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高齢者の医療費負担増加を検討する日本政府

政治
この記事は約10分で読めます。

当然では?と思う反面、荒れるだろうなぁという感想を。

政府が75歳以上の医療費3割負担の対象拡大検討 高齢社会大綱案に明記、制度持続狙い

2024/9/4 19:28

政府の高齢化対策の中長期指針「高齢社会対策大綱」の改定案が4日、判明した。75歳以上(後期高齢者)の医療費窓口負担が3割となる人の対象範囲拡大を検討すると明記した。

産経新聞より

現在、社会保障費が増えすぎて、持続可能に維持することがかなり困難になってきている。其れなのに高齢者は増え続けているのだから、バランスが採れるはずがない。僕自身の将来に影響する話ではあるが、これくらいは飲み込むしかないのだろうね。

そして、これを時期首相候補の検討課題に押し付けようという岸田氏の思惑が透けて、「俺ができなかった課題をクリアせよ」という圧が凄いな。まあ、岸田氏も防衛費増額とか処理水海洋放出とか、よくもまあという課題を突破したから、ソレを言う権利はあるんだろうが。

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歳出を減らすか歳入を増やすか

社会保障費は増加の一途

先ずは、社会保障費の話を。

“社会保障給付費 2040年には165兆円に”民間シンクタンク試算

2024年6月11日 16時18分

少子高齢化の進展で、社会保障給付費が、高齢者人口がピークを迎える2040年には165兆円に上るという試算を民間のシンクタンクがまとめました。財政への負担がさらに大きくなることから、高齢者の自己負担割合の引き上げや、医療・介護の提供体制の効率化などで抑制を図っていくべきだとしています。

NHKニュースより

現在、日本は人口減少の方向に進んでいる。にも拘らず社会保障給付費は増え続けている。

図1 総人口の人口増加数及び人口増減率の推移(1950年~2023年)

その理由は少子高齢化が進んでいるからである。

図3 年齢区分別人口の割合の推移(1950年~2023年)

労働人口も減っているので、労働者一人当たりの負担は増える一方だ、というのは僕が小学生の時にはもう分かっていた話。

img

増える増えると言われている社会保障費は、平成18年時点で31兆円を投入しなければならない状況になり、令和4年になると52兆円投入する事態に。

比率を見ると、年金と医療費が膨らんでいることが分かる。それを放置し続けたのだから、政治家は一体何をやっていたのかと。

年金と医療費が膨張する理由

で、今後も増えていく年金と医療費なのだが、その理由は説明するまでもなく老人が増えているからである。

おそらく、手を付けやすいのは医療費の方だ。

高齢化に伴って医療費が膨張する中、公的医療保険制度の持続性を高めるのが狙いで、政府内の議論が加速しそうだ。改定は6年ぶり。与党の意見も踏まえ、近く閣議決定する。

産経新聞「政府が75歳以上の医療費3割負担の対象拡大検討」より

そして、おそらくこれ、「検討だけでおわる」パターンである。今まで通りならね。

理由はこの記事の通り、「与党の意見も踏まえ」という一文が入っているから。これは、何が書いてあるかと言うと、「公明党にもお伺いを立てますよ」という意味であり、公明党は断固として医療費負担の増加を反対する立場を崩さないだろう。

支持母体の宗教団体の高齢化が進んでいるからね。そうかそうか。

75歳以上の医療費で3割負担となる人の対象範囲拡大は、政府が昨年末に決定した社会保障分野の歳出改革工程表にも盛り込まれていた。現在、75歳以上の窓口負担は原則1割で、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割となっている。

産経新聞「政府が75歳以上の医療費3割負担の対象拡大検討」より

現在は、「所得があれば3割負担」ってことになっているが、これ、世帯年収合計が320万以上520万未満とならなければ2割負担にならないし、520万以上(2人の場合)とならなければ3割負担にはならない。

後期高齢者の医療費自己負担割合の区分変更

こんな感じで、被保険者全体の6割以上は1割負担のままである。

そして、医療費負担に含まれる高額な医薬が増えてきていることも、医療費増加の一因となっている。正直、3割負担してくれるゾーンと、2割負担してくれるゾーンを拡大する必要はあって、全体の6割位は2割負担してもらうくらいにする必要があるとは思う。それでも不十分なのだろうけれど。

ともかく、いま政治的決断をしておかないと、借金を先送りするだけの結果になる。「プライマリーバランスガー」とか言っている政治家は、先ずはココに手を付けなければ嘘である。

医薬の処方が多すぎる

また、医薬品の処方も未だに多いように思う。

正直、人間は年を取ればあっちこっちで不調が出てきて、そのうち死ぬのだ。後期高齢者である時間を引き伸ばしたところで、どれだけ幸せを感じることが出来るのやら。

そして、地域の医療・介護の提供体制を再編したり、集約したりして効率化を図ったうえで、金融資産を考慮し、高齢者の医療費や介護費の自己負担割合を原則3割に引き上げることや、一定期間、診察を受けなくても繰り返し使える「リフィル処方箋」の利用義務化などを求めています。

NHKニュースより

薬を食事の度に大量に飲み続ける生活が、本当に幸せなのだろうか?幸せの形は人それぞれだとは思うんだけどさ。

医師が処方する医薬の量を多少抑えるだけでも、圧縮効果は高い。

1、お薬はジェネリックにしよう

従来の先発医薬品と品質・効き目が同等であると国が認めたお薬です。薬の形・大きさなどの工夫ができ、薬の小型化や苦みを抑えるなど飲みやすいものもあります。
また、季節によって使用者が多くなる「花粉症」にも、内服薬・点鼻薬・点眼薬のジェネリック医薬品があります。

国民健康保険協会のサイトより

取り敢えず医療費削減目標として、ジェネリック医薬品の使用を推奨しているようで、これも1つの手段ではあると思う。が、「従来の先発医薬品と品質・効き目が同等」というのは怪しいので、医師の判断で選択肢を増やすのだ、くらいがこれに関しては幸せかも知れない。

ジェネリック医薬品の使用で、医療費の抑制が果たせるとしているが、コレもまた不健全な話だからだ。「全てジェネリック」にしたら、先発医薬品の立場がないし、医薬品の開発モチベーションが下がるというもの。

そんなことより、過剰に医薬品を処方するアホ医者の方を何とかした方が良い。

年金支給年齢

それと年金なんだけど、こちらは減らすのが難しい。

年金の財政検証「議論すべきは支給開始年齢の引き上げ」 昭和女子大の八代尚宏特命教授

2024/5/11 21:55

厚生労働省が5年一度、年金財政の持続性をチェックする「財政検証」が実施される。夏にまとめる検証結果は、来年の年金制度改正の議論に反映される。昭和女子大の八代尚宏特命教授は産経新聞の取材に対し、議論すべきポイントとして「年金の支給開始年齢の引き上げ」を挙げた。

産経新聞より

簡単そうで実現が難しいのが、支給年齢を遅らせるパターンである。やらざるを得ない部分はあるけれども、支持者の高齢者から猛反発を受ける政策になるからだ。

とはいえ、将来的にこうなることは既に分かっていることである。今、「税負担なしに」という社会保障政策の存続はほぼあり得ない情勢なのだから、少しでも圧縮の方向でというのは、誰もが理解可能な話である。

理解するかどうかは別ではあるが。

正直、世代間負担の考え方が既に破綻している。いや、正確に言えば65歳定年という考えが前提だと破綻するしかないというべきか。

こうした元気で長寿な未来を考えるとき、今も未来も「65歳」を区切りとして現役世代と高齢者の比率を考えるのはおかしいことに気づきます。肩車論を主張する人は、未来永劫(えいごう)「65歳引退」が変わらないと考えているからです。

2020年の推計値では高齢者比率28.6%、生産年齢人口の割合は59.1%となっており、2.07人で1人の老後を支えています。区切りは65歳です。これが約40年後の2060年も「65歳」を区切りにすると高齢者比率が38.1%、生産年齢人口が51.6%となり、1.35人で1人の老後支えることになり、確かに肩車型に近づいています。

ところが「75歳」を区切りとして高齢者比率を計算してみると、25.7%となります。65~74歳までの人口が12.4%相当あり、15~64歳の生産年齢人口比率51.6%を足すと合計64%。2.34人で1人の老後と支えることを意味し、現在より高齢者の比率は小さくなります。

少子高齢化、長寿化、人口減少だけは「変化」を見ているのに、リタイア年齢だけは「固定」して論じているからこそ生じるミスリードです。

日本経済新聞より

年金を破綻させないためには、受給年齢を引き上げるしかなく、そもそも年金は給料のようなものではなくって、長生き保険だって話を国民の皆さんに説明する必要がある。生涯働いて、働けなくなったときに受け取る保険だって話を正直にするしかないのだ。

それが嫌なら、全額税金で賄うように構造変革して、社会保障費ではなく増税して負担をお願いすることにすべきだろう。それを消費税で賄えば、恐らくは15%とかそういう数字になってくるはずだけれども、何をどう負担してもらうのか?というのは議論すべき時期なんだと思う。

あとは、福祉費というか介護の話をしなきゃいけないんだけど、これがまた難しい話なので今回はスルーしたいと思う。政治家がそんなこと言い出したら、徹底的に叩きそうだが。ええ、もしかしたら追記するかも?

追記

メディアが昔の発言を掘り返して、騒ぎ始めたな。

小泉進次郎氏「死ぬまで働け」戦慄の年金プラン “標準モデル”は萩本欽一…なんでそうなるの?

9/11(水) 9:06配信

~~前略~~

進次郎氏は「65歳以上は『高齢者』なんてナンセンス」と年齢前提の社会保障制度の見直しや、現在16~64歳の「現役世代」の定義を「18~74歳」に変更などと講演やインタビューで繰り返す。年金の受給開始年齢は「80歳でもいいのでは」と語ったこともある。  意味するところは「死ぬまで働け」──。いつも標準モデルに掲げるのはタレントの萩本欽一(83)だ。

Yahooニュースより

ソースは日刊ゲンダイのものだが、発言したことは事実で、過去にも炎上している。

進次郎氏は自称、国会議員初の「人生100年時代」の提唱者だ。2016年4月、進次郎氏を中心とする自民の若手グループが社会保障に関する提言集をまとめた。確かに〈人生100年生きていくことが当たり前になる未来〉と出てくるが、続くのは〈もはや戦後のやり方は通用しない〉という強い言葉である。

否定したのは〈「20年学び、40年働き、20年休む」という人生こそが普通で幸せ〉との考え方だ。

Yahooニュースより

「20年学び、40年働き、20年休む」というモデルの何が普通で幸せなのかは不明だが、2016年頃から人生100年構想を掲げていて、年金の受給開始年齢を80歳まで引き上げるという話は、なにもおかしいところはない。

働ける人は、働くことが出来る時期まで働くべきというのは、故安倍晋三も語っていた話だが、それを政策レベルで実現するには、極めて反発が大きいのは事実である。

でも、65歳定年は維持できる状況にないのも事実。

こんなことを呟いている方がいたが、保険は大半の人は使わない。だからこそ保険会社は成立するのよ?みんなが保険を受け取るようになったら、保険会社は倒産するしかない。

追記2

ええと、冒頭の記事と内容が同じなんだけど……、正式に決定したということなんだろう。

政府 新たな「高齢社会対策大綱」医療費3割負担の対象拡大検討

2024年9月13日 12時35分

さらなる高齢化を見据え、政府は13日の閣議で、新たな「高齢社会対策大綱」を決定しました。社会を持続可能なものにしていくため、75歳以上で医療費を3割自己負担する対象者を広げることを検討するなどとしています。

NHKニュースより

直ぐにでも広げるべきだと思うんだけど、ダメなの?

具体策の一つとして、75歳以上の医療費の自己負担割合について現在は「現役並みの所得のある人」としている3割負担の対象者を広げることを検討するとしています。

また、65歳以上の人が一定の収入を得ると年金が減額される「在職老齢年金」を含め、年金制度を働き方に中立的な仕組みにしていくことを目指すとしています。

NHKニュース「政府 新たな「高齢社会対策大綱」」より

働ける人には、働いて貰う路線だってことかな。

コメント

  1. みみこ より:

    どこかで、ある都内の区では「介護保険利用者」の半数以上が「外国人」だとの話を見ました。
    なんでも「少ない負担で良質の介護が受けられる日本はお得」と評判になっているとかで。

    これが本当なら、
    若い時代に保険料を負担してこなかった近隣国の老人が大量に押し寄せてきそうです(既にかも)。
    日本人だけでも大変なので、こういった「グレーな方達」は今食い止めたいですね。
    年金のように、介護保険の利用は保険料を10年以上負担している人を対象にする、とかできないものでしょうか。

    • 七面鳥 より:

      横合いから失礼。

      その為のマイナカード、国籍条項だと思っていたのですが……
      かなり骨抜きにされてますよね。

      年金も、国民皆保険も、生保も、本当の「国民」だけに絞ってほしい。
      「出産ツアー」とかふざけんな!って感じですよね。

      • 木霊 木霊 より:

        マイナカードの話は一進一退ですね。
        皆保険制度も、穴をつかれて色々と問題が出ているようですが、生活保護なんかも悪用されているので、社会保障制度は色々穴がありますので、都度、潰していくしかありませんね。

    • 木霊 木霊 より:

      外国人の話は、年金にも医療にも介護にも関わってくる話でして、健康保険証の話の時にも書きましたが、なかなか深刻みたいですよ。
      七面鳥さんがコメントされていますが、マイナンバーカードを健康保険証の代わりにして使うようになれば、多少は是正される話であると思います。
      介護保険も、現場では色々工夫されているようですが、犯罪まがいなことをやられるところもあるらしいので、なかなか難しそうですね。

  2. 河太郎 より:

    すみません。一度、書いたコメ消しました。みみこ様の仰る話は、ある程度だけれど嘘無いと思います。というのは行政側と、
    そうでない側と双方から聞いてるから。
    でも書けないんですね……。
    また高齢者医療についてだと、あるバーター案を胸に抱いてるんですが、それ書くとガチで木霊様に迷惑行くので、それも書けない。下手に医療に関わってきただけに、
    公の場で言えない事は多いんですよ。
    くだぐだの腰抜けコメで申し訳ありません。

    • 河太郎 より:

      象牙の巨塔じゃないですけどさ。
      医療の世界ってキレイゴト言わないと存在を許されない部分があって、それが嫌で東洋医学に舵を切ったが同じだった(笑)
      ただ、救急医療それも災害地でのそれを観た事があるならば、タグってのを御理解頂けると想う。治療の優先順位をカラーリングで決めるタグで、黒はデス。つまり医療資源を他に回せという指示でしてね。
      そういう冷徹な判断も時に必要とされるし、そこは徹底的に合理的にやる。それが医療なんだとも想うんですよ。でも、そこを平時に出すと追い出される世界でもあるんですよね。

      • 木霊 木霊 より:

        象牙の塔と表現すべきかどうか。
        白い巨塔を笑えない話は幾つか聞きましたが、教育現場のほうがもっと酷いのでなんとも。
        日教組は本当に酷い……。話がちょっと逸れちゃいますが。

    • 木霊 木霊 より:

      はっはっは、流石に現場に近いところの方からのコメントをお願いするのは気が引けます。
      周囲で見ている程度の人間であれば、アレコレ言えますけど、現実はかなり…。
      とはいえ、僕自身が話を聞ける範囲は、概ね看護師ですから、辛辣で無責任な意見が多いんですけどね。芯を食った本当の声というのはなかなか。娘の主治医からは、なかなかえぐい話は聞きましたが。