もうちょっと遅くなるかと思ったけど、共和党もその線で腹を括ったか。
【更新中】トランプ氏 共和党大統領候補に 副大統領候補は39歳
2024年7月16日 8時38分
11月のアメリカ大統領選挙で政権奪還を目指す野党・共和党の全国党大会が開かれ、トランプ前大統領が党の大統領候補に正式に指名されました。また、副大統領候補には上院議員のJ・D・バンス氏が指名されました。
NHKニュースより
共和党としては、最後までニッキー・ヘイリー氏の線も残したいと考えていたとは思うけれども、あの事件のあった後ではね。
共和党側の体制が整う
注目は副大統領候補
最初に、関連記事のリンクを貼っておく。
さて、共和党の候補としてはこれでトランプ氏に一本化されたわけだけれども、どちらかというと、副大統領候補の方が驚いた。

トランプ氏が他の候補をぶっちぎりで差を付けて1位であったとはいえ、おそらく2位に付けているニッキー・ヘイリー氏を副大統領にという思惑はあったはずだ。

実のところ、民主党候補であるバイデン氏が撤退した場合、副大統領のカマラ・ハリス氏が出てくる可能性があり、ハリス氏が候補に立った場合にはトランプ氏に善戦するのではないかという観測があった。
ハリス氏を候補者に立てるならば、ヘイリー氏をカウンターとして充てる構想があったと思う。しかし、今回、指名された副大統領候補はJ・D・バンス氏だという。
トランプ氏が副大統領候補にJ・D・バンス氏を指名 どんな人物?
2024年7月16日 4時32分(2024年7月16日 6時56分更新)
11月の米大統領選に向け、共和党の指名候補に決まったトランプ前大統領は15日、副大統領候補にJ・D・バンス上院議員(39)を選んだ。
朝日新聞より
マルコ・ルビオ氏辺りが堅いと思っていたんだけどね。
ラスト・ベルト
最終的に副大統領候補に残ったのが、4~5人程度いたはず。
最終選考に残っている人数についてトランプ氏は「4人か5人だと思うが、私は彼らのことをよく知っている」とコメント。「それほどうまくはいかないだろう」と思う候補者の何人かは候補から外れたと語った。また、「最終的には直感だが、直感が働く前にすべての事実を知っておきたい」と付け加えた。
トランプ氏が12日に言及したのは、スコット上院議員(サウスカロライナ州)、バンス上院議員(オハイオ州)、ルビオ上院議員(オハイオ州)とノースダコタ州のバーガム知事で、それぞれを称賛した。候補発表のタイミングについてトランプ氏はインタビューで「党大会の最中か、その少し前にしたい」と話した。
Bloombergより
一応、それぞれを簡単に紹介しておこう。
- ティム・スコット氏:サウスカロライナ州出身の上院議員で、唯一の黒人候補者。キリスト教の熱心な信者で、人工妊娠中絶の禁止を公約にしている。
- J・D・バンス氏:米ウィスコンシン州出身の上院議員で、ラストベルトを題材にした自伝「ヒルビリー・エレジー」の著者としても知られる。ただし、以前はトランプ氏を決して受け入れない「ネバー・トランプ」運動を主導していた経歴もある。
- マルコ・ルビオ氏:フロリダ州選出の上院議員で、キューバ系アメリカ人(ヒスパニック)で、対支那強硬政策路線の人物。
- ニッキー・ヘイリー氏:サウスカロライナ州出身の上院議員で、上で紹介したように女性大統領候補でもある。外交経験が豊富で親ウクライナ派でもある。
- ダグ・バーガム氏:ノースダコタ州知事で、選挙戦におけるトランプ氏の忠実なる右腕でもある。
あとは、ロン・デサンティス氏辺りなのだが……。まあ、この人も大統領候補でなかなか優秀な人物ではあるのだが、今回はあまり有力視されていなかったようだね。

で、トランプ氏は悩んだ上でJ・D・バンス氏(39歳)を選んだ。バンス氏は、貧困層の出ながらもかなり優秀な人物である。ただし、他属性を政治に参加させようというというアメリカの方針とは異なる選出ではある。完全に、能力で選出したというアピールであろう。
そしてもう1つ大切なのは、トランプ氏の路線を理解して継承できるのがバンス氏であるという点だ。おそらく、トランプ氏は1期で大統領の職を降り禅譲する構想である。年齢も年齢だからね。
その後を引き継げるのが若きバンス氏というのも、印象的なことだ。
そしてこのバンス氏が、アメリカのラストベルト出身であるという点も政策的な意味で大きな影響があるだろうといわれている。ラストベルトからの支持をトランプ氏が取り付ける意味でも、バンス氏の存在は大きいだろう。民主党としてもこの人選は痛いだろうしね。
グリーンニューディールは解体へ
既に皆さんお忘れだと思うが、民主党のバイデン氏の看板政策として「グリーン・ニューディール」というものがあった。
だが、トランプ氏が再選されれば、先ず間違いなくグリーン・ニューディール政策を解体するだろう。
米大統領選 EV・パリ協定、気候変動対策は正反対
2024年1月13日 2:00
「(バイデン政権の気候変動政策)グリーン・ニューディールがこの国を破壊しようとしている」。米国のトランプ前大統領は2023年12月、共和党の予備選の初戦が実施される中西部アイオワ州で聴衆に訴えた。
米国で気候変動を巡る与野党対立が激しくなっている。国際社会で脱炭素の流れが加速し、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーなど各産業の構造が変化した。バイデン政権下で新たな争点が次々と浮上してきた。
日本経済新聞より
バイデン氏の方針として掲げられたこの政策は、経済的な観点から見て下策も下策で、トランプ氏としてはシェールガスの産出を推進するなど、二酸化炭素排出量に関する話も置き去りにすると考えられている。
そもそもグリーン・ニューディール政策は、長期的な課題設定とするのであればまだしも、短期的な経済課題を解決出来る話ではない。また、ニューディール政策自身も経済政策としては失敗した政策として知られている。
この他にも安全保障政策にも変更があると思われるので、大統領選挙の結果次第では、世界にも大きな影響が出そうだね。
追記
まずは、USスチール売却に影響が出そうではある。
日本製鉄 USスチールの買収完了時期 “年内に延期”と発表
2024年5月3日 9時48分
日本製鉄はことし9月までの完了を目指すと公表していたアメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」の買収完了の時期について、ことし12月までに延期すると発表しました。買収に必要なアメリカの当局からの承認を得られる時期を精査した結果としていて、ことし11月の大統領選挙に向けた思惑も絡むなか、計画の行方が注目されています。
日本製鉄は、去年12月、USスチールを買収することで両社の間で合意し、ことし9月までにUSスチールを子会社化し、買収の完了を目指すと公表していました。
NHKニュースより
USスチールの買収に関しては、日本製鉄にとってもUSスチールにとっても悪い話ではないハズなんだけど、残念ながらアメリカ政府としては阻止したい意向のようだ。
製鉄産業を日本に奪われるという懸念が強いのだろうね。
ただ、USスチールはこのままではジリ貧だと思うんだが……。
共和党副大統領候補のバンス氏、日鉄のUSスチール買収にたびたび反対
2024/7/16 10:19
米大統領選で共和党の副大統領候補に選ばれたJ・D・バンス上院議員は、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収にたびたび反対を表明してきた。大統領候補に正式に選ばれたトランプ前大統領も反対しており、買収への逆風がさらに強まる可能性がある。
産経新聞より
政府としては諦めるわけにはいかない案件なのだろうけれど、このまま経営をUSスチールに任せても再び赤字に転落するリスクが高いんだよね。
追記2
これも選挙に影響しそうである。
トランプ前大統領の機密文書持ち出し、フロリダ連邦地裁が起訴を棄却
2024/7/16
ドナルド・トランプ前米大統領が退任後にホワイトハウスから機密文書を持ち出し違法に所持していたとされる事件で、フロリダ州の連邦地裁は15日、起訴棄却を決定した。
アイリーン・キャノン判事は前大統領側の主張を受け入れ、事件を捜査したジャック・スミス特別検察官を司法省が任命したことそのものが違憲のため、起訴は無効だと判断した。
BBCより
詳しく説明はしない。要はトランプ氏が機密情報を持ち出して違法に所持していた疑惑が、裁判所によって否定されたというニュースだ。
裁判所の判断の適否を判断するのは困難だが、無罪判定された根拠は当然にあるわけで。
追記3
EVの記事を見るとついつい批判的な意見を持ってしまうのだが…。
GM、来年のEV販売は100万台に届かない見通し-バーラCEO
2024年7月16日 10:36 JST
米自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は15日、同社の2025年の電気自動車(EV)販売は100万台に届かないとの見通しを示し、同社のEVプログラムへの期待を後退させた。同社は25年までに年間100万台のEV生産能力を確保するとの目標を掲げていた。
Bloombergより
ご愁傷さまとしか言いようがないが、トランプ氏が当選すればGMのEVの販売台数は予測よりも大幅に減るだろう。
当選すれば、「EV?止めだ」と言い出しかねない。
現実を見れば、EVはインフラ工事などに多大な労力を注ぎ込まねばならないし、そもそもGMが作るようなデカい車をEV化するのは馬鹿げた話。全固体電池がものになったら出直すくらいの気持ちのほうが良いだろうね。トヨタの中の人に聞く感触では、全固体電池は怪しいっぽいけど。
追記4
うーん、主題からだんだん離れつつあるけれども、これも追記にしておきたい。
イラン、トランプ氏暗殺計画か 銃撃容疑者とは接点なし
2024年7月17日 5:35 (2024年7月17日 6:14更新)
米CNNテレビは16日、米当局がここ数週間でトランプ前大統領を狙ったイラン政府による暗殺計画の情報を入手し、シークレットサービス(大統領警護隊)の警備体制を強化していたと報じた。13日に東部ペンシルベニア州の集会でトランプ氏を銃撃したトーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)との接点はないという。
日本経済新聞より
CNNによれば、イラン政府によるトランプ氏暗殺計画が存在し、今回の事件との関係性は現時点では把握されていないとのこと。ただしSSは別の暗殺計画があったにもかかわらず、警備が杜撰だったとして批難されかねないよという。
コメント
なんとヒルビリー・エレジーの人ですか。てことはアパラチア山脈沿いの人で、当然ながらケンタッキーから北へと伸びる炭鉱や、その炭鉱の石炭による錆びついた工業地帯と深い縁ある。この関係をぶち壊して麻薬漬けにしたのは、オバマの環境政策による閉山てあり、尻尾を振って騒いだのがバイデンです。
ざまあみろとしか言いようない。
んが、USスチールの件はね……そもそも安価で材質の悪い韓国鉄鋼を輸入していたのはオバマやバイデンのアメリカっす。
日本人の正当なビジネスに横槍入れられる筋合いはない!
対バイデン姿勢を鮮明にした感じですね。
そして、バイデン氏は次期候補を降りられませんから、この勝負はあったようなものです。
USスチールの件は、トランプ氏やバンス氏の懸念は正しいとは思います。
ただ、日本製鉄も後には引けないんですよね、もう。
映画「アメリカン・スナイパー」の伝説のスナイパーがアパラチア山脈のヒルビリーでした。実際、二次大戦からここいらは名狙撃手の産地で有名。それは貧しい為に、子供の頃からリスを撃って食卓に肉を供給してるからてす。これはJDヒックスの著書にも出てくる。
んで、社会保険制度の酷さで、無保険者が全米1多いから、フェンタニルやオピオイドがまん延する。何を患っても鎮痛して耐えるしかない(但し鎮痛には体力の全てを回復や免疫に集中させる力もあり、麻薬にはそれなりの薬効果ある)
オバマケアなんざ糞の役にもなってませんしねぇ。
農地も水源もパイプラインと石油も、アメリカの中央を占める赤い米国に集中しており、内戦になれば飢えて崩壊するのは都市部の青い米国ですよ。
アメリカの麻薬の問題はそう簡単には解決できないでしょう。
オバマケアも、悪い発想ではありませんが焼け石に水といった感じ。
トランプ氏が再び大統領になったとしても強いアメリカが戻ってくるかは不明ですが……、恐らく日本側でカウンターパートを担当できるのは茂木氏なんですよね。ただ、茂木氏は首相の責を背負える政治家とは思えませんから、じゃあ、誰が?ということになってしまいます。
なかなか、日本のことも含めて考えると、頭の痛い話であります。