イギリス労働党が!
英国、14年ぶり政権交代へ 出口調査「労働党が大勝」
2024年7月5日 6時10分
英国下院(定数650)の総選挙は4日午後10時(日本時間5日午前6時)、投票が締め切られた。英公共放送BBCや民放ITV、スカイニュースが合同で行った出口調査によると、最大野党・労働党が与党・保守党の3倍以上の議席を獲得し、14年ぶりに政権を奪取する公算が大きくなった。
朝日新聞より
日本で「野党大勝」とか言われると、「マジですか!」ということになるんだけど、イギリス労働党はサッチャー政権の次を担ったブレア政権を支えた党である。
労働党の大勝で
穏健中道路線で支持拡大
イギリス労働党は、社会主義インターナショナルと進歩同盟の加盟政党である。「社会主義インターナショナル?!」とビックリしたけれども、実はコミンテルンの流れを汲む組織に加盟している政党なのだ。
この辺りでもうヤバイ臭いしかしないのだが、実際の労働党の方針は共産主義や社会主義に傾倒しているということではない。方針としては自由主義経済と福祉政策の両立を謳った第三の道路線を目指していたし、今もそうであるようだ。
スナク首相率いる保守党は、第2次大戦後最低となった1997年の165議席をも下回り、選挙権が拡大された1832年以降で最低の議席数になるとの予測になった。
朝日新聞「英国、14年ぶり政権交代へ」より
少なくとも、現スナク政権は不評らしく、その影響で浮上したという構図になっていて、スナク氏の政策の失敗と言うよりは、ジョンソン氏の政策の失敗の清算が上手く行っていないことが原因であるようだ。
スターマー氏はコービン前党首の急進左派路線を転換し、穏健・中道派に戻すことで支持を取り戻した。出口調査通りの圧勝となれば、次の選挙までまずは最長5年間、党内に数十人いる急進左派勢力を過度に気にかける必要がなくなる。
朝日新聞「英国、14年ぶり政権交代へ」より
そして、現在の労働党の方針は中道左派、或いは穏健中道派と呼ばれる形になっているようだね。
410議席獲得の公算
さて、どのような情勢かというと、こんな感じのようだ。

なかなか議席差が開いた感じだね。
現在の与党「保守党」は131議席しかないと予想されている。これはブレグジット(EU離脱)がイマイチ上手く行っていないことも影響しているのだろうね。
スナク氏も驚きの政策を掲げて、起死回生を狙ったようだが。
寧ろこの方針は足を引っ張った可能性すらある。
イギリスで14年ぶり政権交代が確実、総選挙で労働党が大勝…与党・保守党は歴史的な惨敗
2024/07/05 06:09
英下院(定数650)の総選挙は4日午後10時(日本時間5日午前6時)に投票が締め切られ、開票が始まった。英BBCの出口調査に基づく推計によると、最大野党・労働党が半数を大きく超える410議席を獲得する見込みで、2010年以来14年ぶりに政権を奪還することが確実となった。与党・保守党の獲得議席は131議席にとどまる見通しで、歴史的な惨敗になりそうだ。
讀賣新聞より
まあ、結果は結果である。
スターマー政権誕生か
さて、それでイギリスが今後どうなるのか?ということなんだけれども、これがまた良く分からない。
労働党がこれまでに発表した公約の一部は、次の通り――。
BBCより
- 公的医療を提供する国民健康サービス(NHS)の診察について、長期にわたる順番待ちが深刻な問題となっているため、イングランドで毎週4万件の予約診療を増やす。この資金源にするため、納税回避や非定住者の税優遇など「抜け穴」を取り締まる
- 小型ボートを使った違法移民の密航を手配する犯罪組織を取り締まるため、国境警備の中心となる機関を新設
- 住宅不足解消のため、関連法を改正し、150万戸の新規物件を新築する。初めて自宅を購入しようとする人に、新築の集合住宅で優先的に購入できるようにする
- 教師を新たに6500人増員。私立学校への税優遇廃止を資金源とする
主な公約は随分と内向きだが、イギリスが正に抱える課題に向き合っているかというと、その辺りはハッキリ見えない。
一番深刻な課題は、イギリス経済の低迷なのだが、その辺りをどうしていくつもりなのかは良く分からない。
イギリスは「失われた経済成長」が今後5年続く シンクタンクが警告、格差も拡大と
2023年8月9日
イギリスの国立経済社会研究所(NIESR)は、同国が今後5年にわたる「失われた経済成長」を迎え、貧しい人ほど影響を受けると警告した。
欧州連合(EU)離脱と新型コロナウイルスのパンデミック、そしてウクライナでの戦争が、イギリス経済に悪影響を与えているという。
また、イギリス各地の労働者の購買力は、2024年末までパンデミック以前の水準より低く推移するとの見方を示した。
BBCより
労働党は国家再建を掲げて経済政策についても言及している。
【イギリス総選挙2024】英労働党がマニフェスト発表、経済成長で「国を再建」と
2024年6月14日
イギリスの最大野党・労働党は13日、7月4日の総選挙に向けたマニフェスト(政策綱領)を発表した。党首のサー・キア・スターマーは、経済成長を促進することで「イギリスを再建」することを約束すると述べた。
BBCより
うーん良く分からないな。
主な政策
色々調べて見たが、ニッセイ基礎研究所のサイトが一番分かり易かったように思うので、紹介しておく。


どうやら安全保障や経済方針というのは明確ではないのだけれど、今の方針を継続するというわけではなさそうである。
もしかしたら、共同開発の戦闘機は……。
追記
なお、リズ・トラス氏は落選した模様。
この人、人気あったんだけどね、一時期は。
イギリス史上最悪の首相? あのお馬鹿な「最短命」首相が、政治の表舞台に戻ってきた
2023年09月20日(水)17時48分
「彼女ほど恥知らずな政治家はいない。あるいは芸術的に自己認識を欠いているとでも言うべきか。史上最低の英国首相という称号で人気者になることを想像してみてほしい。デービッド・キャメロン、テリーザ・メイ、ボリス・ジョンソン、リシ・スナクよりひどい。普通の感覚を持った人間なら永遠に石の下に隠れてしまうところだ」
左派系英紙ガーディアンの議会担当ジョン・クレイス記者は、約1年前の秋に財源の裏付けがない恒久減税策(ミニ予算)をぶち上げ、英国衰退のフタを開けた与党・保守党のリズ・トラス前首相がロンドンのシンクタンクで講演したことを容赦なくこき下ろした。確かに、ここまで自己認識を欠いた政治家は日本にもいまい。
Newsweekより
あっという間に退陣して、今回は落選と。

「自意識を書いた政治家」は日本に一杯いるよ、残念なことに。それも、民主党政権時代では3代続いちゃった。
追記2
アホだ、アホがいる。
英新政権、脱炭素再加速へEV推進 ガソリン車禁止前倒し
2024年7月5日 18:26
4日投開票の英総選挙で大勝した労働党は脱炭素の推進にかじを切る。保守党政権が2035年へ先送りしたガソリン車などの新車販売の禁止時期を再び30年に戻す。14年ぶりの政権交代で環境規制を強めるほか、不法移民対策なども大きく見直す。
「我々はカオス(混沌)に終止符を打つ」。首相に就く労働党のスターマー党首は5日、低迷する経済の立て直しに早急に着手する考えを示した。
日本経済新聞より
むしろ、カオスをまき散らすつもり満々だろう。
イギリスが誇る自動車メーカーの殆どは支那に食われてしまったが、まだ遅くはない。むしろガソリン車などの新車販売時期を前倒しにしたら、自国の自動車メーカーの首を絞める事になりかねないぞ。
EVが悪いとは言わない。だが、二次電池の問題を解決しないうちに急ぐべきではないのだ。少なくとも2027年に発売予定とされるトヨタの全固体電池の出来をまってからで良いはずだ。
逆に環境規制を強めれば、更に経済的なハンデを背負い込むことになりかねない。不法移民対策だって、今の方針のほうが遥かにマシだろうに。緩和する方向に舵を切れば、泥沼に突っ込むことになりかねないんだが。
コメント
こんにちは。
第三国への輸出もありますから、GCAP脱退までは無いと思います。>次期戦闘機
なにしろ、今の時点ではテンペストの血が濃く残っているようなので、イギリスとしては産業面でこれを反故にする手はないはず……です(イマイチ不安)。
英国労働党に良い印象はないのですが、移民対策をガツンと、ウクライナ支援は粛々と進めていただいて、欧州から海一つ隔てた地の利を生かして違う道を行って戴きたいものです。
こんにちは。
GCAPに影響がないと良いのですが、今の首相みたいに比較的日本との関係を重視するタイプではないので、順調にいかないフラグのように思えてなりません。
イギリス労働党、僕も不安なんですよね。特に移民政策関係には不安が強いです。
>順調にいかないフラグ
そんときゃもう、イタ公とだけ手を組んで「今度はドイツ抜きでやろう」で良いのでは。
にしても……
>アホだ、アホがいる。
今のエゲレスに、中国にコストで勝てるEVが作れるとでも思ってるのでしょうかね?
※その中国に尻尾振りたいだけだ、というのが見え見えなのは見ない振り。
経済音痴がトップになると国が滅ぶ、の見本にならないというのですが。
まあ、どこもかしこも似たような状況の、滅びのチキンレース真っ最中ですが……
※経済「だけ」の奴は、経済音痴と一周回ってほぼ同じと見てよい、と思ってます。
またぞろ親中のブレアやブラウンあたりが表に出てきそうで怖いですねw
それはさておき、米国に追随して左派政策を推進してきた英保守党ですが、
とうとう国民に飽きられましたね。これから5年はジリ貧です。
今度の日曜日は、仏議会総選挙の(決選)投票日ですが、だいたい結論は出ているようです。
国民連合(RN)はどのくらい得票率を伸ばすでしょう? 混乱の時代の始まりでしょうか?
https://www.bbc.com/japanese/articles/c9e9r3ggrrxo
さてその次は、日本でしょうか? 10月自民党総裁選後に衆院解散があるかもしれませんね。
また政権交代が実現するでしょうか? 岸田政権も米国に追従して左派政策に相乗りしつつ、
増税・LGBT・外国人優遇を推進して支持率が上がりません。都知事選も悪材料にw
自民党は派閥が解消されて政策集団としてダメコンできず、これからどうなるか?w
確実にパンダハガーは出てくると思います。
首相自身も人権派弁護士で、一見、支那とは距離を起きそうな人物にも見えますが、不思議なことに左派ほど支那に近づきたがります。
日本は危ういですね……。