近況は「お知らせ」に紹介するようにしました。
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激安ECサイトを規制して自国産業を防衛すべし

中華人民共和国ニュース
この記事は約8分で読めます。

ここのところ気になっていたのが、Temuというサイトの広告の表示回数が異様に増えていたことだ。最初は放置していたんだけど、いい加減対策をしないとと、重い腰を上げた。

というか、数日前から対策を色々やってみているんだけれども、完全にイタチごっこだったというのが正直なところ。

という話はともかくとして、Temuの話である。

Temuの販売業者ら、「不当な」罰金と販売代金差し止めに反旗 「本当に絶望」

2024.08.02 Fri posted at 15:57 JST

香港(CNN) 中国発のネット通販サイト「Temu(テム)」はこれまでもビジネス慣行について厳しく追及されてきたが、今、新たな問題に直面している。中国に拠点を置き、同サイト上で販売を行っている独立系業者からの反発だ。

CNNより

そういえば、数日前にこんなニュースがあったよね。

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ECサイトに力を入れる理由は?

怪しいECサイト

日本でもウェブサイト上で頻繁に見かけるTemuという会社と、あとはSHEINという会社かな。とにかく激安で有名である。

冒頭のニュースはそのうちTemuに関わる話である。

数百人の販売業者が今週、中国南部の広州市にあるテム関連企業の建物でデモを行った。デモ参加者は、同社が課した「不当な」罰金や、販売済みの商品に対する支払いの差し止めなどに抗議していた。

CNN「Temuの販売業者ら、「不当な」罰金と販売代金差し止めに反旗」より

記事を読んでも何が起きているのか直ちに分からないのだが、どうやらTemuがあくどいことをやっていたので、業者が怒ったという話になっているようだ。大雑把に言えば、だが。

アテにならないゲンダイの記事ではこんな解説をしているが。

理由は「ほぼトラ」だけじゃない…「中国叩き」に負けず急成長したSHEINやTEMUがいま「脱中国」化を進めるワケ(小出 フィッシャー 美奈) @moneygendai
驚きの安さを売りに急成長するオンライン通販のSHEINとTEMU。両社はともに中国生まれのブランドだが、最近は「脱中国ブランド」化を進めているという。その背景にある「ほぼトラ(=次の米国大統領はほぼトランプ)」もふくめた問題とは?そもそも激...

酷い記事だな。

「74円」のピアスや「380円」のワイヤレスフォンで利益が出るわけがない、きっと赤字垂れ流しの会社に違いない、と思うだろう。

ところがどっこい。PDDホールディングスの開示を見れば、粗利益率(売上から原価を差し引いた粗利益を売上と比べた利益率)が6割以上、営業利益率(粗利益からさらに人件費や広告費などの諸経費を除いた営業利益を売上と比べた利益率)も2割以上あって、潤沢な利益を稼いでいるのだ。

マネー現代より

いや、支那の情報を鵜呑みにするのはどうかと思うのだが、Temuの真骨頂は脱税行為である。

日本でもSHEINやTEMUでの買い物は「個人輸入」となり、課税対象の合計額が1万円以下なら免税となる。米国では、従来200ドルだった免税枠が2016年に拡大され、個人が海外から小包を受け取る場合、800ドル以下なら非課税だ。

実は米国では、SHEINとTEMU効果で輸入小包の量が爆増している。郵便配達員が「毎日がティームー、ティームー。俺はもう、ティームー疲れだよ。」とTikTokで愚痴る動画がバズった。

マネー現代より

真っ当にやれば、利益が出るわけが無い値付けで「利益が出ている」と宣伝しているわけだが、それは本当だろうか?

答えは補助金

利益が出るかでないかでいえば、継続性がある以上は出ているのだろうと思う。だが、それは歪な構造によって為し得ている可能性が高い。

中国政府がイナゴを育てて外国に差し向ける。
日本政府は、国境を超えて激安商品を日本に送り込むeコマースサイトに制限を掛けるべきです。そうしなければ、日本国内のメーカー・小売店が廃業に追い込まれます。また、日本の消費者が激安商品を購入することで、お金が中国に流れることになります。これは

こちらはmoney1様のところの記事だが、ECサイトに対して支那政府が助成金を出しているのだとか。

北京市商務局より2024年度越境EC展開支援事業募集要項公表のお知らせ

京商電子商務誌 [2024] No. 14

各区商務局、北京経済技術開発区商務財政局、および関連企業:

「北京における越境電子商取引の発展を支援するための北京対外経済貿易発展基金」(『京商財政志』[2022]第 19 号)などの文書の要件に従い、十分な効果を発揮するために中国(北京)の越境電子商取引を支援し改善するための財政基金の指導的役割への貢献 電子商取引総合パイロットゾーンサービスシステムは、企業がオンラインチャネルを利用して越境取引を行うことを促進し、中国(北京)の越境電子商取引の持続的かつ健全な発展を促進する2024年度越境電子商取引開発支援事業の申請事項を以下の通りお知らせします。

北京のサイトより

この支援額がなかなか大盤振る舞いで、投資額に対する支援は最大50%。額は最大100万元という。

これが何を目指しているかと言えば、支那国内で過剰生産に陥っている製品を腐らせる前に海外に売りつけようという発想で、これを利用しているのがTemuなどのECサイトなのだ。

具体的にどの程度の助成を受けているかは不明だが、国際競争力を得るために為替市場を操作した上で、この手の助成を付けているのだから、そりゃ儲けは出なくとも運営を続けることはできるんだろう。

広報担当者は「彼らは、販売後の商品の品質とコンプライアンスに関連する問題を処理するテムのやり方に不満を抱いており、数百万元相当の金額について異議を申し立てていた」と説明。販売者は販売契約に記載されている通常の仲裁と法的手段による紛争解決を拒否したと付け加えた。

状況は安定し、解決策を見つけるために販売業者と積極的に協力しているという。

CNNより

ただ、ちょっとやり過ぎたので混乱を招いたというのが現状なのだ。

警戒感を持たれる

たとえば、こんなニュースがあった。

タイ政府が中国激安ショッピングサイト「Temu」に警戒感 関係当局に監視を指示

2024-08-05

中国の激安ショッピングサイト「Temu」がその安さと怪しさ故に世界中で話題となっているが、セーター首相はこのほど、財務省国税局とデジタル経済社会省に対し、このオンラインマーケットプレイスがタイの法律を遵守しているか、しっかり納税しているかなどを確認するよう指示した。

バンコク週報より

これもタイ政府が「Temuは脱法・脱税行為やってるんじゃないの?調べてね」というメッセージを出したという意味であり、そういっった状況は各国で出始めているという話だ。

激安EC「Temu」米国の利用者1年で5倍に 非中国装う

2024年6月25日 2:00

「ウッウ、ティームー、ウッウ、ティームー」「ショップ・ライク・ア・ビリオネア(億万長者のように買い物しよう)」。頭に残るリズミカルなテーマ曲とともにアニメの女の子が登場。スマートフォンをタップすると衣装が変わり自分や道行く人に格安商品が届けられる。

中国発の電子商取引(EC)サイト「Temu(ティームー)」のテレビCMだ。米国で2月、全米プロフットボール決勝戦「スーパーボウル」がテレビ放送された際に計6回も流れ、話題をさらった。というのも、今回の広告料の相場は1回当たり700万ドル(約10億5000万円)。多額投資に業界関係者のみならず、多くの視聴者が「目的は何だろう」と首をかしげた。

~~略~~

まず、ティームーを運営するPDDホールディングス(HD)が非中国を装っていることだ。中国・上海発祥でありながら23年に本籍をアイルランドに移し、中国で展開する同様のサイトとは別名を付けて「米国発」をうたう。

日本経済新聞より

浸透工作はどんどん進んでいるけれども、警戒感も高まってきているね。

だが、メディアなどにもTemuはCMを打つようになって、資金的にはまだまだ余裕がある感じだ。実際に使った方から幾つか話を聞いたが、「おかしな商品に手を出さなければマシ」らしい。怪しいのに手を出すと、本当に何が送りつけられるか分からないのだとか。

……良く、そんなサイトでカード決済しようと思うよね?と言ってしまったら、彼は黙り込んだが、何か心当たりがあったのだろうか。Temuのアプリも色々変な噂を聞くんだけど。

そういえば東嶺集団が

話は少し変わるが、こんなニュースが報じられた。

中国 千億元規模の製鉄企業 東嶺集団が破産を発表

2024年8月6日

陝西省の千億元規模の製鉄企業である東嶺集団が破産を発表し、このニュースは業界に大きな衝撃を与えました。東嶺集団の破産は、1万8,000人の従業員に影響を及ぼすとされています。

Vision Timesより

え?何故唐突にこの記事を紹介したの?ということなのだけれども、この東嶺集団は製鉄企業で、支那では「優良企業」という扱いだったのである。

それが唐突に破産したので「ビックリ」ということなんだけど、不動産開発業が軒並みダメで建設業界が息をしていない状況で、どうして製鉄企業が生き延びられるのか?という話である。

需要が激減した一方で原材料は高騰しており、海外にダンピング価格で輸出したところで焼け石に水である。

これが何を引き起こすかというと、支那国内での需要を更に冷え込ませるという構造的な不況である。

「基準値の3026倍」 中国AliExpress・ Temuで販売中の子ども向け製品38品目から発がん性物質を検出 韓国関税庁
「基準値の3026倍」 中国AliExpress・ Temuで販売中の子ども向け製品38品目から発がん性物質を検出 韓国関税庁

TemuやShineでも似たような構造になるんじゃないかな。それでも激安価格で海外に売り捌けば、延命はできる。その割を食うのは海外企業で、日本も他人事ではない。

支那から採算度外視した様々な製品が流れ込んできているお陰で、日本国内の市場は随分と食い荒らされている。

建築業でも家電産業でも、随分と骨抜きになっていて、もはや国内市場はボロボロである。表向きは品数豊富ではあるが、何か支那でトラブルが発生すると途端に品物が入ってこなくなる。

実際に、武漢ウイルス感染症の影響で、マンション建設にあたって様々な部品が不足して水回りの設備が作れないなんてアホな事態が起こっていたし、ゲーム機が品薄になるとか、車が製造できなくなるとか、色々既に経験している。医薬品の分野でもチラホラ影響があるという話を聞く。

勿論それに対して「流通の安定」を図るべく色々と国内でも動きはあるのだが……。

コメント

  1. みみこ より:

    先日、某ハンドメイドサイトである商品を購入。
    そこは生産地に言及していない商品も多く、
    勝手に「日本人のハンドメイド」と思い込んで買ったわけです。
    日本の業者「S便」で送るよ、ともあったし。

    でも、いくら待っても来ないので問い合わせたら、
    「S便が紛失したようだ」との、えっと思う返事があり、
    「送り直す」と言って、数日後に商品がS便で到着。
    品物の品質は価格相当で問題なく、それ自体は良かったのですが…。

    明らかにS便の宅配ラベルが別のラベルの上に貼られており(剥がすのに失敗、かなりべったり糊がついていたもよう)、箱に「簡体字」が印字してあり、
    「中国産」を隠していたのは明白。
    これ、例の脱税行為に加担しちゃったのじゃないかと嫌な気分になりました。
    皆様、大手サイトだけではないようなので、ご注意ください。

    なお、
    「S便で発送しました。番号は○○。以下のurlにアクセスして確認して。」
    とのメールを受け取っていたので、
    最初に遅いと思った時に、
    メール記載のurlをクリックせずにS便の公式サイトから番号をチェックしたら、
    「該当商品なし」だったとのおまけ付き(その旨を問い合わせたら上記の返答)。

    ここをクリックしたら発送、とかになっていた?
    既に氏名と住所は知られているのに何か別の情報を取られかけた?

    なかなか怖いです。

    • 木霊 木霊 より:

      基調な体験談をありがとうございます。
      しかし、ハンドメイドサイトでも支那製品が出回っているわけですか。
      個人輸入に相当するのであれば関税もかからないのでしょうね。とはいえ、モヤモヤする話ではあります。安全な商取引が出来るのであれば良いのですが、そこまでも個人に任されてしまうとなると。
      通信販売が、相手がわからない購入方法であるという事実を悪用されるケースもあり、それが国を跨いだ取り引きになってしまえば、何処まで法でカバーできるのやら。

      • みみこ より:

        「木に魅せられた職人」だとか「伝統の技」とか、だまされました。
        「送料税込み」表示だったけれどねぇ。
        なお、S便のラベルには発送者の「住所・氏名」が空欄でした。
        S便もこんな荷物を引き受けるのか、と。

        • 木霊 木霊 より:

          おおう。
          後から聞くと分かる詐欺の手口の見本みたいな感じですね。
          その時は分からないのが悔しい。

          それにしても「住所・氏名」が空欄とは…。

  2. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    ゲンダイの記事の、
    >「74円」のピアスや「380円」のワイヤレスフォンで利益が出るわけがない

    そこはほら、
    ・著作権や特許権は何それ美味しいの?
    ・人件費はタダみたいなもの、農民工万歳!
    ・原料?部品?規格外れの廃棄のバッタもんをタダ同然で仕入れて……
    って事でしょうね。

    もちろん補助金ありきでしょうけれど「中国製品は、勝手に使用変更して部品変えて利ざやを稼ぐ」は常識ですよね。

    ただ、その補助金の出所が、不動産不況その他で火の車なんじゃ無いかって気がします。
    どっかでドカンと破綻するんじゃ無いかと思うのですが……

    とはいえ、この手のやり方は「まずマスコミとインフルエンサーを押さえる」ですから。
    最近のメディアの露骨な韓国押し、違法入国タレント共の持ち上げなんぞ見てると、浸透工作は着々と進んでいるようですね。

    本当に、腹立たしいです。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      支那で人件費やらパテント関係の費用を無視するなんてスタイルは以前からの定番でしたが、その分加味してでも利益が出ると思えないんですよね。
      なんとなく、「在庫積んでおくよりマシ」理論で売りさばいている気がします。
      そこに補助金が乗っているので、積極的に売って行こうぜ!というような。

      ただ、商売としてはなかなか巧いやり方のように思うわけで。
      単機で売り抜けるのであれば、「アリ」なのではと。

  3. 河太郎 より:

    このテムは普通の消費者でも、「衣類にダニがついてきた」や「蕁麻疹が起きた」など多発したようで。「発ガン性物質を多く含有」の商品などが発見されて騒ぎになつてるケースもあるとか。
    手を出すなと複数のユーチューバーが警告動画をあげてます。面白かったのは転売ヤーやってた奴が、自分も被害にあったとコメントしていた事(笑)
    笑っちゃったけど、笑い事ではないんですよねぇ。ただ、過剰生産のはけ口が、
    一帯一路の挫折により、かなり中国は追い詰められている事が伺える気がします

    • 木霊 木霊 より:

      temuの発がん性物質騒ぎは、そういえばニュースで見かけましたね。
      ただ、Youtubeでは案件も随分と出ていたらしいので、掌返しは流石というか。

      在庫処分の雰囲気が強いとは、僕自身も感じておりまして。
      真っ当な商売ではないんですよね、それでよくもまあWTOに加盟しているものだとは思いますが、WTOは内部に随分と浸食しているようですから、流石ですわ。