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イギリスでは刑務所が「パンク状態」で受刑者を釈放へ

北欧ニュース
この記事は約7分で読めます。

軽めのネタをもう1つ。

英 刑務所パンク寸前で受刑者1700人釈放 増設が間に合わず

9/11(水) 2:33配信

過密状態となっているイギリスの刑務所で受刑者の早期釈放が行われました。

テレ朝NEWSより

日本のメディアを幾つかあたってみたけれど、ほぼ内容は同じ。そして、意味が分からなかった。

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改革が必要な問題

暴動の影響?

そんなわけでBBCからの引用である。

イギリス、刑務所の過密緩和に緊急措置を発動 暴動めぐる起訴多数で状況悪化

2024年8月19日

イギリス各地で、7月末のサウスポートでの死傷事件をきっかけに2週間近く続いた暴動を受け、暴徒が次々と起訴され、有罪判決が言い渡されている。こうした中、イギリス政府は19日、刑務所の過密状態を緩和するための緊急措置を発動した。

これによってイングランド北部全域では、公判を控える被告人は刑務所にスペースが確保されるまで、警察署の留置場で勾留されることになる。

「オペレーション・アーリー・ドーン」(早朝作戦)と呼ばれるこの緊急措置は、19日朝に発動された。これは今年5月にも、当時の保守党政権下で発動された。

BBCより

少し前の記事ではあるが、どうやら暴動絡みのニュースのようだね。

ええと、このブログでもイギリスの暴動の話は幾つか取り上げた。

コイツの結論は移民政策の失敗である。移民が悪だという話ではなくて、急激な他国からの人口流入が国家を危険に晒すという話である。

それで、暴動を起こした人々を逮捕して刑務所に入れようとしたら、空きが無いので、無理矢理空きを作ったというお話のようだね。

イギリス政府は「街頭での暴力的な犯罪行為に取り組む」行動が、「刑務所の収容能力という長年の課題を悪化させた」とした。

イングランドとウェールズを所管する検察庁(CPS)によると、イングランドで起きた暴動では470人以上が起訴されている。

~~略~~

刑務官組合のマーク・フェアハースト委員長は18日、BBCに対して、暴動の影響で1週間の間に異例な人数が新規に収監されたと説明。「1週間で397人が新たに収監された。16日の時点で、最も圧迫されている成人男性用の閉鎖型施設には、340人分のスペースしか残っていなかった」と話した。

BBC「イギリス、刑務所の過密緩和に緊急措置を発動」より

……他に方法は無かったのかよ。

多数の受刑者が釈放へ

冒頭のニュースは、内容が殆どないわけだが……。

イギリス政府は家庭内暴力や性犯罪、4年以上の刑期で服役する受刑者を除き、来月末までにおよそ5500人を釈放する予定です。  

地元メディアによりますと、麻薬の密売や強盗などで服役していた受刑者も含まれていて、専門家や市民からは再犯を懸念する声も上がっています。

テレ朝NEWS「英 刑務所パンク寸前で受刑者1700人釈放」より

量刑の軽い受刑者を早めに出所させる方針のようなのだけれど、テレ朝は的外れなことを書いているね。「再犯を懸念する声」って、そんなのは刑期を満了して出所しても変わらないでしょうに。

寧ろ、「麻薬の密売や強盗などで服役していた受刑者」だって、刑期を満了すれば出所するわけで、「危ないので閉じ込めておけ」というのは幾ら何でも暴論である。

そのような懸念よりも、そもそもの計画がイマイチだったということが問題ではないだろうか。

「何が起きてもおかしくない」過密危機にあるロンドンの刑務所を取材

2024年9月6日

英イングランドとウェールズ全土の刑務所が、過密の危機に直面している。

イギリスでは禁錮刑の受刑者だけでなく、公判開始や判決を待つ被告も刑務所に勾留される。

BBCより

なお、現政権は前政権の失敗であると批判しているようだが。

英刑務所パンク寸前、数千人早期出所へ 「前政権の失敗」

2024年7月13日 5:55

英国のシャバナ・マムード法相は12日、服役中の受刑者数千人を早期出所させる計画を明らかにした。受刑者の増加に刑務所の建設が追いつかずパンク寸前となっているためだ。スナク前政権の失敗だと非難した。

4日投開票の総選挙で労働党が14年ぶりに政権を奪い、スターマー内閣が発足した。法相に就いたマムード氏は12日の演説で「刑務所は崩壊寸前」と述べ、緊急の対応策を示した。

日本経済新聞より

ああ、7月の報道(暴動発生前)でも刑務所がパンク寸前だという話があって、9月には緊急の対応策として早期出所を計画していたみたいだね。

ただ、暴動の影響で更に状況が悪化したという話のようだ。

イギリス政府は「街頭での暴力的な犯罪行為に取り組む」行動が、「刑務所の収容能力という長年の課題を悪化させた」とした。

イングランドとウェールズを所管する検察庁(CPS)によると、イングランドで起きた暴動では470人以上が起訴されている。

ジェイムズ・ティンプソン刑務所担当相は、「危機的状況にあり、衝撃を受け続ける司法制度を私たちは引き継いだ。その結果、制度の機能を維持するため、難しくても必要な決断を強いられている」と述べた。

BBC「イギリス、刑務所の過密緩和に緊急措置を発動」より

なるほどね。

新制度では、刑務所の収容能力が確保されるまで、勾留中の被告の一審公判は開始されない。このため、審理開始が遅れる可能性があり、公判を待つ被告は留置場での拘留が続くか、保釈されることもあり得る。

BBC「イギリス、刑務所の過密緩和に緊急措置を発動」より

これまでは公判前の被告を刑務所に入れていたのだけれど、留置所で拘留する保釈するかという話になるらしい。

刑務所の抱える問題

ちょっと前の記事だが、イギリスで「スマート刑務所」を作るという報道があった。

イギリスのスマート刑務所の狙いは何か

2022.11.02

イギリスでは東ヨークシャの HMP Full Sutton刑務所が、3番目のスマート刑務所として2025年に開設されます。イギリスには既にに2つのスマート刑務所がオープンしています。

スマート刑務所は、フィンランドやアメリカでも開設されていますが、イギリスの場合は刑務所の セキュリティに様々なテクノロジーを導入する点が特徴的です。

特にドローンによる物資の配送や浸入を防止したり、高性能なボディスキャナーを導入しています。なぜこんなテクノロジーを導入しなければならないかというと、実はイギリスの刑務所ではドローンによって麻薬や武器、スマートフォンなどの刑務所への「密輸」が後を絶たないのです。また、訪問者や受刑者が体内に様々な武器や物資を隠して持ち込んでしまうからです。

イギリスの刑務所は、他の政府の設備と同じく人不足で、監視が行き届いていません。そこでテクノロジーを導入して効率化を図ろうとしているのです。

Wire less Wire Newsより

イギリスの刑務所が人手不足なので効率化を図りましょうということだったと思うが、収容のキャパシティも足りていないので増やさねばならないとすると、これはなかなか大変そうである。

日本の刑務所も色々問題を抱えてはいるようだが、法治国家であり続けるためには必要な機能ではあるので、ある程度のコストをかけて維持するしかない。ただ、活動家が「ジンケンガー」と騒ぐネタになることもあって、結構神経を使わねばならない問題のようだね。

今後どうしていくべきか議論

さて、短期的には収容人数を変動できないので、早期釈放措置でなんとかコントロールするということとするようだが、長期的には別の問題の解消をする必要があるだろう。

イングランドとウェールズの刑務所の現在の収容人数は89,191人。金曜日の時点で、刑務所の収容人数は87,893人だった。

治安判事協会の最高経営責任者トム・フランクリン氏はBBCラジオ4のトゥデイ番組で、緊急措置が発動されたことは「驚きではない」と語った。

同氏は、司法制度は「何年も前から危機に陥っており、国民の目に留まっていないことが多かった」と述べた。

同氏はさらに、ここ数週間の市民の混乱により「適切に運営され、十分な資金が確保された司法制度」の重要性が国民の意識に浸透し、「長期的にこの状況を改善するために何をする必要があるか」についての議論が活発化したと付け加えた。

9月には、一部の受刑者を早期釈放する別の措置が施行され、さらに多くの刑務所スペースが設けられる可能性がある。

BBCより

早期釈放するにしても、釈放すべき人間はしっかりと見極める予定のようだ。

7月、シャバナ・マフムード法務長官は、受刑者が服役しなければならない刑期の割合を50%から40%に削減する計画を発表した。

この一時的な措置により、9月と10月に5,500人の犯罪者が釈放されると予想されている。性犯罪、テロ、家庭内暴力、または一部の暴力犯罪で有罪判決を受けた者には適用されない。

BBCより

刑期の一割引きか。なかなか衝撃的ではあるが、誰彼構わず釈放ということではないようなので、そこは心配には及ばないらしい。

ただ、問題の解決というわけには行かないようだ。イギリスの刑務所も構造的な問題を抱えているようで、前政権でも現政権でも収容人数を増やす方策については、打ち出せていない。簡単に解決するような話でもないんだろうけれども。

コメント

  1. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    かつての大英海軍みたいに、強制徴用して戦列艦の船倉に詰め込んでおけばいいのに……

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      それは……、ありですね?!
      島流しとかできれば良いのに、と思ってしまうこともありますが、流石に現実的ではありませんね。