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支那空母「山東」が太平洋にて訓練

安全保障
この記事は約6分で読めます。

産経新聞のアホタイトルを紹介して、本日のネタとしよう。

中国空母4隻が太平洋で活動 戦闘機やヘリの発着艦を確認 空自戦闘機がスクランブル

2024/7/9 19:51

防衛省統合幕僚監部は9日、沖縄県・宮古島の南東約520キロの太平洋上で、中国海軍の空母「山東」など計4隻が航行しているのを確認したと発表した。艦載の戦闘機やヘリコプターが複数回発着艦したとしている。

産経新聞より

……アホなんだろうなぁ。さっさと修正しなさいよ。

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空母の訓練は活発に

日本語が苦手な新聞記者

さっそく気がついた方も多いと思う。

産経新聞のタイトルを見たら、「支那の空母4隻?!」「まだ、3番艦までしか就役していないのでは?!」と思うし、内容は「支那海軍の空母「山東」など計4隻が航行」となっている。

完全にタイトル詐欺、いや、誤タイトルである。

これさぁ、ちゃんとデスクチェック通っているんだよね?

防衛省によると、4隻の航行が確認されたのは9日午前7時ごろ。海上自衛隊の護衛艦「あけぼの」が監視し、戦闘機の発着には航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応した。

産経新聞「中国空母4隻が太平洋で活動」より

そもそも支那空母「山東」は002型航空母艦と呼ばれる2番艦で、1番艦の「遼寧」のコピー艦である。

今のところ、真っ当に使えるのは、2番艦「山東」のみ。1番艦の「遼寧」に関しては駆動系や構造を含めて不安要素が満載なので、早々に退役させると予想されていたが、今のところ練習メインで使っているっぽい。もしかしたら実戦にも投入するかもしれないが。

002型航空母艦「山東」

ともあれ、発着訓練ができるのは「遼寧」と「山東」の2隻なので、多少知っている方ならば、先ず驚くタイトルだと思う。

3番艦は?

なお、最近、003型航空母艦「福建」に関する記事も見かけた。

中国、3隻目の新型空母「福建」を試験航行か 初の自主設計 香港紙報道

2024/7/4 18:43

中国3隻目の新型空母「福建」が上海市の埠頭から出航し3度目の試験航行を始めたとみられると、4日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが伝えた。5月上旬に初の試験航行をしたばかりで、同紙は3度目の試験航行がこの時期に実施されたのは過去2回の試験航行が順調だったことを示すとの軍事専門家の見方を伝えた。

産経新聞より

皮肉にもこちらも産経新聞の記事で、「3隻目の新型空母」と書いているのに。

産経新聞「中国、3隻目の新型空母「福建」を試験航行か」より

こちらは試験航行の真っ最中で、割と順調だと見られている。

2度目の試験航行の公式発表はないが、同紙によると5月23日から20日間実施され、推進システムや急旋回の能力のテストが行われたとみられている。

産経新聞「中国、3隻目の新型空母「福建」を試験航行か」より

ただ、過去にも記事にしているのだが、本艦から電磁カタパルトを採用していて航行試験は順調でも、航空機の発着が順調にできるとは限らない。

一度も電磁カタパルトが順調に運用できるという記事を見かけないのだが、キャパシタでの運用が上手く行かないのか、未だテスト段階なのか。

この辺りは注意深く、興味を持って見守っていきたいし、そうすべきだろう。

今回の活動

さて、冒頭の話なのだが、今回はこの辺りでの訓練であるようだ。

防衛省のサイトより

位置的には日本や台湾を挑発する気満々という感じの位置だ。ただ、ここいらの海域は、支那が訓練を良く行っている場所でもある。

  1. 中国海軍クズネツォフ 級空母「山東」1隻(艦番号「17」)
  2. レンハイ級ミサイル駆逐艦1隻(艦番 号「106」)
  3. ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻(艦番号「164」)
  4. ジャ ンカイⅡ級フリゲート1隻(艦番号「571」)

目に見える範囲では4隻で、空母打撃群を構成するのであれば、この周辺に潜水艦もいる可能性はある。尤も、航行中の潜水艦の報告はないので、おそらくは居ないのだろうと思うが。

何れにしても、産経新聞のアホタイトルの話はさておいて、支那が空母の訓練を活発化させていることの意味は考える必要があるだろう。

分かり易い脅し

ここの所の情勢で、かつてないほど台湾有事のリスクは高まっていると考えて良いだろう。

その要因の1つは頼清徳氏が台湾総統に就任したこと。これは頼清徳氏の方針云々よりも、支那寄りの候補ではないというだけの理由で支那が怒っていることによる。

そしてもう1つは、支那の国内経済状況の悪化だ。特に、若年失業率の高まりは非常にリスキーである。

更にもう1つ、アメリカと支那との関係悪化が響いていると思う。ここはバイデン政権の政策の綻びなどがあるので、一概には言えないのだが……。良い方向に向いているとは言い難い。

そうした背景から、支那は台湾に対する姿勢を強めている。

台湾が「中国への渡航危険レベル」引き上げ→日本人も無関係ではいられないワケ

2024.7.9 6:00

前回のコラム「台湾独立派への死刑も可能に!習近平指導部の「処罰指針」が脅しでは済まないワケ」では、6月21日、中国政府で公安や司法に関わる5つの部門が連名で、「『台湾独立』の頑迷分子による国家分裂と国家分裂扇動の犯罪の法による処罰に関する意見」(以下「意見」)を発表したことで、台湾海峡における緊張度が一層高まった経緯を検証した。

Diamond Onlineより

こちらの記事などが興味深かったが、簡単に言えば、支那共産党は外部に敵を作ることで国内の不満を逸らすような政策をとりかねないところにまで来ている。その分かり易い相手が台湾で、台湾は一歩間違えればウクライナと同じ状況になってしまうだろう。

最近の病院船の話や、沖ノ鳥島のブイの話。アメリカが台湾に無人機を売るという決定をした話など、どうも「備えている」様子が見て取れるような話が多いだけに、緊張は高まっていると言って良いだろう。

支那が実際に台湾の武力侵攻を決定するのか?という疑念はあるものの、習近平氏がそもそも軍部をしっかりグリップできているかが、どうも怪しい気がするので、実際に何かが起こってもおかしくはないんだよね。

追記

うーん。

台湾周辺で中国の軍用機37機が活動 空母「山東」との合同訓練か

2024/7/10 13:37

台湾国防部(国防省)は10日、中国の軍用機延べ37機が同日午前5時20分(日本時間同6時20分)以降、台湾周辺で活動したのを確認したと発表した。

産経新聞より

また詐欺タイトルなんだが。

いやまあ、内容も関係しているのでこの記事の追記としたんだけれども、「軍用機37機が活動」と「軍用機延べ37機が活動」では意味が大きく異なるんだが。

台湾国防部によると、10日確認された軍用機は戦闘機「殲16」や爆撃機「轟6」、早期警戒機「空警500」など。国防部は厳密に監視し対処したとしている。

産経新聞「台湾周辺で中国の軍用機37機が活動」より

活動が活発化しているという意味ではアリだと思うのだけれど、なんというか、これで大丈夫なのか?新聞社としては。

支那人民解放軍が台湾を脅しているという意味では、何も変わらないんだけどね。

コメント

  1. 名無ち より:

    最近、人民解放軍 海軍の活動が以前にも増して活発化しているような気がする。
    それに同期するように自衛隊や沖縄米軍のスキャンダルが連発している。
    スキャンダルは被害者や内部から告発が発端だと思うけど、自分が工作員なら敵対組織の弱体化が必要なら金は惜しまずに使うと思う。まさか中共本気で台湾に手を出すつもりじゃないよね。まあ、つまらない妄想だと思うけど。

    • 木霊 木霊 より:

      支那が色々な意味で活発化していて、自衛隊や在日米軍のスキャンダルもやたらと出てくる。
      確かに「怪しい」としか言いようがありません。
      妄想だろうが、備えるに越したことはありませんね。

  2. 河太郎 より:

    ふうん福建って一丁前に斜め滑走路のついた米海軍空母みたくなってますね。
    離陸もジャンプ式でないし。
    んが、ホントに電磁カタパルト使えるの? 軽い金属弾のレールガンだって大変なのに。
    米空母って「トップガン1st」の80年代ですら25㌧(乾燥重量かどうかは知らない)以上あるトムキャットを、時速300kmあまりで射出してたと思う。もとろんスチームカタパルトだろうけど。
    今の殲20とかが完全兵装でどのくらいの重量なのか知らんですけど、ミサイルやら何やら積めば戦闘機も下手な装甲車と変わらん重量になりますからねぇ。

    • 木霊 木霊 より:

      福建の形はなかなか立派なんですよね。
      しかし、本当に使えるかは、謎ですねぇ。そのうち分かるのだと、期待しております。

  3. 砂漠の男 より:

    産経のこの記事に限らず、ヘッドラインを読んで意味が通じないニュースは数多いですね。
    限られた字数で物事を表すための「国語力」の足りていない人が増えているんでしょう。ネット上で短信が増えていることも関係しているように思います。
    苦言を呈すと、文章に起・承・転・結のない、羅列文章も多いですね。
    記事を書く人に、読解力や表現力が欠けているのでは?といつも思います。

    • 木霊 木霊 より:

      読み手を釣るためにおかしなタイトルを付ける風潮はありますよね。

      記事の読みやすさに関しては……、僕も精進しますとも、ええ、ええ。

  4. 七面鳥 より:

    こんにちは。

    空母ってのは「兵装プラットフォームである所の航空機の、そのまたプラットフォーム」でありますから、強力な戦力を一点集中で即時展開する手段として怖ろしいわけですよね。
    なので、なんなら空母ごと使い捨て、発艦もいっそRATO括り付けて打上げるくらいやりかねないと思っておいた方が、万が一の抜け漏れがなくて良いかと思う次第。
    一回こっきりでも、それで戦術目標が達成出来れば(敵対勢力の制空戦闘機を削るとか、艦船を削るとか、基地を使用不能にするとかetc……)、攻撃側は次の手が打ちやすく、防御側は手が縛られる、効果は絶大です。
    なので、ポンコツ空母でも、絶対に舐めてはダメでしょうね。
    ※腹の下に、絶対に潜水艦もいるものと想定しておかないと。なんならそっちが本命かも。

    で、新聞社ですが……
    産経によらず、文章も、そのチェック機構も、どんどんダメになってる印象です。
    「誤解を生まない句読点の打ち方」がまるで出来てない。
    駄文の参考として、教科書に載せたいくらいですね。
    ※あるいは、誤読させるためにそうしてるのかも……?

    • 木霊 木霊 より:

      こんにちは。

      なるほど、使い切り空母!
      いやまあ、なんというか。支那海軍の戦闘機って、発艦訓練をやっている動画は見たことがありますが、着艦できるのかはイマイチ良く分かりません。いや、過去の記事を調べて見たら、外国からアレスティングワイヤー調達したみたいな話もあったので、着艦できる装備はあるんでしょうけれど。

      ともあれ、真面目に作って真面目に訓練しているわけですから、当然相応の警戒をするのが当たり前でありまして。

      新聞社の方は、何とも微妙な記事を見かけることも多いのですが、僕自身もなかなか人のことを言えないレベルなのでお察しというか。
      精進したいと思います。