追記でお茶を濁すことも考えたんだけど、話のベクトルが違うので別の記事にした。
[単独]清羅火災を調べてみると…「故障が多い」スプリンクラーを使用した
入力2024.08.07. 午前 11:36 修正2024.08.07. 午後 3:02 記事本文
仁川清羅火災の原因が「スプリンクラー不作動」と判明した中、当該設備がプリアクションバルブ(準備作動式)スプリンクラーだったことが確認された。準備作動式スプリンクラーは地下駐車場には適さない」という専門家の指摘にもかかわらず、国内ほとんどのアパートには当該スプリンクラーが設置されており、同様の事故がいくらでも発生する可能性があるという指摘が出る。
NAVERより
韓国では「そういうこと」にしたいらしい。
原因はEVではない!え?本当に?
スプリンクラーのせいですか?
まずはこちら。
地下駐車場でEVが燃えちゃった話である。

燃えたのは、ベンツの(EQE 350)らしく実は数日間乗っていなかったらしい。序に言うと充電中でもなかった模様。
充電中でもなかったのかよ。じゃあ、何で燃えた?
というわけで、他に原因を探し出した模様。
消防施設の設置及び管理に関する法律では、一定規模以上の地下階にはスプリンクラー設備を設置するよう規定している。スプリンクラーは大きく湿式、乾式、準備作動式、一斉散水式などに分類されるが、通常、地下駐車場には乾式と準備作動式のスプリンクラーを多く使用している。関連法であるスプリンクラー火災安全技術基準で、駐車場のスプリンクラー設備は「湿式以外の方式で設置しなければならない」と規定されているからだ。
NAVER「清羅火災を調べてみると」より
ふむふむ、スプリンクラーに種類があるのは知っていたけれども。
準備作動式スプリンクラーは、大きく分けて2段階を経なければ火災を検知することができない。火災感知器が煙などを検知すると水をヘッドに送り、その後、ヘッドに継続的に熱が加わるとヘッドが破裂して水を噴霧する方式だ。特に、この方式は誤作動を防止するために2つ以上の火災感知器が交差して検出しなければならないため、防水性が高く、火災消火に時間が比較的長くかかるという分析だ。
一般的に平時にスプリンクラーヘッドまで水が溜まっており、火災時にすぐに水を防水してくれる「湿式スプリンクラー」とは異なり、準備作動式は反応時間が遅く、各種バルブなどによる誤動作の懸念も大きいと指摘されてきた。
NAVER「清羅火災を調べてみると」より
ここで出てくる「準備作動式」というのは、日本では「予備作動式」と呼ばれるもののようだね。
予備作動式スプリンクラー
えーと、日本のメーカーの説明を読む限り、誤作動の懸念が大きいとは思えないんだが。
予作動式スプリンクラー設備は、おもに通信機器室や電算室など、スプリンクラーヘッドの破損などによる水損を特に避けたい対象物に用いられるスプリンクラー設備です。湿式スプリンクラー設備と同様、天井高さが10m以下(物販用途等は6m以下)の部分に設けることができます。
この設備では、スプリンクラーヘッドと別に、防護する対象部に熱、煙あるいは炎を検出する火災感知器を設けます。
能美防災株式会社のサイトより
確かに、その構造上、直ぐに水が出るタイプではない。

スプリンクラーヘッド直前まで水が溜まっている湿式と違って、制御弁までしか水が満たされていないので、スプリンクラーヘッドから水が出るまでに若干のタイムラグがある。
しかしこのことは、誤作動が起きた時にスプリンクラーヘッドから水が出て水損してしまうリスクを減らすメリットがある他、乾式スプリンクラーと同様に、配管内の水の凍結を心配しなくてもいいため、屋外軒下や寒冷地ではメリットがある。
予作動式スプリンクラーは、感熱体の誤作動があった場合に甚大な被害をもたらす箇所で使用されるスプリンクラーです。例えば病院や電算室、重要文化財を貯蔵した施設がこれに当たります。
湿式や乾式では、感熱体が熱を感知すれば速やかに放水されます。しかし予作動式では、感熱体に加えて別途設置されている火災感知器が作動するまで放水弁は開きません。
建設☓消火ラボより
なるほど、韓国の技術常識は日本の技術常識と違うっぽいね。
作動しなかったのが問題なのか、作動したら消火ができるのか
そもそも、EV火災は消火するのに時間がかかるという問題点がある。
EVの火災は消防士を危険にさらす…EVドライバーが知っておくべき3つのこと
Nov. 16, 2023, 10:00 AM
- 電気自動車(EV)の火災は、消火が難しい。
- 水による損傷は、車が乾いた後でも引火する可能性がある。
- 軽い衝突事故でさえ、バッテリーにダメージを与えかねない。
消防士にとって自動車の火災はいつも危険で難しいものだが、電気自動車(EV)のバッテリーに含まれる可燃性の高い化学物質は、さらに新たな課題だ。
TECH INSIDERより
この記事も「なんだかなぁ」と思う部分はあるのだが、分かりやすいので引用した。なお、「なんだかなぁ」と思う理由は、二次電池の特性は種類によって異なるのに、一緒くたにして「熱暴走する」とか「衝突事故で火災が起きる」という話をしている点だ。
EVに採用されている二次電池のうち、リスクが高いとされているのはリチウムイオン二次電池で、ニッケル水素二次電池は比較的安全だとされている。なお、支那のBYDが自信をもって売り出しているブレードバッテリーはリン酸鉄リチウムイオン二次電池であり、これもリチウムイオン二次電池の仲間ではあるが、少々特徴が異なる。BYD曰く圧倒的に火災のリスクが低いとのこと。実際には燃えているけどね。
三元系リチウムだとかチタン酸リチウムとか、リン酸鉄リチウムとか詳しく説明しだすと長いので割愛するが、要は特徴が違うし、消火に関しても異なる性質を示すということだけわかればいいと思う。
しかしリチウム系は総じて火がついてしまうと消火しにくく、長時間、空気がなくても燃えるという特性がある。また、リチウムは水を掛けると激しく延焼する特性もあるので、水量によっては寧ろ逆効果になる可能性すらある。
スプリンクラーを用いた消火の最大のメリットは、水による直接消火よりも周囲温度を下げることで類焼を防ぐ効果である。
しかし、スプリンクラーでは法令によって20分間作動するための水を確保する(日本の場合だが)様に定められていて、長時間燃え続けるEVの消火の助けになるのかは良くわからない。
つまり、今後、EVの消火を前提に考えた場合、果たしてスプリンクラーでの初期消火が適切かは考慮の余地があるのだ。

強力なスプリンクラーによる消火は有効だという研究もあるようだが、従来の設備とは違う構造が必要だと思われる研究結果なので、EVの消火を前提とした設備というものはこれから考えられていく必要があるかもしれない。
追記
流石韓国。
まさかこの件で続報を紹介することがあるとは思っても見なかったのだけれど、斜め上の展開だね。
故障して作動しないと思っていたのに…「スプリンクラー」を止めた人がいる
入力2024.08.09. 午後 7:22
仁川で起きたアパートの電気自動車火災事故は、スプリンクラーすら作動せず、被害が拡大しました。 ところが、調べてみると、故障したのではなく、アパートの管理会社の職員が火災警報を聞くやいなやスプリンクラーを消したためでした。
Naverより
スプリンクラーを止めてなんの意味があるというのか。
仁川消防本部は機器を分析した結果、スプリンクラーが人為的にオフになったと明らかにしました。
午前6時9分火災が検知された直後、消火水バルブに接続された「停止ボタン」が押されたということです。
停止ボタンが押された状態ではバルブが開かず、スプリンクラーも作動しません。
停止ボタンは5分後の6時14分解除されました。
Naverより
火災が検知された直後に、停止ボタンを押したバカがいて、そのおかげでスプリンクラーは作動しなかったのだとか。
もはや、放火でもしたんじゃないか?と思うような事案である。意味が良くわからないが、これでこそ韓国というような気もするね。
コメント
木霊様は節度ある方なので、そういう事にしたい「ようだ」と感想されてます。
んが、「したい!」でせう実態は。
なんせEU内でもEV禁止を検討し始めた国にもあるらしく、「EVは危険」との認識が広まると困る。全振りしてる中国も同じでせうが、あの国は国が無理矢理に国民に強制できますからね。
さらに「韓国製EVは危険」との認識が拡散すると、輸出しかない国なので大打撃を受ける。必死なのでせうね。ナンマンダブ……チーン!
そうですね、マイルドに書きはしましたが、そういうことなんだろうと思います。
EV推進は、なかなか世界的に前途多難になってきたと思います。そして、EV全振りだーという勢いだった韓国企業は、かなり厳しい状況になってきましたね。
暑中お見舞い申し上げます。
暑い最中ですが、EVの火災問題は暑さを煽ってくるようで嫌ですね。
さて、韓国聯合ニュースに拠ると、8月6日(火)には別のEV火災があったようです。
燃えちゃったEVは、SK On製のリチウムイオン電池を搭載する起亜EV6で、駐車場タワー内に駐車中に突然発火したとのこと。こちらは延焼なく、被害は軽微だったようです。
https://www.yna.co.kr/view/AKR20240806034352063
警察発表では、EVバッテリーが原因ー米国生産のリチウムイオン電池らしいーとのことで、韓国内でもそろそろEV忌避感が出てくるんじゃないでしょうか。
EV6は、昨年の北米カーオブザイヤー受賞車(SUV部門)でした。
(参考)2024年製 起亜EV6性能諸表
https://www.kiamedia.com/us/en/models/ev6/2024/specifications
暑中お見舞いありがとうございます。
EVの発火問題は、実数よりも過大に問題視されている部分もあるんですが、厄介なのは動いている時に発火するパターンではなくて、置いてあって無人の状態で発火するパターンが散見されることですね。
紹介頂いた起亜EV6の発火事案の記事ですが、韓国SKオンの二次電池が燃えちゃったところが衝撃ですね。
これで、「支那製電池のせてんじゃねーよ」的な話もできなくなったし、地下駐車場の件はスプリンクラーがという話もイマイチですから、EV忌避感は高まるでしょうね。
こんにちは。
ずっと以前の、出始めの頃のスプリンクラーは「鉛で栓をしてる」だったと聞いた覚えがあります。
火災の熱で焙られると溶けて放水する、と。
ボイラーの安全弁と同じですね、結局、コレが一番確実化かも……(電気モノは電気切れると死ぬ)
EVは、モーターの特性的(静止からの起動に最大トルクが出る)には自動車(というかGO-STOPの多い移動体全般)に向いている(定速運転の多い飛行機には向かない?)のですが、そのエネルギー源として、電池は……そもそも、ほっておくと放電してしまう、劣化してしまうのは、ガソリン入れときゃ半年放置してもエンジンかかる(鉛バッテリが死んでなければ)内燃機と比べてどうよ?って気はしてます。
機械としてのEVを否定はしない、むしろもっと発達して欲しいのですが、とにもかくにも電池がネックですよね。
※そこでシズマドライブですよ!ってのはアニメの見過ぎ。
※ポータブルリアクターでも良い(良くない)。
こんにちは。
ご指摘のスプリンクラーは湿式で、直ぐに水が出るので初期消火に有利だとされていますが、一方でトラブルがあると水損し易いというデメリットもあるようです。炎の熱で作動ということは、結構高温になってから作動するわけですから。
EVよりも、シリーズハイブリッドが優秀だと思っていた時期がありましたが、エンジンの定格運転の効率がモーターの定格運転の効率を上回ってしまうシーンがあるようで、メリットを活かしきれない割にデッドウェイトを背負わねばならないというところがよろしくないみたいですね。
二次電池のブレイクスルー待ちでしょうね。
>火災が検知された直後に、停止ボタンを押したバカがいて、そのおかげでスプリンクラーは作動しなかったのだとか
事件なのに笑いが込み上げてきてしまう、そんな”韓国らしい”事件でした。
この事件後、屋内駐車場へのEV駐車を拒絶するところが相次いだそうですが、フタを開ければ事件は人災だったというオチ。もっとも、EV駐車拒絶は正しい判断かとw
個人的には、屋内駐車場の管理員が、早朝で寝ぼけていて、スプリンクラーのスイッチを切ったんじゃないかと思っています。たとえば、突然の火事に慌ててしまい、スイッチを入れたつもりが逆に切っていたとかw
あれよあれよという間にEVの火災が激しくなり、天井に配線された電気コード類を焼き切ってしまったため、5分後に間違いに気づいてスイッチを入れたけど、時すでに遅し…みんな燃えてしまいましたとさ、ってな結末だったのでしょう。知らんけどね。
スプリンクラー程度がEV火災の消火に役に立つのか甚だ疑問ではありますが、それはそれとして、管理責任は当然問われるでしょうね。ご愁傷様w
この事件は、いろいろな人にとって、まさに真夏の朝の悪夢といったところですね。
そうなんですよね、EVを地下駐車場に停車させて、充電もできるようにするという発想は間違っています。
リスクが高すぎますよ。
ガソリンスタンドを地下に建造すると思えば、理解できるかもしれませんね。
なお、EVの初期消火という意味ではスプリンクラーを使う意味はあると思います。もちろん、従来のものよりも水量を増やす必要はありますが、要は温度を下げる効果を狙ったものですから、高温で発火するEVの類焼を防ぐという効果は期待できそうです。
なるほど、水による消火作業は燃焼中の電池の温度上昇を防ぐためなんですね。
一説によると、燃焼中の車載リチウムイオン電池(約400kg)の消火のためには、
170㎘の水が必要と聞いたことがあります。
EV火災が、いかに難儀な火災であるかがわかるというものですね。
リチウムは水と激しく反応するので、一般的には逆効果だと思うんですが。温度上昇を防ぐ効果のほうが有効らしいですね、実験結果からは。
某メーカー(韓国)の、説明書には消火に1tの水を用意しろとか、アホなことが書かれているらしいとか。