そういうこともあるよね。同盟国でもしっかり情報収集というスタンスは、必要だとは思うんだ。
韓国国家情報院の不適切な活動、米国で公開されて波紋(1)
2024.07.18 07:27
「該当期間、被告人は登録しないまま事実上韓国要員として活動した」
米国中央情報局(CIA)分析官出身の韓半島(朝鮮半島)安全保障専門家スー・ミ・テリー氏(52)〔米外交問題評議会(CFR)シニアフェロー〕が米当局に申告しないで韓国政府を代理した容疑で15日(現地時間)、連邦裁判所裁判に起訴された。テリー氏を起訴した連邦検察は、テリー氏が約10年間にわたり在米国韓国公館に務める国家情報院要員から高価なバッグや衣類、高額の現金などを受け取った見返りに米国の非公開情報などを渡してきた容疑がもたれていると明らかにした。
中央日報より
ただ、国家情報院(国情院)がやっていることはかなり悪質なので、アメリカ国内では大きな問題になるかもしれない。
アメリカで発覚したスパイ事件
国情院の仕事はスパイ捜査と情報収集(スパイ)
そもそも国情院というのはCIAを真似して作った諜報機関である。国内に浸透されているスパイに対する捜査やらスパイ活動をやっている組織なので、アメリカでやっていることは業務範囲内ということにはなる。
国家情報院から北朝鮮スパイ捜査を取り上げた文在寅氏 狙いは「南北関係改善」か
更新日:2020.08.14 公開日:2020.08.14
ソウル市内を歩くと地下鉄などあちこちで目にする「北韓(北朝鮮)のスパイを見つけたら、局番なしの111まで申告してください」というステッカーが、姿を消すことになりそうだ。
111は、韓国の情報機関、国家情報院(国情院)のコールセンターの番号。韓国の政府与党は7月30日、国情院を「対外安保情報院」に改称し、共産主義活動に対する捜査権を切り離して警察に移すことを決めたからだ。すなわち、国情院は今後、韓国に潜む北朝鮮スパイの捜査から手を引くことになる。
GLOBE+より
表面的には国情院は北朝鮮に対する情報工作活動することを目的とした組織ではあるのだけれど結局は政治の影響を受けるし、ムン君の時代には北朝鮮スパイの操作から手を引くというような憂き目にあっている。
この時に、国情院の権限も縮小されている。
外交上トラブルになるか
現時点では何とも言えないが、外交的には今後問題になりそうではある。少なくともアメリカはそれなりにお怒りらしい。
国家情報院が同盟国である米国で繰り広げた海外情報収集活動の具体的内容や不適切な慣行が公開されて外交的な波紋が予想される。専門家は金品で情報部員を抱き込み、急ぎの情報をかき集めたり断片的に活用したりするのに汲々とするだけで、駐在国の状況などを考慮して丁寧に管理することができない国家情報院のアマチュア的諜報活動の限界があらわれたものと指摘した。
17日、中央日報が入手したニューヨーク南部地方検察庁の控訴状(計31ページ)によると、テリー氏の韓国政府代理活動は2013年から10年間余り続いた。
米国外国代理人登録法(FARA)によると、外国政府などを代理して活動する場合には法務長官に申告しなければならないが、テリー氏はこのような規定を知っていたにもかかわらず申告しなかった。テリー氏は2016~2022年に少なくとも3回の議会証言宣誓の過程で「FARAに伴う申告対象か」を問う言葉に「ノー」と答えた。
中央日報より
アメリカには、FURAと呼ばれる制度があって、公式に諜報活動を行うことができるのだが、残念なことにこの制度を利用してはいなかった。
Former White House official accused of acting as South Korea agent
July 17, 20245:47 PM
NEW YORK, July 16 (Reuters) – A foreign policy specialist who once worked for the CIA and on the White House National Security Council (NSC) has been indicted on U.S. charges she worked as an unregistered agent of South Korea’s government in exchange for luxury goods and other gifts.
~~対訳~~
元ホワイトハウス高官、韓国工作員として告発される
かつてCIAやホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)に勤務していた外交政策の専門家が、高級品やその他の贈り物と引き換えに韓国政府の未登録のエージェントとして働いていたとして、米国で起訴された。
ロイターより
ロイターが本件を扱っているが、大掛かりなスパイ活動をやっていた様な感じだね。
Terry’s alleged work as an agent began in 2013, two years after she left U.S. government employment, and lasted a decade even after FBI agents warned her in 2014 that South Korean intelligence might try to offer (to) covertly pay for events.
She is now a senior fellow at the Council on Foreign Relations, according to the think tank’s website, and an expert on East Asia and the Korean Peninsula, including North Korea.
~~対訳~~
テリーの諜報員としての疑惑の仕事は、彼女が米国政府の職を辞した2年後の2013年に始まり、2014年にFBI捜査官が彼女に韓国情報部がイベントのために密かに金を払おうとするかもしれない(かもしれない)と警告した後も10年間続いた。
シンクタンクのウェブサイトによれば、彼女は現在、外交問題評議会のシニアフェローで、北朝鮮を含む東アジアと朝鮮半島の専門家である。
ロイターより
ただ、この話、そもそもスー・ミ・テリー容疑者だけではなく、そこにお金を支払って情報収集していた国情院のメンバーもやっぱり問題のように思える。
対日工作員であった可能性も
他にも気になる部分が。
Born in Seoul and raised in Virginia, Terry was a senior CIA analyst from 2001 to 2008, and director of Korean, Japan and Oceanic Affairs at the NSC from 2008 to 2009 under Republican President George W. Bush and Democratic President Barack Obama.
~~対訳~~
ソウル生まれ、バージニア州育ちのテリーは、2001年から2008年までCIA上級分析官、2008年から2009年まで共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領と民主党のバラク・オバマ大統領の下でNSCの韓国・日本・海洋担当ディレクターを務めた。
ロイターより
このテリー容疑者だが、CIA上級分析官を務めていたという経歴があり、なおかつアメリカの政権の内部にも入っていて、NSCの日本・韓国・海洋担当ディレクターを務めていたというから、工作員であった可能性は当然に考えるべきポイントである。
つまり、日本とアメリカの分断工作をやっていた可能性はあると思う。そして、当初から国情院との関係があった可能性も。
スパイ事件はありふれている
少し話は逸れるのだが、日本でもこんなニュースがあった。
日本の基地に配属の米海軍兵、スパイ罪で起訴
2024年2月22日
在日米軍基地に配属されている米海軍兵が、機密文書を外国政府に渡したとして、スパイ活動の罪で起訴された。米海軍が21日、明らかにした。
ブライス・ペディチーニ上等兵曹は、2022年から2023年の間に少なくとも7回、外国の諜報員に文書を渡したとされる。
BBCより
日本では殆ど騒がれなかった話で、僕自身も本件を調べるまで知らなかった。しかし、「2022年から2023年の間に少なくとも7回、外国の諜報員に文書を渡した」とあるのだけれど、米海兵隊が「何処の外国政府」に情報を売っていたのか。
普通に考えれば支那だろう。
同月には、やはり米海軍のウェンヘン・ジャオ兵曹(26)が、カリフォルニアの海軍基地で中国情報機関に情報を渡したとされた裁判で、有罪を認めた。ジャオ被告は禁錮2年の判決を受けた。
ジャオ被告は昨年8月、海軍兵ジンチャオ・ウェイ被告と共に逮捕され、中国の諜報員に防衛情報を渡すことを共謀した罪に問われた。
BBCより
BBCは別件のスパイ事件を紹介して、支那の関与を臭わせている。しかし、可能性としては韓国や北朝鮮が関与していたとしても不思議はない。
本件、日本にある在日米軍基地内の話なので、日本の警察権が及ぶような場所ではないのだけれども、日本国内でスパイ事件が起こったのは事実である。こんな感じのスパイ事件はそれなりの頻度で発生しているのである、日本国内でも。
スパイ防止法、日本にも必要だとは思わない?
コメント
以前スノーデンファイルによって米国の対日諜報活動が明らかになるわけですが、日本は形だけの抗議しか出来ませんでしたねえ
だって日本の外交安全保障は米国に握られているも同然ですから当然っちゃ当然です。情けない
アメリカは全世界に対して公然と諜報活動をやっていましたし、今現在もやっていますからね。
日本としては違法ではない状況なので文句も満足に言えない。
ご指摘のように、日本の安全保障が人質に取られている実態があって、それは改革しなければなりません。
日本の安全保障政策の決定プロセスは特殊です。通常の政策決定は各省庁の役人が国会議員や関係者と協議して作り上げていくのに対して、安全保障政策は日米合同委員会を開き、決定されたものをトップダウンで遂行する。この時の米側トップは駐日大使です。そして駐日大使は米国の国会議員ですからここでの決定事項は強い拘束力を持つ。
まあ大使館が情報収集拠点になっているのは中露も同様で、米に限ったことではないですがね
「外交と防衛は表裏一体」という話は聞きますが、ご指摘のような観点から言っても表裏一体なのですね。
防衛の実態を知らない外交官が仕事をすれば、そりゃアメリカの言いなりになるってなものでしょう・
木霊様、5千億円の件、丁寧なコメントにより自分で熟考して、「これを木霊様は言わんとしたのではないか?」という結論を再度に投稿しました。
多少のズレはあるかも知れませんが、
私の推察が木霊様の説明と、それなりに意味が合うならば、
「私の誤解」であった事を認め、ここに謝罪いたします。そして自分で考える学びの機会を下さった事に感謝いたします。
謝罪は不要ですよ。
こちらこそお付き合いありがとうございました。
合衆国政府は、韓国のスパイ活動など、先刻承知じゃないかと。
なぜこの時期に事を明かしたかに興味があるのですが。
わからないです。
ご指摘の視点は面白いです。
確かに、CIA出身の人物で随分前からマークされていた感じなので、おそらくは泳がされていたのでしょう。
この時期にニュースにした背景には、何らかのメッセージ性を感じますが、実際のところはどうなんでしょうね。
>対日工作員であった可能性も
むしろ日本国内にどれくらいの数がいるんだか……
「恐怖!君の教科書も真っ赤っか」
的な事にならないよう、もうかなり手遅れですが、手を打っておかないと……
※元ネタ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9B%E5%9C%8B%E6%88%B0%E9%9A%8A%E5%A4%A7%E6%97%A5%E6%9C%AC