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鉄道設備のメンテナンスに人型ロボット導入

科学技術
この記事は約5分で読めます。

偶にはあがる記事が書きたいよね、ということで。

鉄道設備のメンテナンスに“人型ロボット” JR西が7月から導入 作業ごとに腕の装備を交換可能

2024年07月10日 18時21分 公開

JR西日本は7月から、鉄道設備のメンテナンスに人型ロボットを導入した。ロボットの上半身は人型で、下半身はアーム経由でトラックにつながっている形状。このロボットを導入することで、工事時の作業員の安全性や生産性の向上、人材不足改善などの効果を狙う。

IT mediaより

日本って、ほんっとバカ(褒め言葉)。

このニュースに関しては、多分、結構テレビでも扱っていたと思うのだけれど、テレビ観ないからなんとも。ただ、切り抜き動画が色々あるから、多分紹介されたんだろうなと。

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真面目に研究されたロボット

人型ロボットを真面目に研究

これを真面目に研究してしまうところが、日本らしいというか。

鉄道設備の保守に人型ロボット、作業員に重さや感触伝わり「直感的な操作」…JR西が導入

2024/06/27 22:22

JR西日本は27日、線路上の設備の塗装や倒れた樹木の伐採などを行う人型ロボットを導入すると発表した。7月から1台を京阪神エリアで稼働させる。危険で手間がかかる高所での作業をロボットが担うことで、保線作業の省力化や安全性の向上につなげる。

讀賣新聞より

この人型ロボットだが、実は結構前から研究しているのだ。それが実際に設備として導入されるという話になったというのが6月のニュースである。

もっと紹介されても良いのに。

コイツだ!

動画の方が良いかな。

車両に搭載される

移動には工事車両を使っているので、アニメに出てくるようなロボットとはちょっと違うのだが、正に作業用のロボットである。

作業員は工事車両内から操作を行い、装着するゴーグルを通じてロボットのカメラの映像を確認する。操縦レバーにはロボットがつかんだ物の重さや感触も伝わる仕組みで、「自分で作業しているような直感的な操作ができる」(長谷川一明社長)という。

讀賣新聞より

で、良いところは高所作業がし易いことか。

劇的に作業効率が上がるという訳ではないのだけれど、作業の安全性は上がりそうな感じである。現場に導入してからの試行錯誤は必要なんだろうし、人間が不要になるという話ではないんだけどね。

こんな感じの工事車両がいて、オペレータールームが根元に付いたアームの先端にロボットがくっついている感じの装備である。

「人間がはしごで登って作業すれば良いよね」と思う人もいると思うのだけれど、まず、高所作業(2m以上の高さでの作業)というのが安全性を求められる作業なんだよね。その上で、重量物を持ち上げるというのが難しい。クレーンで持ち上げるのも、これが結構ね。重量物がクレーンで移動してくると、実は相当危険なんだよね。慣性の法則を実感する前に、命の危険を感じてしまう。

人間のやる作業の全てを代替できるわけじゃないのだろうけれど、使いドコロはそれなりにあるのだと思う。

工場でも人型ロボットが

ところで、鉄道のメンテナンスに人型ロボットを投入するというのは、世界的に見ても珍しい感じではあるのだが、工場内にロボットを使うのは、珍しくはない。

製造現場では、割と見る光景なのである。

メルセデスベンツが工場内でヒューマノイドロボット「Apollo」を試験導入 ヒト型ロボットのメリットとは

2024年3月17日

Apptronikは、SNSを通じてメルセデスベンツと協力して、製造工場のスタッフとしてヒト型ロボット「Apollo」を試験導入したことを発表した。「Apollo」はNVIDIA Jetsonを2基搭載し、Isaacプラットフォームのシミュレーション環境でトレーニングされた。

ロボスタより

テスラ、ヒト型ロボットを外販 26年から他社向けに量産

2024年7月22日 21:20

米テスラは22日、人工知能(AI)を搭載したヒト型ロボットを2026年に他社向けに量産すると表明した。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が同日、自身のX(旧ツイッター)で明らかにした。まず25年に社内向けに少量生産し、その後外販を増やす。テスラはAIへの投資拡大を表明している。

日本経済新聞より

最近は人型を導入するという話もあったのだけれども、アームタイプであれば何十年も前から工場に導入されている。僕自身も製造ラインに関わる技術者の一人だったから、6軸タイプのロボットアームはよく見たし使った。

ロボットアームとは?ロボットアームの仕組みと選定ポイント | JRC ロボットSIer〈アルフィス〉
作業者が受け持つ工程を、ロボットによって負荷軽減・効率化したいと思った場合、最初に思いつくのが「ロボットアーム(垂直多関節式ロボット)」ではないでしょうか。 この記事では、産業用ロボットのなかでも代表的なロボットアームの仕組みや、ロボットア...

しかし、最近は人型タイプも工場内に増えているんだとか。

ただ、個人的にこの産業用ロボットというのが優れている部分と、そうでない部分があって、なかなか使いドコロが難しいアイテムだと感じているから、今後、人型ロボットの導入が増えるのか?というとどうなんだろうとは思っている。

ロボットのメンテナンスというのも、結構大変なんだよね。

そのうちには、街中でもこの手の人型高所作業用ロボットを見かける日が来るかも知れない。

追記

意外なコメントが来たので、追加情報として。

ロボットの関節など構造をシンプルにする球状歯車

2023.03.28

3方向に回転できるモーターを実現する球状歯車

歯車は、さまざまな機械構造を実現するために不可欠な部品の1つだ。特に、ロボットのように複数の関節を持つ機械の場合、多数の歯車が使われている。ほとんどの歯車は平たい円盤状だが、山形大学大学院理工学研究科 准教授の多田隈理一郎氏が開発した「球状歯車」は、丸いボールの形をしている(動画1)。このように、球体の表面に突起を設けた歯車が、XYZの3方向に自由に回転できる「回転3自由度」を有するモーターを実現した。

未来コトハジメより

あまりこのニュースに注目した人は多くないかも?僕個人としては衝撃が走ったのだけれど。

動画の5:30以降から見るのがお勧めである。

おそらく現状の強度では重量物を上げられないという問題点はあるのだけれども、これだけのことができる機構を開発したというのはなかなか凄いと思う。

ただまあ、人間の動きに近づけるという意味では素晴らしいのだけれど、実際の話をすれば6軸あれば、つまり関節を増やせば人間の腕の動きを概ね再現はできる。だから、この球状ギアの使い道はなかなか限定されそうなんだけれども。

コメント

  1. 河太郎 より:

    わーいガンダムだガンダムだ!!
    中に入って操縦できるタイプ求む!
    んで、見ていて思ったのは、
    「歩行とは別に腕の操作を機械でやるのは難しい」ちう事でした。
    人間の場合「肩」ちう器官は無いすね。
    「上肢帯」と言って、頸と鎖骨と肩甲骨が一体となって上腕をジョイントさせてる。サムネタイプと2つ目のタイプは処理の仕方が違うけれど、基本的には体幹部に上腕がついてますでせう?
    リアル人間の場合、肩甲骨に上腕骨はジョイントしている。つまりロボットみたく体幹についてない。グラグラしないように、鎖骨で胸骨と肩甲骨間を繋いでる。4足獣に至っては、鎖骨が退化して、完全に筋肉だけで上腕がつながる。(ジャンプすると前輪接地なので鎖骨があると衝撃がダイレクトに脳に伝わるため)
    この体から浮いた構造で胴体と腕が繋がるからこそ、投擲したり、壁際でヌンチャクできたりする。体幹に上腕のついたロボットでは鎖鎌とか扱えない!
    (ザクが鎖玉つかうの不思議。どうやっている?)
    しかし精巧でもロボットは軟部組織としての靭帯や筋肉がないから、どうしても体幹に腕を繋いで「固定」しないと力点がズレる。んで、たぶん……鉄道ガンダム2種類とも、ボディ-アームの-部分は球関節のボール型か半球にしてあると予測。
    おそらく半球の丸い部分がボディかアームの凹面に食い込んでいて、その周りをベアリングとオイルで包み、ボールの周囲に油圧をかけて稼働させてるのでは?
    なんにせよ歩いたり、道具で作業するというのは大変なのだと思いました。
    自然界が700万年だかかけて猿から人へ
    構造変化させたものを、軟部組織を持たない金属体で再現しなきゃならないすからねぇ。ガチでハード面の開発は試行錯誤だったろう思います。

    • 木霊 木霊 より:

      残念ながら中に入って操縦は無理ですね。
      駆動部分を外側に出すのは大変ですし、排熱処理などを考えても搭乗タイプはあまり合理的ではありません。

      上腕部分に関しては、追記で紹介しましたが、やってやれないことはないと思います。

    • 七面鳥 より:

      横合いから……

      >ザクが鎖玉つかうの不思議
      ジオン驚異のメカニズム!
      ていうか、最近ではバンダイ脅威のメカニズム!ですが……
      ※駆動系のない、「関節だけ」とはいえ、最新のガンプラは本当に凄い。コアファイターにまで可動軸を仕込むとは……
      胸部肩関節は、ロボデザインでは鬼門ですよね。駆動系としては股関節の方がまだマシ。
      胸板の広いロボは肩がスイングできない、ので、最近は、脊柱から直接肩が生えて、上腕は胴体ではなく肩側にジョイントするデザインもよく見ますね。
      といったところで、球体関節人形は萌えると言い添えて、コメントを閉めたいと思います。

      • 河太郎 より:

        あれを接着剤抜きで組み立てられるのが驚異ですよ。たぶん、昔のバルキリーという(マクロスだっけな?)戦闘機から変身する奴が、まんまリアル玩具化された時いらいですね。こんな驚いたのは。
        設計者と金型製作者に乾杯!!

  2. 河太郎 より:

    これプラモないですかね?  
    あったらぜひ作りたいです!

    • 木霊 木霊 より:

      まだ、研究開発段階です。
      強度的に無理だと思いますよ。玩具程度ならばともかく、歯車で全ての荷重を受けるにはかなり設計的に無理がある。
      肩関節の周りに、引っ張る機構など、筋繊維に相当するものをくっつけないとダメでしょう。

      • 河太郎 より:

        うわ、ご提示いただいた球状歯車これ凄い発明ですよね。
        上腕だけでなく体幹部の「腰部」を再現する可能性あり。つまり脚部で発した動力を上半身で加速して打ち出す投球やパンチ動作が可能なる。

        良くアホな競技コーチが「腰を回せ!」とか言います。だが腰は回らない。歯車のように水平方向へ腰を回転させたら脊柱が千切れる!!
        では、どうやって「腰を回してる」のかと言うと、実は「骨盤の左右の振り」によって、脚部から発した力を体幹部に伝えて、腰椎の向かう方向へ体幹を捻ることで腕に力を伝えています。ところが、この球状歯車だと、上下方向と左右方向の二つのベクトルを組み合わせるので、人間の脚→骨盤周り→体幹→腕の力の伝達を再現出来ちゃうわけです。
        匿名氏の提示したマスターが下位情報を統合する情報処理と合わせると、我々の生きているうちにアンドロイドが可能になるかもしれない。
        人の神経のパルスを伝達して遠隔操作できる人型ロボットも可能になるかも知れません。いや、良い物を見せていただきました。????????????

        • 木霊 木霊 より:

          なかなか興味深いですよね。
          まだまだ研究段階ですから、使えるアイテムというほどのことではありませんが、こう言うアイテムは面白いと思います。

  3. 匿名 より:

    パワードスーツと同じマスタースレーブ方式で操縦している。

    • 木霊 木霊 より:

      マスター・スレーブ方式ですが、AR技術を使って不自由なく動けるようになっているのが面白いですよね。

  4. 河太郎 より:

    あ、あと強度の問題をお書きでしたが。
    ある程度は必要です。危険作業をこなすのですから。とはいえ、壊れたらスペアに替えれば良いのでは? 量産すれば部品も安くなるし。
    またここは七面鳥様領分になるが……
    シャーマン戦車ってありましたね。あれドイツのティーゲルよりも画期的でした
    ドイツ戦車は頑丈でしたが、頑丈すぎて戦地で修理できない。駆動系に負荷かかるど耐久力ある故にエンジンまで故障する。戦地でエンジン修理してられない。
    シャーマンは予め駆動シャフトを一定負荷で壊れるようにしてある。シャフト交換なら戦車兵でも出来るので、戦地での立ち直りが早かったと聞きます。
    壊れるから偉かった(笑)
    用は最低限度の強度あれば、簡単に取り替えが効くように、スペア交換できるようにすれば良いのでは無いですかね?
    素人考えで恐縮ですが。

    • 木霊 木霊 より:

      この強度の意味は、歯厚が確保できないことと、この形状に加工するのが難しいので、硬い素材を選べないということですな。
      今後に期待したいところです。

  5. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    この手の「局所作業用ロボ」は少し前からあったよな、と思ってググったらこんな御先祖様が。
    https://robogaku.jp/history/business/K-1995-1.html

    今回のも、マスタースレイブ方式ですが、完全な1:1ではなく、いろんなセンサと制御が入って、ある程度おおざっぱなレバー操作に対して、マジックハンド側はその場に応じた最適動作を選択する、みたいな事をやっているのだと推察します。
    少し前からマシン自体の露出はありましたが、遂に実用レベルまで来た、って事でしょうかね。
    これがあると、荒天時でも安全に作業が出来るので、その意味で現場は助かるはず。

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      ロボットアームを使って、という作業は昔からあったのですが、今回は人型なのと遠隔操作というのがちょっと面白いです。
      実用段階になったといっても、まだまだ民間に売れるようなシロモノではありませんから、使いながら改善していくのでしょうね。

      • 七面鳥 より:

        そう言えば、宇宙に持っていく極限作業ロボの話もありましたね、NASAというかテスラ?とロシアの双方にあったと記憶してます。

        あっち系のロボと、日本のそれって、関節の捉え方というか、デザインコンセプトがまるで違うのが面白いですよね。

        ※強度の話:
        意図的に「弱くする」部分が必要ですよね、重要部分がやられる前に壊れて、しかも交換が簡単なヒューズ役が。
        ※シャーマン:
        アイツの一番怖いところは、隣に置いてあるシャーマンから砲塔引っ剥がして載っけて動いちゃうところ……週刊護衛空母の国は、自動車のラインで戦車作りやがるから……

        • 河太郎 より:

          砲塔の首をすげかえるのは知りませんでした。勉強になりました。

        • 木霊 木霊 より:

          宇宙で動かすにはまた色々と問題がありますからねぇ、ロボットは。
          頑張って開発してくれると良いと思っていますが、マニピュレーター辺りなら既に活用されているので、案外、技術的には可能なのかもしれません。