なかなか大胆な作戦だったようだ。
【解説】スパイ映画さながら…イラン精鋭部隊の兵士2名が高額報酬と国外逃亡条件に寝返り爆弾設置か ハマス最高指導者“ハニヤ氏殺害作戦”の全容が判明
2024年8月8日 木曜 午前10:30
イスラム組織ハマスの最高指導者殺害を受け、イランは報復のための準備を進めているとみられ、ミサイル発射台の移動や軍事演習を行っている。また殺害は、警備にあたっていたイラン兵2人を買収し、超小型爆弾を使って行われたとみられている。
FNNプライムオンラインより
メディアが喜びそうな話ではあるな。
破壊工作の成功事例か
買収して爆殺
先ずは、先日の記事に関してのリンクを貼っておく。
既に幾つかのニュースを紹介していたが、飛翔体を使った暗殺だという意見が多かった様に思う。
が、どうやら冒頭のニュースによると、設置型の爆弾によって爆殺したということらしい。
イスマイル・ハニヤが事件当日宿泊していたのは、イランが用意したゲストハウス。

これはニューヨークタイムズが報じた写真らしいのだが、この写真を見ても外部からの攻撃可能性は極めて低い。少なくとも空爆の可能性はゼロだろう。
犯行はイラン革命防衛隊の兵士2人によるものらしく、買収工作を仕掛けたモサドによって用意された爆弾を仕掛け、イスマイル・ハニヤを爆殺したということらしい。
2人は、イランの精鋭部隊である「革命防衛隊」の兵士で、イスラエル側からドル計算で1000万円単位に上る「6桁の現金」の報酬と、作戦後「北欧の国への逃亡」の2つの条件が提案され、イランを裏切りました。この精鋭部隊の“裏切り行為”は、おそらくイラン中枢部にも大きなショックを与えていると思います。
殺害方法ですが、イスラエルメディアによりますと、この2人は午後4時23分頃にハニヤ氏が宿泊する部屋のベッドの下に爆弾を設置しました。その後2人の実行役は現場を脱出し、イスラエルの手ほどきで、1時間後にはイラン国外に逃亡したとのことです。
FNNプライムオンラインより
そして、犯人は海外に逃亡と。
「イスラエルの手ほどきで」という日本語に疑問を感じるが、手解きではなく手引きではないか?
まあいいや。
イラン側は報復の準備に
さて、この話は事件の全容が分かったからといって、何ら解決する話ではなくて、前回の記事で指摘したように、イランが潰されたメンツをどうするのか?という点にかかっている。
ハマス指導者ハニヤ氏、カタールに埋葬 後継候補は報復示唆
2024年8月3日午前 4:22
イランの首都テヘランで殺害されたイスラム組織ハマスの最高指導者イスマイル・ハニヤ氏の遺体が2日、拠点としていたカタールで埋葬された。ハニヤ氏の後継者とみられるハマス幹部のハレド・メシャル氏は埋葬式で、イスラエルに対する闘争の決意は一段と固くなったと述べ、報復を示唆した。
ロイターより
イスマイル・ハニヤの後継者には、ハレド・メシャル氏か選ばれると見られていたが、より強硬なヤヒヤ・シンワル氏になったと発表された。
ハマス、最高指導者にシンワル氏 イスラエル奇襲の中心人物
2024年8月7日午前 7:44
イスラム組織ハマスは6日、パレスチナ地区ガザのトップを務めるヤヒヤ・シンワル指導者(61)を、イランで先週殺害されたハニヤ最高指導者の後任に選出したと発表した。対イスラエル強硬路線をさらに強化する動きとみられる。
シンワル氏は昨年10月7日に起きたハマスによるイスラエル奇襲の中心人物とみられ、ガザに潜伏している。
ロイターより
強硬路線を採ることはほぼ確実である。
イラン、ハニヤ氏暗殺巡り報復強調 イスラム諸国が緊急会議
2024年8月8日午前 7:57
イスラム協力機構(OIC)は7日、サウジアラビアで緊急外相会議を開催し、イスラム組織ハマスの最高指導者だったハニヤ氏暗殺を巡り協議した。イランのバゲリ外相代行は、報復はしかるべき時に適切な形で行われると強調した。
会合はハニヤ氏がイランの首都テヘランで死亡したことを受け、イランが開催を要請した。
ロイターより
それも、単独での報復ではなく、イスラム社会全体の同意を得た報復の方向性を模索しているようだ。

なかなか大掛かりな話になってきたな。
報復は先送りされるような雰囲気もあるようだが、イスラエルに対して決定的な打撃を加えるという意志が感じられる。
逆に言えば、報復をする意志は確認できたが、方法に関する意思統合は上手く行かなかった感じもするわけで。
予断を許さない状況かな。こんな時に、アメリカ大統領選挙でアレが出るのはどうなんだろうか。
日本の対応に関する話
それと最後に、少し不穏なニュースを。
「二度と来なくていい」「原爆投下への無反省」長崎平和式典 米・英はじめ相次ぐ出席拒否…“イスラエルへの配慮”に殺到する怒り
8/8(木) 19:10配信
8月9日、長崎市が開催する平和記念式典に、少なくとも6カ国の駐日大使が欠席する意向を示していることに、様々な声が寄せられている。
「広島市は6日の式典にイスラエルを招待しましたが、長崎市は現在、パレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルを招待しないことを判断しました。この対応に不満を示したアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、オーストラリア、カナダの6カ国の駐日大使が一斉に欠席する意向を示しているのです。
Yahooニュースより
広島も長崎も、この原爆投下が行われた日に平和記念式典をやることに情熱を燃やしているが、このタイミングでこのような対応になったことで、日本政府には外交的な判断をせざる得なくなった感じがする。
そもそも、広島、長崎のこの平和記念式典は政治色が強くなりすぎていて、単に平和記念、或いは祈念するという式典じゃなくなりつつある様に思える。

岸田政権としても、「余計なことをしてくれるな」という風に思っているようだが、駐日ロシア大使にこんなことを言われてしまった。

普段なら、ロシア大使の寝言として流せる話ではあるが、情勢を考えるとちょっと無視できない発言だ。
コメント
原爆とガザ戦争は関係ないでしょう。
なんで、こう、こじつけて揉事にしませかねぇ? だから嫌いなんてすよ平和バカは。ネタニヤフに批判的な私でも、それ筋違い思いますが。それとも「平和を愛するボク」を演出するネタにしたいのすかね?
しかし厄介な話で、今後に日本はどう巻き込まれるのだろう? と不安を感じながら、スパイ小説好きの悪い性分で、
記事をワクワクしながら読んでいる自分かいて……少し自己嫌悪。
この話、動きが鈍いようで何よりです。
加熱するかと危惧していましたが……。
こんにちは。
遅刻コメント失礼します。
>そして、犯人は海外に逃亡と。
新谷かおる氏の「バランサー」がまだ「ジャップ」の名で連載されていた初期の頃の、
「暗殺で大事なのは、如何に殺すかではない、如何に(足跡を残さず)逃げるかだ」
って意味のセリフがあったと記憶します。
まさに、コレですね。
※うろ覚えですが、場面的にも非常に近しいかと。
こんにちは。
ある意味、逃げてこそ作戦成功ですからねぇ。実行犯が逮捕されると、色々と関連団体が明らかになっちゃいますし。
今回は、イラン当局の面目を潰すことが目的だったでしょうから、インパクトは大きかったと思います。