前からこの手の話は指摘されていたんだけど、リスクとして顕在化してきたからさっさと手を打ったということか。
手術ができない…抗菌薬の原料・原薬100%中国依存の恐怖 製薬各社が国産急ぐ深刻理由
2024/9/11 08:00
感染症の治療や予防に欠かせない抗菌薬の原料と原薬の「脱中国」に向けた取り組みが加速している。抗菌薬は供給がなくなれば適切な治療や手術ができなくなるため、まさに日本人の〝命綱〟といえる。政府は経済安全保障の観点から抗菌薬を「特定重要物資」に指定。ほぼ100%という中国依存のリスクを減らす必要性が高まっており、製薬会社が国産化を急いでいる。
産経新聞より
それにしたって「ほぼ100%」って。
経済安全保障の観点から必要
有名なのはペニシリン
そもそも「抗菌薬」ってのが一体何なのかという話を少し。
抗菌薬とは
2017年9月
抗菌薬とは細菌を壊したり、増えるのを抑えたりする薬のことを指します。その中でも微生物が作った化学物質を抗生物質、抗生剤ということもありますが、このサイトではすべてまとめて抗菌薬と呼んでいます。
AMRより
抗菌薬の投与によって、細菌を壊したり増えるのを抑えたりすることが出来るので、手術前に投与するような用途に使う。
ただ、かなり基本的な薬で、作り方も確立されていることから、お安いのがネックなのである。
英国の細菌学者フレミング博士によって青カビから発見されたぺニシリンは感染症の治療などに使われる抗菌薬で、「20世紀最大の発見」とも評される。内科や耳鼻科など身近な医療現場でも幅広く使われているほか、手術でも感染予防のため必要不可欠となっている。
ただ、こうした国民の生命に欠かせない存在にもかかわらず、ペニシリン系を含む「ベータラクタム系抗菌薬」の原料や原薬のほとんどを中国に依存。
産経新聞「手術ができない…抗菌薬の原料・原薬100%中国依存の恐怖」より
で、日本国内で製造していては利益が出ないことから、採算性の問題で国内の事業者は製造から撤退している。
30年ぶりに生産再開
が、流石に供給が止まってしまうと、人命に関わる話となるだけに、政府は経済安全保障の観点から抗菌薬を「特定重要物資」に指定。製造を目指すことに決定したようだ。
明治ホールディングス傘下の「Meiji Seikaファルマ」の岐阜工場(岐阜県北方町)では、かつて東洋一とされた高さ約11メートル、容量165キロリットルのタンクが存在感を放っている。その正体はペニシリン系抗菌薬の原料・原薬を製造するための発酵設備で、三友宏一工場長は「ペニシリンをこの規模でつくれる工場は現時点で国内にはない。最短、最速、低コストの生産が実現できる」と胸を張る。
同社は抗菌薬の自給自足を目指す国の支援を受け、約30年ぶりにペニシリン原薬の生産を再開。年間200トンの原料生産を目標に令和7年中に本格製造に入り、12年までにその先にある原薬の量産体制の整備完了を目指している。
岐阜工場は昭和46年にペニシリンの原薬工場として操業を開始。平成6年まで製造を続けていたが、採算性の問題で事業を撤退していた。当時の従業員も事業に加わり、約140人で生産に向けた準備を進めている。
産経新聞「手術ができない…抗菌薬の原料・原薬100%中国依存の恐怖」より
採算性が改善するとは思えないので、事業として成立するかどうかはちょっと怪しい。したがって、政府の後押しがあるとは言え、どのような保護体制を敷いていくのかは難しいところ。
下手をすると利権に結びつきかねないからである。
安定供給に向けて進み出した日本。ただ薬価は低く設定されており、事業継続には国による長期的な支援が求められる。掛屋氏は「国内生産を可能にした後、安定的に維持させていくためには、薬価の見直しや一部の原薬は国が買い上げるなどの対応も必要だろう」としている。
産経新聞「手術ができない…抗菌薬の原料・原薬100%中国依存の恐怖」より
こういう面では、資本主義経済の弱味が出てしまう。利益を生み出さないものは必要な薬でも作られなくなってしまうからね。そういう部分では政府が口を出さざるを得ない面もあるんだろうけれど、決まった量を作ったら国が買いあげるという仕組みにしてしまうのも、難しいのだろうか。技術的進歩がない話になるのかな。
手探りでやっていくしかなさそうである。
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機械化したら安くできるのだろうか??
あまり論点はなく、国産化する以外の選択肢はあまり思いつかないのだけれど、これ、支那以外の第三国で生産するってな流れになる可能性もあるのかな?
コメント
日本製抗菌剤の原料・原薬のシェアを支那が100%握っていること自体が大問題ですが、ジェネリック薬品原料についても同様です。
日本で処方されているジェネリック薬品の薬効が、オリジナルのそれよりも劣ることは周知の事実ですが、これは支那や南鮮の薬品原料を使用している-原料の精製度が低い-からと言われています。ただ単に安価というワケではないんですね。
4,5年前に、奈良市の薬品化学原料メーカーが国産と偽って、支那製薬品原料を市場に流して厚生労働省の立ち入り調査を受けた事件がありました。当時、医薬品業界誌にかなり深刻に特集が組まれたりして、とりあえず医者にはジェネリックの処方を断れと言われていました。
ワクチンを含めて、医薬品それ自体の効用を否定するものではありませんが、一般人には製薬のしくみの詳細はわからないので、できる限り医薬品に頼らない生活が望ましいと思っています。
かなり深刻な問題なんですが、メディアはあまり気にしていないようですね。
まあ、政府がしっかりと対策してくれれば、それはそれで良いのですが。
ジェネリックの話はあまり存じ上げませんでしたが、そういえば、一時期、「ジェネリックは使わない方が良い」という話が出回っていましたね。
アレはそういうことも関係していましたか。