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支那、売れ残り住宅の買い取り進まず、不動産不況はより深刻に

中華人民共和国ニュース
この記事は約8分で読めます。

知ってたよ。

中国、売れ残り住宅の買い取り進まず-地方政府の慎重姿勢顕著

2024年9月11日 12:18 JST

中国の中央政府は5月、国内200以上の都市に対し住宅市場の供給過剰を緩和するため売れ残り住宅を買い取るよう要請した。それから3カ月余りが過ぎたが、この呼びかけに応じたのはわずか29都市に過ぎない。

Bloombergより

そもそも地方政府に対応できるわけがない。

というわけで、久しぶりに(そうでもないか)支那経済の続報である。定期的に整理してはいるけど、新たな情報はどんどん出ている。今回取り扱うのは、以前発表した「住宅買い取り」政策の成果についてだね。

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計画からして杜撰

絵に描いた餅

この方針が発表された時、僕は「理解不能だ」と評価した。

「売れ残った住宅を地方政府が買い取り、ソレを住民に安く販売しろ」って、そりゃ、誰が考えても上手く行くはずがないと、そう思うよね。

だって、買う人がいないから売れ残っているのだし、買い手であるハズの地方政府が借金まみれで青息吐息なのだから、金が出せるわけがない。

調べて見て頂くと分かるが、流石にいつもは支那の肩を持つ多くのメディアも、「むりじゃないの」と思っただろう。そんな記事を色々書いている。

アングル:中国政府、売れ残り住宅処分へ「一石二鳥」の打開策

2024年7月17日午後 4:01

中国政府は5月、地方政府に対し、新築住宅を買い取って低所得者が住める「保障性住宅」政策に活用するよう命じた。これを受けて地方政府がまず打ち出したのは、保障性住宅を購入したり賃貸できる資格者を低所得者層以外にも広げることで、人手不足など他の経済問題の解決にも役立てる計画だ。

~~略~~

アナリストは、長期的に家計消費を促進するためには、この制度を拡大し、他の改革で補完する必要があると言う。

ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ハリー・マーフィー・クルーズ氏は、保障性住宅が現時点で中国の住宅在庫の約5%を占めると推計。これを20%ないし30%に引き上げれば、多くの中国人やマクロレベルでの家計消費にとって「大きな恩恵」となるが、そのためには3兆元から4兆元の資金手当てが必要になるという。

クルーズ氏は「中国は経済の不均衡を是正することが必須だ。将来的に持続的な成長を引っ張っていくには家計の消費が必要になる。保障性住宅はそのための特効薬ではないが、戦略の重要な柱であるのは間違いない」と話す。

ロイターより

ロイターなどは「効果はあるんじゃない」と評価しつつ、その中で「ただし、3兆元から4兆元の資金手当てが必要」とか無茶なことを言っていた。60兆~70兆円規模の資金手当って、支那の何処を探したら出てくるのか。債権でも発行しろということなのかな?

でも、もしそんなことをやったら、支那中央政府は財政破綻してしまうだろう。何しろ、支那の人口よりも供給量が多いと言われている不動産である。そして、更に不動産開発業者は未完成の物件も数多く抱えている。優良な物件を適正な数だけ買い取るのならまだしも、何処までが投機性のあるジャンク物件なのかさっぱり不明だ。

そして、市場にそれだけジャブジャブと金を突っ込むと、インフレを加速させてしまいかねない。いや、流動性の悪化している今のタイミングなら、ある程度突っ込んでも大丈夫かもしれないが。

不景気で物価上昇

ところで、支那経済といえばMoney1様のところでこんな記事が。

中国「大変な不景気で物価が上昇」それはスタグフレーションでは?
2024年09月09日、中国の国家統計局が08月の消費者物価指数(CPI)を公表しました。↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。2024年08月の全国消費者物価は前年比​​0.6%上昇しました。このう

もう、デフレ傾向っていうよりスダグフレーションでは?という内容なのだが、否定しにくい話である。

なお、景気に関してもこんな記事が。

中国「31の市省」上海市以外は全滅の赤字。
中国の地方政府の財政は「お金がない」ので、まあ事実上破綻しているようなものです。2024年01~07月の財政収支のデータが出ていますのでご紹介します。以下をご覧ください。2024年01~07月全国各省の財政収支状況(億元)広東:-2,129
中国「インフラ開発の自転車操業はもう限界」吐露する法律を施行。イナゴも食べ物がなくなれば死ぬ
中国といえば、いりもしないインフラ開発が持ち味。地方政府は土地の貸し出し収入を基盤に、大規模なインフラ開発を進めてきました。これがGDPも押し上げることにもなったわけですが、野放図なこの開発もいよいよ限界に達したと見えます。当たり前ですが、

何かもう、天文学的な負債が積み上がっているのだが、支那の地方都市にとってはあまり気にしても仕方のない事案なのかも知れないね。とにかく、地方政府はもう金がないのである。更に悲惨なことに「不良物件は買い取るな」というお達しまで出ている始末。

第十三条

政府が投資して建設する市政インフラ資産については、法律に基づいて厳格に基本建設の承認手続きを履行し、資金の出所を確保し、予算の制約を強化し、政府の債務リスクを防止しなければならない。

収益がない、または収益が不足している市政インフラ資産に対して、不法・不適切な借り入れを行うことを厳禁とし、潜在的な債務を増加させてはならない。

Money1様のサイトより

いや、そんなこと言われても、どの物件が地雷物件なのか地方政府にももうわからない状態なんだけれども、どうする気なのだろうか。

鉄道事業の赤字

ちょっと前にも話題にしたが、支那の鉄道事業ってかなり無秩序に延長を繰り返している。

ええと、この記事では高速鉄道がどの程度延長されているのか、視覚的には紹介しなかった。

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鉄道総営業距離は2023年末時点で15万9000kmで、これが世界2位であると。そのうち支那高速鉄道の営業距離は4万5000kmなんだ。4万5000kmという長さは世界の全高速鉄道網の2/3以上であり、高速鉄道の営業距離なら世界でぶっちぎりで1位。

でも、営業赤字が累積で122兆円相当なんだとか。

中国国有鉄道、累積赤字が122兆円超

2022/09/5 13:30

中国の国有鉄道である国家鉄路集団(国鉄集団)は2022年上半期の決算を発表した。総売上高は4857億元(約9.87兆円)で、純損益については去年上半期の507億元(1.03兆円)を58.5%も上回る804億元(約1.63兆円)の赤字となった。累積赤字額は前年同期から3.45%増えて6.00兆元(約122兆円)となり、負債率は去年末より0.48%増えて66.81%となっている。

中国経済新聞より

当然ながら、黒字化する予定はない。何しろ、今なお延長し続けており、2035年までには7万kmを達成する目標だとか。

急速に発達させた高速鉄道網だが、メンテナンスのことは一切考えていないらしい。線路など、定期的に交換が必要なはずなんだけど、どうするんだろうね?

中国、未使用の高速鉄道駅乱立 無計画と批判も、最低でも26駅

2024/06/12

中国で、建設後に使用停止や未使用のままになっている高速鉄道の駅が多数存在し、物議を醸している。中国メディアによると、北京を含む全国各地で少なくとも26駅に上る。辺ぴな場所にあり利用客が少ない駅が多く、無計画な開発を避けるべきだと批判の声が上がっている。

共同通信より

お、おう。

高速鉄道の駅建設は地方政府幹部の実績になる。駅を核として都市発展が進むとの期待も高く、各地で開発が進む。建設費用などの投資額が1億元(約22億円)を超えるケースもあるという。

遼寧省の省都にある瀋陽西駅は中心部から20キロ以上離れており、2018年12月の開業から7カ月弱で営業停止となった。

共同通信より

なんというか、法律で禁止された投資行為そのものだな。

不動産開発はもうだめ

そういえば、刑事事件にも発展していたようだね。

中国、不動産資産運用の海銀に刑事捜査-投資家資金にも影響か

2024年9月11日 18:00 JST

中国当局は資産運用会社の海銀財富管理が違法な資金調達に関与した疑いがあるとして、同社に対する刑事捜査に着手した。上海警察が発表した。海銀で複数の容疑者に対して「強制措置」が取られたという。

Bloombergより

お、おう。

中国の不動産開発株が急落、ストックコネクトの対象から外れる

2024年9月10日 14:30 JST

10日の取引で中国の一部デベロッパーの株価が急落。中国本土の証券取引所と香港取引所をつなぐストックコネクト(株式相互取引)の対象銘柄から外れたことが響いた。低迷する不動産セクターにとって新たな打撃だ。

Bloombergより

焼け野原になるまでには未だ時間がかかりそうだけれど、様々なニュースがここのところ飛び交っていて、正直、「何が起こっているのか」を把握するのは難しい。

ただ、1つわかっていることがある。

支那の不動産開発業は、全てを焼け野原にしない限りは回復は見込めないってことだ。支那当局ですら、「何が問題なのか」という全容を把握してはいないだろう。当然、外からも何が起こっているのかは観測できない。

日本はバブル崩壊時に、あっちこっちに手を入れて腐った部分を断ち切った。が、そこから回復に費やした時間は20年間だといわれている。腐った部分を抱えたままでは回復もみこめないのだが、さて、どうするのだろう?僕には予想もつかない。

追記

そして凄いニュースが。

中国が定年を引き上げ 来年1月から15年間かけて段階的に 男性は60歳から63歳に

2024/9/13 16:20

国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)常務委員会は13日まで開いた会議で、労働者の法定退職年齢を段階的に引き上げることを決めた。来年1月から15年間かけて段階的に引き上げる。中国国営新華社通信が伝えた。

現行の定年は男性が60歳、女性が50歳(管理職は55歳)で、これを15年をかけて男性は63歳、女性は55歳(管理職は58歳)にそれぞれ引き上げる。

産経新聞より

唐突な感じがするけど、避けられない選択なんだろうね。

法定退職年齢の引き上げは、少子高齢化の進展に伴う労働力不足や、平均寿命が延びていることなどに対応する狙いがある。一方で、就職難や失業に苦しむ若年層などから反発が生じる可能性もある。

産経新聞「中国が定年を引き上げ」より

若年失業率は5割越えだと言われているので、ますます就職が困難になる悲惨な未来が見える。でも、定年を伸ばさないと、困るのも事実。

実は支那には年金なるものが存在していないので、子供達に支えて貰うしかないんだけど、その子供達が就職できない。喰えない老人が大量発生するのは目に見えていて、人民側から「定年を伸ばしてくれ」という突き上げは激しいのだと思うよ。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    >営業赤字が累積で122兆円
    やあ、これはこれは。
    空母どころか打撃群まるごと買い取って「エリア88打撃群」作っても、数年は余裕で運用出来そうですね、金額的には。

    >回復もみこめない
    古来、政権を倒して全て御破算、の国ですから、また群雄割拠の乱世に戻るだけでは?
    つか、そうなるのを見てみたい。
    こっちに火の粉が飛んでこない前提ですが。無理だろうな……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      これからも生暖かく見守っていく所存であります。
      しかしどうするんでしょうねぇ?斜め上の回答を期待しておりますよ。

  2. 砂漠の男 より:

    支那経済の主要成長エンジンの不動産業がいつしか制御不能になり、気が付いたら巨額の負債が積みあがっていて、さらに雪ダルマ式に増えるばかり。

    利に敏い外資が慌てて逃げ出して、支那経済はカネ回りが悪くなり、時経ずして地方政府(自治体)では肩たたきと減給がはじまって、地方銀行は数千行規模で倒産が進行中、主要銀行も地方支店を閉鎖する有様で、金融業界も死屍累々。
    不動産業の失速・低迷が、地方政府の財源を奪い、金融業界にまで波及したーこれが今の状況と認識しています。6~7月頃、どこかの金融レポートで「2024年金融恐慌の可能性」をみましたが、いまではまるっきりハッタリでもなさそうだと思っています。

    支那では、すでに海外旅行制限や金融規制緩和が実施されており、一部の金融機関では預金封鎖(預金引出し制限)が始まっています。
    いつも上海を定点観測しているのですが、商業施設は閉店ラッシュ(上海伊勢丹も最近閉鎖)、人々の賑わいはどこにもなく、いまはまだホームレスがいないことくらいが救いでしょうか。南部の広州市や深圳市あたりでは、ホームレスが増えているそうですから。

    とどのつまり、支那経済それ自体が、いまや茹ガエル状態なんでしょう。

    • 木霊 木霊 より:

      2024年金融恐慌ですか。
      強ちない話ではないのが恐ろしい。

      支那では「力」で取り付け騒ぎを封じているようで、散発的に騒ぎになっています。
      残金引き出し制限は誤魔化しつつ続けているようですが、表に出てこれば厄介な騒ぎになると思います。
      危ないのは冬で、人は食えなくなると「最後の手段」に移ります。その時、人民解放軍を動かせればよいのでしょうが、そちらにも給与が支払えない状況みたいですね。
      導火線に火が点くのを待つばかりなのかもしれません。

    • 七面鳥 より:

      横合いから失礼。

      >支那では、すでに海外旅行制限や金融規制緩和が実施されて

      このへん、マスコミから情報出てきたの見たことないですね。
      箝口令でも敷かれてるのかな?
      観光地は未だに中国語がいっぱいで辟易しますが……
      ロウソクは消える前が一番明るい、のですよね。

      • 木霊 木霊 より:

        そうですねぇ。
        何らかの箝口令が出ているのか、或いは支那に阿る報道をすると、何らかの美味しい利益が得られるのか。