ロケットを数打てば、そりゃ落ちることもあるんだろう。
中国でロケット打ち上げトラブル相次ぐ 住宅街周辺に落下、爆発も
2024/7/2 19:30
中国でロケット打ち上げのトラブルが相次ぎ、住宅街の周辺に落下して爆発したり、住民が逃げ惑ったりする動画が交流サイト(SNS)に投稿された。習近平指導部は「宇宙強国」建設を掲げ、今年は約100回のロケット打ち上げを目指すが「何よりも安全を重視すべきだ」との声が上がっている。
産経新聞より
「100本ノックだー!」と言わんばかりに、バンバン打ち上げている支那だが、ちょっとした失敗も。先日、日本で打ち上げ成功した記事を書いたばかりなので、少し意地悪いかなとは思ったのだが、イイヨね?別に。
科学の進歩に「失敗」はつきもの
民間企業の失敗
これ、結構お粗末な話で宜しくないよね。
河南省では6月30日に民間企業が実験していたロケットが誤って打ち上がり、上空で失速。火と煙を噴き出しながら落下し、地上に激突して大爆発した。周辺にはマンションが立ち並んでいた。
産経新聞「中国でロケット打ち上げトラブル相次ぐ」より
重量物を宇宙に打ち上げようというのだから、失敗して落ちてこれば大惨事になるのは避けられない。だからこそ安全性には気を遣わねばならないわけで。
中国民間ロケット、実験中に手違いで打ち上げ 山中に墜落
2024.07.01 Mon posted at 17:00 JST
中国の民間宇宙企業・天兵科技は、地上実験を行っていたロケットが30日に手違いで打ち上げられ、山中に墜落したと発表した。
「天龍3」は試験中、構造的不具合のため第1段が発射台から切り離され、中国中部の鞏義市山腹に墜落した。
CNNより
そして、恐ろしいのは「手違いで打ち上げられた」ということである。本当にこの企業、大丈夫なのか?
天兵科技は商用ロケットの先端企業で、液体燃料ロケットを専門としている。
~~略~~
天兵科技によると、天龍3の性能は米宇宙企業スペースXの「ファルコン9」に匹敵する。打ち上げに成功すれば、年間30回以上の打ち上げが可能になると同社は説明していた。
CNN「中国民間ロケット、実験中に手違いで打ち上げ」より
年間30回以上打ち上げるという話も出ているらしい。

洒落にならない落下の仕方だが、これが連続しているというのは問題である。
中国航天科技集団の失敗
そう、6月22日の打ち上げの時も失敗しているんだよね。
中国ロケットの断片か 集落近くに落下、逃げ惑う住民 上空で猛毒の煙噴出
2024.06.25 Tue posted at 17:34 JST
香港(CNN) 中国南西部貴州省で22日、ロケットの断片と思われる物体が集落の上空で黄色い煙を噴出しながら地面に落下した。SNSに投稿された映像では、空を見上げながら住民が逃げ惑っている。CNNは現地の目撃者から映像の提供を受けた。
~~略~~
長征2Cを開発した中国航天科技集団(CASC)は、22日の打ち上げを「完璧な成功」と位置付けている。
CNNより
完璧な成功……??

黄色い噴煙を上げながら落下してくるロケットの部品なのだが、ブースターなのかな。それも強い刺激臭がしたということだから、メチルヒドラジン系の燃料の可能性が。
ストックホルム国際平和研究所の専門家によると、動画に映っている断片は長征2Cロケットの第1段ブースターと思われる。同ロケットは四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)を混合した液体推進剤を使っている。
「この組み合わせは常にオレンジ色の煙を残す。これは猛毒で発がん性がある」「その物質を生きている者が吸い込めば、近い将来苦しむことになる」と専門家は解説し、中国では発射場の場所が原因で、そうした事態が頻繁に発生していると指摘した。
CNNより
成功したとアナウンスされたのに、この始末である。もちろん、長征2Cに搭載されていたX線観測衛星は衛星軌道に乗ったとのことらしいので、「成功」も間違いではないかも知れない。
が、人民の命は軽かったと言うことかな。
ロケットブースターは意外に被害を出している
なお、2019年にはこんな事故も。
また……中国で「長征3号B」ロケットのブースターが民家に落下、被害もたらす
2019年11月28日(木)17時40分
近年、中国の宇宙開発活動が活発だ。中国の軌道ロケットの打ち上げ回数は、2018年時点で米国やロシアを抑え、世界最多となった。2019年1月には無人探査機「嫦娥4号」が世界で初めて月の裏側での月面着陸に成功するなど、一定の成果を上げる一方で、ロケットの墜落による事故も相次いでいる。
Newsweekより

随分と粗い写真だが、Xに投稿されたポストを切り取ったらしく、こちらはちゃんと動画が映っている。
このロケットブースター、やっぱりメチルヒドラジン系の燃料なので、この住居には当面まともに居住はできなかったと思う。
村が壊滅的なダメージを受けた?!
この記事にはこの他にも有名な事例が紹介されている。
中国でのロケットの墜落事故は、今回に限ったものではない。1996年2月には西昌衛星発射センターから打ち上げられた「長征3号B」が近隣の村に落下し、壊滅的な被害をもたらした。中国の新華社はこの事故で6名が死亡し、57名が負傷したと報じたが、海外メディアによると死亡者は数百人規模であったとみられている。
Newsweekより
この事例は、インテルサット708の打ち上げに使った長征3号Bが墜落・爆破したときの事例である。
事故原因は打ち上げ時のロケットの誘導基幹ソフトウェアの短絡だとされているが、ハッキリしたことは分かっていない。
それどころか、この件に関しては「デマ情報だ」と、否定している。
なぜ今ごろ? 「1996年のロケット打ち上げ失敗、500人死亡」はデマと発表=中国
2016年02月19日(金)16:35
中国航天科技集団公司は18日、公式サイトで「1996年に長征3Bの初の打ち上げが失敗し、500人以上が死亡」という情報はデマだとする声明を発表した。16日の微博(ウェイボー、中国版ツイッター)への投稿に対応したものと考えられるが、極めて神経質な対応だ。
~~略~~
中国の公式発表では、ロケットは発射センターの職員用住宅に墜落し、死傷したのは職員の家族などで、一般住民にの死傷については言及していない。
exciteニュースより
ハッキリしたことは、今となっては分からない。
恐らくは支那当局も、原因に関しては詳細に調べたのだと思うのだけれども、真実が明らかにされることはないだろう。
何というか、「科学の進歩に犠牲はつきもの」という言葉はあるんだけど、こう言う犠牲はどうかと思うんだ。避けられる犠牲は避けた方がええんでないの?
コメント
支那のロケット開発民間企業(複数)は、国営の科技集団からスピンアウトした人たちが始めたらしく、記事にもある通り、スペースXを大分意識している(スペースXのように大きなカネ儲けをしたい)ようです。
支那共産党も政府も、新しい経済分野として後押ししているんでしょうね。
でも、法整備や被害対策はやってない感が強い。たぶん被災者は大した補償を受けられないのでしょう。そのうち余所の国に落として、試射じゃなく誤射と強弁しそうです。(いまは実績作り? 知らんけど)
数日前に、北鮮がミスして、試射ミサイルを平壌の近郊に落としたようです。
こっちもカネ儲けに余念がないw ロシアにいい所を見せたかったのかもしれません。
https://edition.cnn.com/2024/07/01/asia/north-korea-failed-missile-test-south-korea-intl-hnk-ml/index.html
なるほど、技術者を何処から調達しているのかちょっと不思議に思っていましたが、国営からのスピンアウトからなら納得ですね。
しかしそうすると、技術レベルも1枚も2枚も落ちるような……。
安全性は二の次の国ですが、技術レベルも落ちた民間だとなかなか失敗してもそのフィードバックができるのかどうか。
北朝鮮の記事も見かけましたが、こちらも安全性は二の次のような気がしますよね。
支那と北鮮の墜落したロケットですが、自爆装置が装着されていなかったのではないか?と、とあるミリオタ板で議論になっていました。
自爆装置が作働しなかったとしても同じことで、支那にも北鮮にもロケット運用における安全面への技術と配慮が足りていないのは確かなようです。
打ち上げ場所を気にしないのもどうかと思うわけですが、自爆装置。そういえば、自爆措置したの見たことがありませんよね。
「別に落ちても問題ない」と考えているんでしょうか??
こんにちは。
ロケット開発は失敗してナンボ、もちろん失敗しないに越したことないけど、シャレですむレベルの失敗を時々して、知見を貯め込み、緊張感を維持することも必要と思う次第。
とはいえ、四酸化二窒素系のエンジンを住宅地に落とすのは、ちょっといただけませんな。
まあ、人権のない国のやる事なんで……日本海跳び越えてこないことだけを祈ります。
こんにちは。
失敗が問題と言うよりは、失敗の仕方が問題なんですよね……。
人命の軽い国はこれだから。