いやいや、ご冗談を。
この話、インドネシア商工会議所の会頭の話なので、インドネシア政府が擦り寄ってきたという話ではない。だが、本音は日本にATMになれと言うことなんだろうね。
インドネシア首都移転、財界トップが日本に投資訴え 中国念頭に「乗り遅れず参加を」
2024/7/17 16:36
インドネシア商工会議所のアルシャド・ラシッド会頭は17日までに東京都内でインタビューに応じた。同国の首都移転が「経済成長の起爆剤になる」とし、資源関連で投資攻勢を強める中国などを念頭に「乗り遅れず、象徴的なプロジェクトに参加してほしい」と日本に投資拡大を訴えた。
産経新聞より
インドネシアの高速鉄道の事案を忘れたのか?と、思わず詰め寄りたくなる話ですな。
首都移転する計画のインドネシア、お金がない
首都移転には理由がある
そもそも、インドネシアは何故、首都移転などを考えたのか、という話から少し触れていこう。
移転先はジャングル!? 新首都「ヌサンタラ」ってどんなとこ?
2024年1月18日
インドネシアの首都・ジャカルタに赴任して1年。
ずいぶんなじんできたと感じていた頃、インドネシアの議会で首都を別の場所に移すことが決まりました。
その名は「ヌサンタラ」。
NHKニュースより
新首都「ヌサンタラ」が何処にあるのか?というと、実は「別の島」である。

首都「ジャカルタ」は、ジャワ島にあり新首都「ヌサンタラ」はカリマンタン島にある。
インドネシアの首都ジャカルタは、人口が密集して様々な問題を抱えた土地である。大気汚染や交通渋滞、地盤沈下や土壌汚染など、インドネシアが長年放置し続けてきた問題が山積していると言って良い。
そんなジャカルタから首都を移すという案は、2019年から持ち上がっていました。
当時、ジョコ大統領が方針を表明したあとも、多くの人は半信半疑でした。
実は、これまでも3人の歴代大統領が首都移転を提案してきましたが、計画は具体化しなかったからです。
しかし、ことし1月、議会で首都移転のための法案が可決。
そして3月10日には新首都の開発を進める政府機関が立ち上がり、これまでになく現実味を帯びてきたのです。
NHKニュースより
だからインドネシア大統領のジョコ氏は唐突に「そうだ!首都を移転しよう」とか言い出した。
……コイツ、アホなのか?
失礼。多分、多くのインドネシア人はそう思ったに違いないという意味だ。しかし、法案は可決され、首都移転は決定された。
何故、ジョコ氏の正気を人々が疑ったのかといえば、移転先がジャングルの奥地で、インフラ整備も何も行われていないような場所に移転することを決定したからである。

これでも絶賛工事中なんだけれども、見る限り無計画に開発しているような気がしてならないんだが、大丈夫か?
乱開発が心配されるが
法案が可決して、話が動き出した結果、様々な投資が始まった。
移転先のカリマンタン島東部は手つかずのジャングルが残っており、オランウータンなど多様な野生動物の生息地。先住民も暮らしており、彼らの生活環境や文化が危機にさらされるという指摘が上がっています。
もう一つは、経済的な実現可能性です。
首都移転には、総額340億ドル(約4.1兆円)の費用がかかると目されています。その内訳は、公共投資が約0.8兆円、民間投資が約1.1兆円、PPP(Public Private Partnership:官民連携)が約2.2兆円。全体の8割以上はPPPや民間投資でまかなう目算ですが、それだけの資金が集まるのか、疑問視する声は少なくありません。
Linked inより
インドネシアの国家規模詐欺という気がしてならないが、まあ、そこはさておき、先住民の話や自然環境の破壊という問題は、何かを開発しようとすればどうしてもついて回る話ではある。
そして、ジャカルタが人口密集しすぎでどうしようもなくなっている実態を考えれば、「新しいところで1から都市作ったらいいんじゃね?」と考えてもおかしくはないだろう。
……。

しかし、何もかもを1から作るというのは、なかなか気合いが入っているというか、考えなしというか。
No.188 「森林都市」を目指すインドネシアの新首都 ──その理想と現実
2024年4月17日発行
2019年8月にジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が発表した「首都移転」計画は、その実現性をいぶかる声を尻目に、大統領官邸や飛行場、高速道路、水道などのインフラ建設が着々と進められている。2022年から2024年2月までにすでに71.8兆ルピア(約46億米ドル)の政府予算がつぎ込まれた。
~~略~~
現地のニュース週刊誌『テンポ』の調査によれば、これまでに土地造成によって失われた森林の面積は2464ヘクタールにのぼる。この開発によって、周辺地域では洪水が頻繁に発生するようになったともいわれている。
IDE-jetroより
お題目としてはジョコ氏、「森林都市を建設する」と言ってはいるが、自然破壊に繋がるのは間違いない。何しろ、工事主体は国内の業者に加えて支那の業者が入り込んでいる。「自然破壊?ナニソレ美味しいの」状態だろう。


衛星写真を見れば一目瞭然である。
他国のことなので「計画的にやって欲しい」と願うくらいしか出来ないのではあるが、それにしても、ねぇ。
投資話は結構危ない
さて、そんな絶賛開発注のヌサンタラではあるが、こういった大規模な投資話は本当に大きなリスクが潜んでいる。
移転先カリマンタン島はマレーシア、ブルネイにまたがる。アルシャド氏は「3カ国の相互接続が高まれば鉄道や資源の共同開発にもつながる」とし、首都移転が島全体の発展に寄与すると指摘。同島には水力発電の「巨大な開発ポテンシャル」もあり、首都移転に絡んで投資機会が増えるとアピールした。
産経新聞「インドネシア首都移転、財界トップが日本に投資訴え」より
何しろ、インドネシア高速鉄道同様に、この話は政府の出資比率は2割程度で8割を民間から募ることになっている。
日本としては、支払いが確実な政府債務による投資話であれば乗れるところだが、どう考えても「そうではない部分に投資してくれ」ってことなんだよね。
新しい都市の建設にかかる費用は約350億ドルと見込まれているものの、インドネシア政府が提供を約束しているのはこのうちの約20%のみで、残りの資金の確保に苦労している。2022年3月、ソフトバンクはこのプロジェクトへの出資を見送った。
Business Insiderより
利に聡い孫氏は、最初この投資話に乗っかっていたのだが、出資を見送っている。実に怪しい。
インドネシア、首都移転で当局トップ辞任 混乱浮き彫り
2024年6月18日 16:41
インドネシア政府が進める新首都ヌサンタラへの移転計画を巡り、国内であつれきが生じている。移転事業を担当する行政機関「ヌサンタラ首都庁」の長官らが6月上旬、突如辞任した。首都移転の取り組みを性急とみており、計画を推進するジョコ政権とわだかまりがあったようだ。
日本経済新聞より
そういえば、何かトラブルあったよね?
コメント
インドネシア商工会議所は、インドネシア政府の意向で来日したわけで、詰まるところ、インドネシアはカネ不足なわけです。支那にはもうカネがないので、日本のカネに期待していることは明らかです。
近年、インドネシアが経済開発を強引に進めている理由は、人口増加が止まらず、若年層が多いのに経済格差が顕著であることや、国内のあちこちに民族紛争を抱えているからですね。だから、公共事業を増やしたいのでしょう。
将来を見越せば、大きなビジネスチャンスではあるでしょうけど、インドネシアは共産圏と大差ない国ですから。インドネシアには欲をかいて深入りしないほうがいいでしょう。
インドネシアに支那から資金が注入されなくなっているということなんでしょうね、やっぱり。
これまでも、インドネシアは随分と都合の良い開発条件を設定して、他国にお金を出してもらいつつ開発をやってきたわけですが、それが通用しなくなったと。
インドネシアの将来性はわかりますが、流石にちょっと今投資するのはリスキーです。
日本のペースでぼちぼちとやっていくべきでしょう。
やめときませう。このヌサンタラ付近、
実は木霊様の世代が社会人になる前に出かけてるんですよビジネスで。何をしてたかは黒い話で書けないけれど。
先ず未開発の当時でさえ、マラリアだのの熱病や風土病があった。乱開発してるようだから、実は悪化してるはずですよ。廃材や土山の水たまりにボウフラが湧いたり、湧水の水質汚染で病害虫が増えたり。熱帯性の植生って生態バランスが崩れやすくて、崩れると病因となる微生物や害虫が増えるんですよ。
写真を観る限り、完成してから半世紀くらい経つまで行きたくないですね。
インドネシアの選択ですので、ヌダンタラに遷都するという発想自体は否定し難いのですが。
なるほど、熱帯の森の中というのは、様々な病気が潜んでいる可能性があると。
日本人もODAなどで既に現地で働いているようですが、くれぐれも気をつけていただきたいものです。
こんにちは。
>インドネシアが「投資をしてくれ」と日本に訴える
ぶぶ漬け、喰いまっか?