なるほどこう言う視点もあるのか。
露朝の密着に対抗する韓国、ウクライナに「韓国型パトリオット」直接支援の可能性も
記事入力 : 2024/06/22 14:0
北朝鮮とロシアが軍事同盟に近い条約を締結したことを受け、韓国大統領室はウクライナに殺傷兵器を支援する方向で検討中であることを20日に明らかにした。
朝鮮日報より
本題には全く関係ないが、「露朝関係」というと何か朝露を連想させる美しいもののように感じるが、その実、中身は実にドロドロとしたものである。
ロシアのキビシイ安全保障状況
ロシアと北朝鮮の新条約
先日、大きく報じられていたロシアと北朝鮮の会談だが、割とバカバカしい展開であった。
ロシアと北朝鮮の新条約 第三国から攻撃は相互支援 懸念強まる
2024年6月20日 19時39分
24年ぶりに北朝鮮を訪問したロシアのプーチン大統領はキム・ジョンウン(金正恩)総書記と首脳会談を行い、第三国から攻撃があった場合には、相互に支援を行うなどとした新たな条約に署名しました。 両国は軍事的な協力関係を一段と高めた形で、日本を含む各国で安全保障上の懸念がさらに強まるものとみられます。
NHKニュースより
ロシアが北朝鮮と手を組む?!バカも休み休み言えよという話ではあるんだけど、プーチン氏はかなり本気であったようだ。
北朝鮮が20日公開した、包括的戦略パートナーシップ条約は23条から構成され、軍事のほかにも経済や科学技術など幅広い分野の協力が明記されています。
NHKニュース「ロシアと北朝鮮の新条約」より
なんと、ロシアと北朝鮮は軍事的な協力関係を深めて、準軍事同盟化したのだという話であった。
更に、経済や科学技術などの幅広い分野での協力が明記されたのだとか。
遅刻の意味
そして、今回の会談で異例だったのは、プーチン氏が「いつもの遅刻」をしなかったことである。
遅刻常習犯プーチン大統領の「未明の訪朝」、ウクライナ意識し飛行動線を隠したか
登録:2024-06-20 06:00 修正:2024-06-20 06:55
当初18日から19日まで2日間の日程で北朝鮮を国賓訪問する予定だったロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、平壌の順安空港に到着したのは、19日午前2時22分だった。訪朝日程は1日に縮小された。
~~略~~
プーチン大統領が18日夜に平壌に到着するというメディア報道が続いたことを受け、動線を隠すためにわざと出発時間を遅らせたということだ。
ハンギョレより
記事には「遅刻」だと書かれているが、現実問題として撃ち落とされるのを恐れて時間を変える必要があったため結果的に遅刻したのであって、何時もの手であったという事ではない。
プーチン氏といえば遅刻の常習犯として有名なのだが、権威主義国家において遅刻をしてみせるというのは意味のあることらしい。
ところが今回の場合は自らの安全のために時間を変えて平壌入りしたという事になって、少々話が違う。
更に未明に到着する様な事態になっても、翌日に設定された会談を予定通り行っている。前回の会談時には遅刻せずに習近平氏を迎えたというから、プーチン氏としては何としても北朝鮮との関係強化が必要だったのだろう。
それは何故かと言えば、クレムリンが直接攻撃されるリスクに晒されているからだ。
“クレムリンに無人機攻撃 ウクライナ側関与の可能性” 米報道
2023年5月26日 22時06分
アメリカのニューヨーク・タイムズやCNNテレビは24日、今月3日にロシア大統領府がクレムリンに対して2機の無人機による攻撃が仕掛けられたと発表したことについて、ウクライナ側が関与していた可能性があるとする見方を伝えました。
NHKニュースより
実際に無人機が届いたという話もあるし、プーチン氏の別荘が燃やされた話もあったっけ。
支那には断られる
訪朝以前に会談したロシアと支那は「パートナーシップ強化」を行ったに過ぎなかった。
習国家主席がプーチン大統領と会談、パートナーシップ強化
2024年05月28日
中国の習近平国家主席は5月16日、北京市でロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談を行った。会談で習国家主席は、2024年が両国の国交樹立75周年であることを取りあげ、両国は大国・隣国として互いに尊重し、誠実に相対し、親しく付き合い、互恵・ウィンウィンの模範を築いたと評価した。
中国外交部の発表によると、プーチン大統領は中国との2国間協力を拡大し、国連、BRICS諸国、上海協力機構(SCO)といった枠組み内での意思疎通と協力を密接にすることで、さらに公正で理にかなった国際秩序の構築を推進したいとした。
JETROより
未確認情報だが、ロシアは支那に対して北朝鮮と同じレベルの同盟関係を結びたかったようなのだが、支那側が断ったらしい。
この話が本当であれば、支那にとって台湾が本丸と位置づけているので、火種を振りまいているロシアに付き合う義理はないという判断なのだろう。
韓国にとっては都合が悪い
韓国はウクライナへ直接武器支援検討
さて、冒頭のニュースではあるが、韓国はこのニュースに対して「ウクライナに殺傷兵器を支援する」と言い出したのである。
専門家はまず155ミリ砲弾の直接支援の可能性を上げる。韓国はこれまで155ミリ砲弾を米国に貸与・販売してきた。またロシアによるミサイル攻撃を迎撃する「天弓Ⅱ」を含む防空システムが支援対象となる可能性もある。天弓Ⅱは「韓国型パトリオット」とも呼ばれる中距離地対空迎撃ミサイルだ。
朝鮮日報より
韓国にとっては北朝鮮と事を構える、つまり朝鮮戦争が再燃した場合にロシアのバックアップを得られることが確約されてしまうと、非常に都合が悪い。
これまでは北朝鮮の継戦能力を考えれば、朝鮮戦争が始まっても遅れはとらないという立場だったのだが、今回の条約が結ばれたことで、そうも言っていられなくなった。対北朝鮮戦略の書き換えは必須だろう。
ロシアのプーチン大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン総書記が首脳会談を行い、新たな条約に署名し軍事面などでの関係強化を確認したことについて、アメリカ国務省の報道担当者は19日、NHKの取材に対し「ロシアと北朝鮮の協力関係が深まることは、朝鮮半島の平和と安定の維持やウクライナ支援に関心を持つすべての人々にとって大いに懸念すべきことだ」と述べました。
NHKニュースより
当然ながら、アメリカも似たような文脈で懸念を示している。そりゃまあ、朝鮮戦争の再燃の懸念が高まったのだから、当事者として黙っているわけにもいかないのである。
直ぐではないようだが
とはいえ、ロシアと北朝鮮の条約が結ばれたからと言って、直ぐに何らかのアクションを起こすというわけではないようだ。
ある専門家は「ロシアの動きにより韓ロ関係が最悪となった場合、ウクライナへの支援範囲は殺傷兵器に拡大する可能性も考えられる」と予想した。支援可能な殺傷兵器としては東欧に輸出される韓国製のK9自走砲、K239放射砲(多連装ロケット砲)「天舞」、K2戦車などの名前が上がっている。
朝鮮日報より
ウクライナにとってK9自走砲やK239多連装ロケット砲は、喉から手が出るほど欲しいシロモノだと思う。
前線で直ぐ使えるからね。
ただ、今すぐ供給するとなるとロシアを刺激することになるので、タイミングは見計らうことになるらしい。アメリカもウクライナに直接支援していて、ATACMS辺りは便利に使われているようなのだが、ATACMSって弾がお高いのよね。
アメリカが提供したATACMSの射程は300kmほど。以前は165kmの弾を供与していたが、今や長距離弾も供給するようになっている。
一方のK9自走砲は射程範囲が40km程度しかないわけだが、ATACMSの弾は1発147万ドル(22億円)にもなるので割高なんだよね。155mm砲弾は1発2100ドル(約32万円程度)だったが今は高騰して8400ドル(約123万円)になったらしいのだが、それでもATACMSを撃つよりはお安い。前線に並べて使うならK9自走砲の方が嬉しいだろう。
この韓国の姿勢がどれほどロシアの方針に影響するかは知らないが、意外に嫌がるポイントは突いている様に思う。既にイギリスからAS90自走砲をウクライナに供与されているんだけど、30輛だけでは足りないだろう。

まあ、韓国がどのような判断をするかは知らないんだけど。
コメント
しかしプーチンは遅刻はしない方向性だったのか。なんかロシアの凋落を感じますね。習政権にもそでにされて……
とはいえ、これあくまでも後方支援ですよね。もちろん木霊様の仰るとおり、カリアゲ豚国の継戦能力が長期化するのは我が国にとっても穏やかではないす。
でも集団的自衛権の発動は含まれてないですよね。まあカリアゲ豚の事だから解りませんけど。
プーチン氏、本来であれば「遅刻してみせる」パターンで大物感を演出するという事をやりたかったのでしょう。
でも、去年9月のボストーチヌイ宇宙基地での会談の時は遅刻していないんですよね。
そしてこの時も技術供与の話をしていました。
そう考えると、短期間でわざわざ会う必要はなかったはずだし、何故、わざわざ平壌に行ったのか?とは思うわけですよ。追い込まれたことの査証であると思います。
こんにちは。
どこで見たか失念しましたが、先日、プーチンを指して
「ヒトラーの尻尾」
とした記事をネットで見まして。
腹筋吊りそうになりました。
プーチンは、今の時代において「駿馬も老いれば駄馬にも劣る」を地で行っている、歴史上は数多の例がある指導者の姿そのものではないかと。
しかるに、末路もまあ、大体は歴史に倣うのでしょう。
間違っても、氷付けのミイラにはしてもらえそうにないと思います。
逆に、ただのボンボンと思われた将軍様、思いの外したたかであります。
まあ、いくら頑張っても、そもそもの国力その他が完璧に時代遅れ、屁の突っ張りにもなってないのですが……だからこそ、「蟷螂の斧」が「窮鼠猫を噛む」になりかねない、自暴自棄が怖くはあります(あの将軍様は、多分、やらない(出来ない)とは思いますが……妹とか「権力の禅譲(笑)をされた側」の暴走が怖い、急に権力と「タチの悪い爆竹」持たされると、ガキは何するか分からないから)。
こんにちは。
デギン・ザビですかっ!
プーチン氏が偉大な指導者であろうとして空回っている様子は、なかなか皮肉に映ります。
北の将軍様はそれしか出来ないにせよ、割り切りっぷりが凄いと思います。生存戦略に特化しているからなのかもしれませんけれど。
以前、韓国がポーランドとK2戦車やK9自走砲を大量契約した当時、ポーランドが旧ソ連製の戦車やKrab自走砲をせっせとウクライナに融通していたのを見て、K2やK9が実戦でどのくらい使えるものか見てみたいとコメントしました。
いまこそ韓国は、ウクライナにK2もK9も提供したらいいんじゃないでしょうか。それらが”使える”兵器であることを証明すれば、ふたたび「韓国型」兵器への注目度は高まるでしょう。
また、今回の露朝合意への意趣返しになり、さらに米欧諸国から称賛してもらえるでしょう。自尊心も満足できて一石三鳥です。
ユンユン大統領は国内政治ではできることは少ないので、外交で大いに得点を稼ぐべきですね。
韓国にしてみたら、K9自走砲やK2戦車の実戦データが得られるチャンスになります。
せっかくなので、提供したらイインジャナイかなと思っています。