情報には踊らされたくないモノである。
積極的に外交を
現状、日本側は遺憾砲しか出していないようだが。
ロシア軍機の領空侵犯、岸田首相「極めて遺憾だ」…警戒監視に万全期す考え示す
2024/09/24 07:32
岸田首相は23日午後(日本時間24日未明)、ロシア軍機による北海道・礼文島北方での領空侵犯について、「極めて遺憾だ」と非難し、警戒監視に万全を期す考えを示した。訪問先の米ニューヨークで記者団の質問に答えた。
讀賣新聞より
ロシアが露骨な威嚇行為をやってきたのであれば、外交的な措置を考えるべきである。非難するのは効果が薄いので、経済的な措置をちらつかせるとか、税制的な措置をちらつかせるとか、そういう対応をしても良いのではないか。
これに関しては、対支那外交でも全く同じことが言える。向こう側がシコシコと外交カードをこしらえているのに、こちらがいつまでも下手に出るというのは誤りである。
共産主義国家は、力の信奉者なのだから、日本側の「力」を見せることこそが外交に繋がると思うんだけどね。
今年は随分開催が少ないNSCだけど、招集かけて話し合いしても良いんだよ?
それだけでも外交カードにはなるんだから。
コメント
ふうん……知人の医師の方はミグ25が函館に強行着陸した時に、ソ連が奪還に来ると臨戦態勢になってピリピリした話をなさってましたが、私も大韓航空機撃墜事件の直後は、毎晩、夜中に二度三度と叩き起こされる日々でしたからねぇ。あと除隊直前にアンノウンが迫ってきて、対空用誘導弾が出てきて発射コードのコードブックを持たされた3尉殿の顔色が蒼くなってくの見てます。
それに比べると、そんな騒ぐほどシリアスか?とは思いもするんですよね。
ミグ25のベレンコ中尉亡命事件(1976年)は、世界的にも驚かれたのでしょうから、現場の人には凄く衝撃だったのでしょうね。
大韓航空機爆破事件(1978年)と大韓航空機撃墜事件(1983年)。なにか、並べてみると末期のソ連が如何に混乱していたかが伺えますね。
そして、それに対処しなければならない立場の方々の苦労たるや。頭が下がります。
今の自衛官たちも、胃が痛い思いをされているのでしょうね。
こっちの戦闘機を引っ張り出して演習の標的にしてた可能性もありますよ
それならフレアも納得です
執拗に挑発されていましたから、演習のために釣り出すつもりはあったかもしれませんね。
こんにちは。
同時期に、中露の艦船が北上していたらしいので、飛行経路からして対潜訓練でもしていたのでは無いかと愚考する次第。であれば、爆撃弾倉開放も頷けるところ。
ロシア機はソノブイ落とすときにベイ開けるんでしょうかね?IL-38は出自からしても「オライオンスキー」なので、ソノブイ放出方式もコピーしていると思ってますから、これは対潜爆弾か何か落とす演習のつもりでしょう。
あるいは、水上艦に対する威嚇か?空対艦ミサイルでも積んでたか?
※間違っても、ここから空対空ミサイルは出ない。
※空自機には、是非、下からも激写してほしかった。あるいは、アクションカメラ(死語)したけど公序良俗に反するから公開出来ない?(意味深)
懸念するのは、これ、いわゆる「東京急行」とは別の命令系統で動いているだろう事ですね。
だとしたら、あうんの呼吸は通じないし、何なら一触即発も有り得る。
空自機は、多分、これからは曳光弾も積んで出る事になるのでしょう……
こんにちは。
弾倉扉の開放でかなり騒ぎになっていますが、そんなのは現場判断に任せるしかない話。ただ、非常に危険な状況になったときに迎撃できないでは話になりませんから、できるように法整備をし直す必要はあります。そうなると、やはり軍事法廷の用意は必要でしょう。
で、ソノブイの投下ですが、P3Cオライオンと違って弾倉扉の開放が必要のようです。ですから、今回の話は本当に大した話ではないと思います。
ただ、煽り方からして、更に過激なことをやってくるリスクは高いので、曳光弾積んで出る必要はあるんじゃないですかね。