これまた、荒れそうな。
ハマス指導者ハニヤ氏殺害、訪問先イランで ガザ停戦協議に影響か
2024年7月31日午後 4:04
イスラム組織ハマスは31日、イスマイル・ハニヤ最高指導者がイランの首都テヘランで暗殺されたと発表した。イラン革命防衛隊もハニヤ氏の死亡を確認した。
ロイターより
このニュースにも驚いたが、どうやらイスラエル軍の仕業ということのようだ。
イランで暗殺された
イスラエルの攻撃で?!
報道が混乱しているのか、空爆だったのか襲撃だったのか、ハッキリしない。
イスラエル、ハマス指導者をイランで殺害か-攻撃の応酬激化の恐れ
2024年7月31日 12:20 JST 更新日時 2024年7月31日 15:46 JST
イスラエルによる空爆でイスラム組織ハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏がイランの首都テヘランで死亡した。ハマスが明らかにした。中東で攻撃の応酬がさらに激化する恐れがある。
Bloombergより
こちらの記事では、「イスマイル・ハニヤがイランの首都テヘランで死亡」「イスラエル軍による空爆が原因」であるとしている。
革命防衛隊は「今朝早く、テヘランのハニヤ氏の住居が襲撃され、同氏と護衛の1人が死亡した。原因については調査中であり、結果はまもなく発表される」とした。
イスラエルはコメントを出していない。
ロイター「ハマス指導者ハニヤ氏殺害」より
冒頭のロイターの記事では、「イスマイル・ハニヤがイランの首都テヘランで暗殺された」とし「イスラエルによるハニヤ暗殺」だと、襲撃されたとしている。
ハマスの声明と革命防衛隊の説明が異なる
これについてはNHKもニュースとして取り扱っていたが、現時点ではハマスと革命防衛隊とで説明が異なっているようだ。
ハマス ハニーヤ最高幹部がイスラエルの攻撃で殺害 声明発表
2024年7月31日 16時29分
パレスチナのガザ地区でイスラエル軍と戦闘を続けるイスラム組織ハマスは31日、ハニーヤ最高幹部がイスラエルによる攻撃で殺害されたと発表しました。
これはハマスが31日、声明を出して発表したものでそれによりますとイランの首都テヘランを訪れていたハニーヤ最高幹部がイスラエルによる攻撃で殺害されたということです。
また、イラン国営テレビによりますと、イランの軍事精鋭部隊の「革命防衛隊」も31日、声明を出し、「ハマスのハニーヤ最高幹部が31日の朝、テヘランで撃たれ、ボディーガード1人とともに殉教した」と発表しました。
NHKニュースより
それだけ状況が混乱しているという意味なのだろうけれど、どちらの場合でもイスラエル軍の関与は確実だと見られている。
イスラエルと対立するイランでは、過去にも、イスラエルの関与が指摘される軍関係者や科学者の暗殺事件が起きています。
2020年には、イランの国防軍需省の研究開発部門トップで、核開発の中心的な役割を担っていたとされる科学者のファクリザデ氏が、首都テヘランの郊外で襲撃されて死亡する事件がありました。
これについて、イラン当局は「イスラエルの関与が強く疑われる」と主張し、両国のあいだで緊張が高まりました。
また、おととしには首都テヘランで軍事精鋭部隊・革命防衛隊の大佐が自宅前で何者かに殺害され、イラン当局はイスラエルが犯行に関与していると主張しました。
NHKニュース「ハマス ハニーヤ最高幹部がイスラエルの攻撃で殺害 声明発表」より
ただ、今のところは「疑わしい」というだけで、その証拠が出ているわけでも、イスラエル側からの犯行声明があったわけでもない。
そして、空爆されたのであればイスラエル軍の関与は決定的ではあるが、暗殺されたのであれば犯人が軍である可能性は低いのではないかと。イスラエル政府の関与は疑われても不思議ではないけれどね。

地理的条件を考えると空爆するのは結構難しそうに感じるのだけれど、どうなんだろうか。
緊張は高まる
ただ、いずれにせよ緊張が高まることは避けられない。
60代前半だったハニヤ氏は、イスラエルとハマスの間で現在行われている戦闘休止交渉の鍵を握る人物で、ガザ地区の武装グループ指導者らとメッセージをやり取りしていた。同氏の死亡で交渉が頓挫する可能性がある。米国は先週、解決すべき課題がまだ多く残されているものの、合意に近づきつつあると説明していた。
Bloombergより
この殺害事件によって、停戦合意は遠のく可能性が高くなってきていると評価されている。何しろ、停戦合意の推進派がイスラエルによって殺害されたというのだから。
ハマス側の主張が本当かどうかも踏まえて、なかなか大変な事になりそうである。場合によってはイランを巻き込んだ中東戦争に、というシナリオも考えられるんだよね。
追記
これは……。
ハマス、最高指導者殺害でイスラエルへの報復明言 イランも同調で中東の緊張増大へ
2024/7/31 19:38
イスラム原理主義組織ハマスは31日、最高指導者ハニヤ氏の殺害はイスラエルによるものと断定した。事実ならイスラエルにとって昨年10月以降続くハマスとの戦闘で最大級の成果となる。一方、ハマスは報復を明言し、米国などが仲介する停戦協議の行方は不透明になった。イランもイスラエルへの敵対姿勢を強め、中東で緊張が高まっている。
~~略~~
ハニヤ氏は殺害される前の7月30日、イランの首都テヘランで同国最高指導者ハメネイ師と面会した。イランは後見役を自任するハマスのトップ殺害で警備体制の甘さをさらけ出し、メンツをつぶされた。2020年には「核開発の父」と称された核科学者がテヘラン近郊で暗殺され、イスラエルと連携する工作員の関与も取り沙汰された。
産経新聞より
イスラエルが実際に攻撃したのかどうかは追求されておらず、既にハマスとイランはイスラエルの犯行と断定した上で、イスラエルとの敵対姿勢を強めているようだ。
この記事でもどのような手段で犯人がハニヤを殺害したのかには言及されていないようだが、ハマスとイランにとってはその点は些末事だと言うことなのかも知れない。
追記2
一夜明けて、事態は余り進展していないかと思っていたが、これは新しい記事として整理し直した方が良いかも知れない。
取り敢えずは分かっていることを追記していこう。
ハマス指導者殺害、なぜ起きたのか-イランの深刻な欠陥を露呈
2024年8月1日 2:58 JST
イスラム組織ハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏がテヘランで死亡した事件は、自国や同盟国の要人を守るイランの能力に疑問を投げ掛けた。この事件にイランがどう反応するつもりなのかは不透明だ。
Bloombergより
昨日の記事でも触れたが、この暗殺事件はイラン国内で、それも首都テヘランで発生したということは既に分かっている。
不明なのは、暗殺手段が特殊部隊による襲撃だったのか、ミサイル攻撃によるモノだったのか、という点で、これは未だ不明。
ハニヤ氏はイランのペゼシュキアン大統領の就任式に出席するためテヘランを訪問していた。ハマスが31日発表したところによると、ハニヤ氏は滞在していた宿泊施設で夜間にイスラエルの攻撃に遭い、死亡した。
その数時間前にイスラエルはレバノンで親イラン民兵組織ヒズボラの司令官を殺害したと発表。さらに数カ月前には、シリアでイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)司令官らが空爆を受けて死亡。イランはイスラエルによる空爆だと非難した。
Bloombergより
レバノンに滞在していたテロ組織ヒズボラの司令官殺害の話は、空爆による作戦であったことがわかっていて、これについてはイスラエル軍が実行したことを表明していた。
レバノン首都を空爆 ヒズボラ軍事部門幹部を殺害か―イスラエル
2024年07月31日07時28分配信
イスラエル軍は30日、レバノンの首都ベイルート地域に空爆を加え、イスラム教シーア派組織ヒズボラの軍事部門最高幹部フアド・シュクル氏を殺害したと発表した。イスラエル占領地ゴラン高原で子供12人が死亡したロケット弾攻撃への報復。ヒズボラが激しい反撃を行えば、大規模衝突に発展する恐れがある。
時事通信より
イスラエル軍は、ベイルートを空爆して、軍事部門最高幹部フアド・シュクルを殺害。これが、ゴラン高原へのロケット弾攻撃についての報復であるという主張であったようだ。
ハメネイ氏は国営テレビで読み上げられた声明で、ハニヤ氏を迎えていた国としてイランは「復讐を求める義務」があると主張。イスラエルの「人殺しでテロリストのシオニスト体制」は「厳しい処罰」を覚悟するべきだと続けた。イスラエルは今のところハニヤ氏殺害の責任を認めていない。
Bloombergより
しかし、事実だとすれば大金星である政治指導者イスマイル・ハニヤの殺害については現時点で認めていないようだ。
一方でイラクにとっては国家的大失態ともいえる事態なのだが、空爆されたということであればメンツが立つのだろうか?ちょっと意味が分からないが、もしかしたら特殊部隊に浸透されて要人が首都で暗殺されるよりはマシかもしれない。
追記3
JSF氏がこんな情報をキャッチしていたので、ありがたく読ませて頂いた。
Report: Haniyeh’s bodyguard leaked information to assassins. Spike missile used
Jul 31, 2024, 3:48 PM (GMT+3)
One of the bodyguards of Hamas political bureau chief Ismail Haniyeh leaked information to the assassins who eliminated him, Iranian media reported on Wednesday.
According to the report, an Israeli-made Spike short-range missile was launched at the leader’s bedroom in northern Tehran from within Iranian territory.
Sky News Arabia, citing Iranian sources, reported that the Hamas political leader was killed by a missile that was launched from a building near the one where he was staying.
~~対訳~~
レポート:ハニェのボディーガードが暗殺者に情報を漏らす スパイクミサイル使用
ハマス政治局長のイスマイル・ハニェ氏のボディーガードの1人が、ハニェ氏を消した暗殺者たちに情報を漏らしていたと、イランのメディアが水曜日に報じた。
それによると、イスラエル製のスパイク短距離ミサイルが、イラン領内からテヘラン北部にある指導者の寝室に向けて発射されたという。
スカイ・ニュース・アラビアはイランの情報筋の話として、ハマスの政治指導者は滞在先の近くの建物から発射されたミサイルによって殺害されたと報じた。
なるほど、スパイクミサイルか。使われた可能性が高いとされているのがスパイクNLOSミサイルで、最大射程は25~30km程度だという。

ということは、イスラエル諜報特務庁、通称モサドの暗躍ということが言われているのだけれども、何れにしてもイラン国内から暗殺を実行したということになるだろう。
分析では結構近くまで近接された感じですな。
追記4
そして、とうとう。
イラン最高指導者ハメネイ師、イスラエル直接攻撃を命令か 米紙報道
2024/8/1 08:19
イスラム原理主義組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏が訪問先のイランの首都テヘランで殺害されたことを受け、同国最高指導者ハメネイ師はイスラエルに直接、報復攻撃を行うよう命じた。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が7月31日、複数のイラン高官の話として伝えた。
同紙によると、ハニヤ氏の滞在先はイランでも「ひと握りの治安当局幹部」しか知らなかった。ハメネイ師は対テロ作戦を担当する革命防衛隊と軍に、イスラエルや米国と軍事衝突する事態を想定して攻撃・防衛計画を策定するよう指示したという。
産経新聞より
イラン最高指導者のハメネイ氏がイスラエルへの報復攻撃を決定した模様。
革命防衛隊はハメネイ氏の指令を受けて動き出すだろうが、実際にイスラエルへの直接攻撃をすれば、今度はイスラエルとイランの直接攻撃が始まってしまう。事態は更に緊迫してきたな。
追記5
二転三転するけれども、爆弾で暗殺された説も出てきたね。
ハマス最高指導者、遠隔操作の爆破装置で殺害か 米報道
2024年8月2日 9:05
パレスチナのイスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏が訪問先のイランで殺害された事件で、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は1日、イランや米国の複数の当局者の話として、ハニヤ氏の滞在先である施設に秘密裏に設置された爆破装置で暗殺されたと伝えた。装置は約2カ月前に施設内に持ち込まれ、ハニヤ氏の到着を確認してから遠隔操作で起爆したという。
日本経済新聞より
この話もあくまで「説」の域を出ないようなレベルの話みたいだ。
タイムズ紙によれば、ハニヤ氏が滞在していたイランの首都テヘラン北部の施設は、同国の精鋭軍事組織「革命防衛隊」が管理。爆発物を誰がどのように持ち込み、保管されていたかは不明だ。ハニヤ氏の部屋の隣室には、パレスチナ自治区ガザでハマスと連帯する武装組織「イスラム聖戦」指導者ナハラ氏が滞在していた。殺害対象はハニヤ氏に絞られていた可能性が高く、ナハラ氏は無事だった。
日本経済新聞より
うーん。
いろいろなニュースを統合して考えていくと、ピンポイントで爆殺されたという結論らしく、ただ、外部からミサイルを撃ち込まれたのか、内部に仕掛けられた爆弾を使われたのか、という事になってきたようだ。
ちょっと空爆でという話は根拠が薄くなってきて、支持されなくなってきたようだね。
ただ中東のニュースなので、話半分で聞いて置いた方が良さそうな雰囲気だ。
コメント
無辜の民はそれも同胞とする者たちが、
ガザでどんどん死んでるのに、テメェだけ外国で不自由ない暮らししてんじゃねえぞテロリストが!
ネタニヤフもクソだが、ネタニヤフは自国と国民の為に、兄弟を無くし、自分も体を張って戦ってきました。そこ違う!
こいつはガザに残る民の為に、体を張った事があるのだろうか?
イスラエルというかネタニヤフのやり方に反発を感じる私でも、こいつには反吐が出ますよ。
何が胸くそ悪いって、あれだけ「国民が虐殺された」はずの「パレスチナ」が、その事を怒るのではなくって、ハマスが指導者が暗殺されたことに怒って、イランと組んで戦争を始めようとしていることですよ。
イランは今まで後押ししてきた体裁だったのに、今度は前に出ようとしている。
そりゃ、自国を空爆されたという建前は使えるんでしょうが、それ以前にもあったでしょうに、今回がこれってのが何とも。
サソリが川を渡ろうとしてカエルに頼みました。
「背中に乗せてオレを対岸に渡してくれないか?」
「あんたは私を刺すから嫌だよ」
「オレが刺したら泳げないのたから一緒に死ぬじゃないか?」
気の良いカエルはこれを聞いて、背中に乗せて泳ぎ出しました。
川の半ばまで到達した時に、突然サソリがカエルを毒針で刺した。
二匹は溺れ苦しみながら言いました。
カエル「なんでこんな自滅する事をするんだ?」
溺れながらサソリは答えました。
「それが中東なんだよ」
なんとも……。
救われない話ですが、サソリはそれで本当に良いのですかね?
宗教の教えに殉じるということかもしれませんが……。
ハマス指導者の排除は、イスラエルにとって大きなメリットでしょうけど、
今回の暗殺事件が、中東に取り返しのつかない火種にならないといいのですが。
イスラエルは、事件の余波を織り込んでいるはずで、ハマス(パ解放運動)とイランが、
イスラエルの思惑に引きずり込まれるという可能性はあるでしょう。
イランは核兵器の開発を完了した頃合い、あるいはもう間近かかもしれませんし。
ハメネイ氏が吠え始めましたから、いよいよヤバイかもしれません。
イスラエルの狙いなのか、イランの狙いなのかはわかりませんが、事態は緊迫してきましたね。
こんにちは。
イランは確かシーア派でしたっけ?
イスラムの中では「ゆるい」方だと認識してたのですが……革命以降は全くもって狂信的な面が許容されてダメダメですが。
イスラムはユダヤと広義で同祖のはずなのですが、どうしてこうなった……キリストもだけど。
砂漠という極地で暮らすために特殊化を推し進めた宗教がイスラムと認識してるのですが、他教多種族に対して寛容性の欠片もないのがなんとも……
「多様性」を歌う活動家の皆様は、どうか、彼らを「転ばせて」欲しいものですね!ね!
こんにちは。
多様性なんてクソの役にも立たぬのです。
イスラム社会も、引けぬ事情があるのかも知れませんが……。
シーア派ド真ん中ですよ。
んで、彼らのどれくらいが信じているのか知りませんが、シーア派は終末論者なんですよ。8代目カリフだったかな、アリーだかが児童カリフに就任した直後に失踪しましたと。それを「お隠れになった」として、世界終末戦争の時に「お現れ」になり、最後の審判だか何だかムニャムニャ……と。なのでシーア派の頑固な人は信心が深いほど世界戦争を恐れない。
誠にやっかいな方々です????????
明るいニュースとしては……
最近どっかの新書で出ましたが、イラン滞在歴镸い人の本で、
イラン庶民はもうイスラム政教一致にウンザリしていて、実はハマスの件でも裏で「イスラエル頑張れ!」な人は少なくないと言う。北朝鮮と違い、体制と庶民がもう乖離してる。
なので第一次大戦泥沼化→ロシア革命のように、中東戦争が拡大して戦況悪化したりすると、体制崩壊が起きるのでは?
という観測もある点ですね。
とはいえ、トルコがロシア接近している以上、トルコのNATO脱退もあり得る訳で、そん時にイスラエル、イランのどっちが体制崩壊しても、ロクな事にならないちう話も加味されますが????????
カリフの名が、代々アリーですよね。
・教義原理主義のスンニ派
・血族主義(常に(意味的な)家長のアリーが頂点)のシーア派
と覚えてます。
で、昔タモリさんとテレビ出てたマッスルとか、イラン人で、あのあたりはそこそこ融通が利く世代というか思想というか、だと思っているのですが。
イランの体制崩壊≒国として崩壊(隣国が動かないわけがない)でしょうから、有り得たとしても、それはそれでめんどくさい話になるでしょうね……
今は亡き高倉健さん演じたゴルゴ13映画がパーレヴィ国王時代のイラン全面ロケ作品なのですが、コレを鑑賞すると、
女性は肌を出してカラフル衣装で、都市は豊かで発展してます。
イラン革命で貧相(質素?)になったのが良く解りますよ。そりゃ不満も溜まるでせうね。