このブログでは総じてメガソーラーに対して批判的な発言をしてきた。ただ、宇久島の記事を読んで、その姿勢を反省すべきかと感じた。
パネルは中国生産、国内最大メガソーラー着工 長崎・宇久島、事業者「有人国境離島守る」
2024/6/12 11:16
長崎県の五島列島・宇久島と寺島(いずれも佐世保市)で来週、国内最大の太陽光発電所(メガソーラー)が本格着工する。完成すれば両島の面積の1割が中国で生産された太陽光パネルに覆われる。
産経新聞より
島の面積の1割がパネルで覆われるという事実をみると、とても賛同は出来ないのだけれど。それでも一理はあるのでは?と感じたのである。
メガソーラーと離島防衛
無人化のリスク
感情論はさておくとして、宇久島に産業がないという現実から目を背けてはならないだろう。

宇久島は産業の中心が漁業ということになっているが、特産物としてメロン栽培が行われ、芋焼酎の生産や塩の生産も手掛けているらしい。
Ⅱ.宇久島活性化の取組み
公共事業に依存していた宇久島では建設業者が減り、第三セクターの各事業や佐世保市の行政 センター(旧宇久町役場)が島内最大の職場となっており、行政依存の島へと変貌した。その上、 人口も減少し続け高齢化率も40%を超えており(長崎県平均は23.6%、05年国勢調査)、過疎化が 進行している。
現在、この過疎の島「宇久島」を活性化させるために民間や行政によるさまざまな取組みが行 われている。
「離島活性化の取り組み」より
勿論、色々な取り組みはなされているし、産業の活性化ということで努力が続けられているのは分かるのだが、人口減少傾向にある。この減少傾向にブレーキをかけることが出来ていない深刻な現実がある。

データは令和2年までしかないが、最新のデータでも人口は2,000人を割り込み、令和6年3月の時点では1,747人なんだそうな。なお、最盛期は1万1千人いた人口も減少に歯止めがかからない状況である。より深刻なのは、このグラフを見て分かる通り、橙色の世帯数に比べて青色の人口の減り具合である。つまり一人世帯が増えていて、それは高齢一人世帯が増えていることを意味するのである。
そして、この状況は実は未だマシな方で、既に無人島化してしまった島が日本には幾つもある。
ここで、宇久島の事業を主導する方の主張を見てみると、こんな感じの発言をなされている。
事業を主導する九電工(本社・福岡市)の木下大執行役員(60)は取材に対し、両島が国の「特定有人国境離島」に指定されており、「尖閣諸島のように無人島化しないよう、太陽光発電事業で島を守る決意だ」などと話した。
産経新聞「パネルは中国生産、国内最大メガソーラー着工」より
今回の太陽光パネル設置は無人化しないための措置だというのである。
離島活性化は難しい
国交省も離島の活性化については頭を悩ませているようで、活性化・振興を図るような交付金を出してはいるようだ。
正直、小金を出したくらいで解決するのであれば、既に解決に向かっているはずであって、なかなか困難な目標のように思える。
離島の漁業士らが交流 地域漁業の活性化目指し意見交換
2023年11月12日 10時00分
長崎県内離島地区で地域漁業振興の中核を担う「漁業士」が集まる会議が対馬グランドホテル(対馬市美津島町鶏知)で2日にあった。
朝日新聞より
定期的にはこういった集まりも行われているし、「何とかしないと」という思いはあるようだ。
会議には対馬のほか、壱岐や五島などから25人が集まり、離島での活動を報告した。コロナ禍を機に増加した対馬の国内観光客向けに、農林漁業者らが対馬空港で農林水産物や加工品を販売する催事を始めた事例や、魚の鮮度や脂ののりを調べる機器を地域産品に活用する事例などが紹介された。
朝日新聞「離島の漁業士らが交流」より
ただ、国内観光を推進しようにも気軽に行き来するためのフェリーは次々と撤退しているし、航空機を飛ばすというのも現実的ではなくなりつつある。人口減少というのは、色々な方面に問題を引き起こすのだ。
環境維持も困難に
この話が宇久島にも当然適用され、実際に環境維持が出来ないという状況を迎えているのだとか。
地元では景観の悪化や土砂崩れの発生を懸念する声も上がるが、木下氏は「島は人口減少が進み、地権者の離島や高齢化に伴い耕作放棄地が拡大している。土地の荒廃による土砂崩れなども見られ、保安林を構成する松は松くい虫で壊滅状態となっている」と説明。
「発電所の事業用地は水路を整備するほか、ツバキの植樹なども計画している。作られた緑ではあるが、荒れ地のまま放置するよりはよいのではないかと考えている」と話し、こう続けた。
産経新聞「パネルは中国生産、国内最大メガソーラー着工」より
もちろん、コレは業者側の言い分であるので、鵜呑みにするのは危険ではあると思うのだけれど、既に宇久島の平均年齢は約60歳とかなり高齢化が進んでいて、保安林の整備とか耕作地の拡大とか、そういう話が出来るレベルでないのは容易に想像が付く。
メガソーラー発電が適切かどうか?という話を脇に置いておくとすると、新たな産業を宇久島に持ち込むこと自体は歓迎すべき話だ。
朝鮮半島や中国大陸に近く、古くは遣隋使や遣唐使の寄港地だった。現在は島の海岸へ半島や大陸からのごみが大量に流れ着く。
木下氏は「私は3年ほど前、島に1年間住んだが、大陸との近さを実感した。わが国の領海、領土を守る上で、有人国境離島の地域社会を維持することがいかに重要か、ひしひしと感じた」という。
「宇久島が有人であることの重要性は、尖閣諸島や竹島の経験から明らか。いったん無人になってしまうと、所有権や使用権を主張することの根拠が希薄になってしまう」
産経新聞「パネルは中国生産、国内最大メガソーラー着工」より
彼らの主張には、理があるのだ。
メガソーラーが適切なのか
ただし、正直言うとメガソーラー発電が良いかという点に関しては、なお疑問が残る。何故なら、産業としても優秀ではないからだ。
僕自身が心配な部分は特にこの部分である。
事業は「宇久島メガソーラーパーク」。京セラ(本社・京都市)や九電工などが出資する事業目的会社が約2千億円を投じ、2025年末の運転開始を目指す。発電全量を九州電力へ売電、国の固定価格買い取り制度により1キロワット時40円の最高額で2040年まで買い取られる。
産経新聞「パネルは中国生産、国内最大メガソーラー着工」より
FITを利用して40円/kwhという価格で全量買い取りして貰う話になっているという部分。
詐欺の手口にソックリであるように思う。

令和5年度の価格設定は、既に9.5円/kwhにまで落ちている。40円/kwhのからくりは、民主党政権時代に契約をして今まで寝かしておいたということなのだと思うのだが、しかしこの手法は前から問題視されていた手法でもある。
そして、現状、9.5円/kwhのものを40円/kwhで買い取らせることを前提に事業計画を立てているのだとしたら、極めて危険な話に繋がるだろう。つまり、建設するだけして倒産しましたといって撤退なんてことが考え得るわけである。
更に、九州電力って出力制限が比較的多い所なんだよね。
太陽光の売電収入、突然半減「えげつない」 九州の出力制御に悲鳴
2023年12月21日 13時00分
太陽光でつくった電気の受け入れを大手電力が一時的に止める「出力制御」が、今年は過去最大に膨らんでいる。九州では、月によっては収入が半減した人もいる。なぜ、こういう事態が起きているのか。
朝日新聞より
「えげつない」じゃねーよ。
おっと、記事に直接突っ込みを入れている場合じゃなかった。この「出力制限」とは、電力需要と電力供給のバランスが採れなくなる見込みになって、太陽光発電からの電力買い取りはお断りすることである。
当然、大規模なメガソーラー発電設備に対してはこの出力制限が大きく影響すると考えられる。
宇久島内で自家消費をするのを前提に、電力供給をするのであれば未だ分かるのだが、九州電力に電気を売る前提で事業計画を立てている辺りが、かなりヤバイ話のように感じるのだ。
というわけで、結論は「ダメなんじゃないの?これ」という話なんだけど、産業を作るという意味では意義はあると思うんだ。離島防衛のためには、多少のお金を惜しんでいる場合でもない。だが、本件に関していえば、「巨大な太陽光発電詐欺に繋がらなければ良いのだけれど」と心配している。
追記
太陽光発電は、更に値段が下がる傾向にある。

ちょっと古い記事ではあるんだけど、継続的に太陽光発電の価格設定は低下していく傾向にあるようだ。

太陽光発電の場合は、イニシャルコストが最も高いため、基本的のこの発電価格の低下はパネルの過剰生産による値崩れが要因である。
太陽光パネルのリサイクル義務化へ 政府、法制化検討
2024年6月11日 5:00 (2024年6月11日 22:01更新)
政府は使用済みの太陽光パネルのリサイクルを義務化する検討に入った。2030年代には耐用年数を迎えるパネルが大量発生する。埋め立て処分を減らして環境への負荷を抑える狙いがある。25年の通常国会にも関連法案を提出する。
日本経済新聞より
あれだけ騒いでいて、未だにリサイクルを義務化していないという。義務化されると、発電コストの上昇は避けられないと思うが、このことも離島への設置は色々な問題を孕むことになるだろうね。だって、離島から廃棄パネルを運ぶだけでもコストが嵩む。そうすると、やっぱりマイクロ炉じゃないの?
SMRの開発、はよ!
コメント
こんにちは。ご自分の主張と相反するときでも、検証してみる。そこが木霊様の柔軟な部分ですね。でも、やはり太陽光は……。とはいえ、仕事つくれや、離島を護らんと国防が……という公共として考えるべき問題を可視化しているのは素晴らしい!
私自身も、能登半島地震での復興そのものには大きな何かを感じませんが、あそこが空洞化した時の国防への影響は無視出来ない。故に支援すべきという結論をしております。
こういう離島にシナや朝鮮から移民を放流され、そこが日本侵略の橋頭堡とされる可能性は警戒せねばなりません。
実際、沖縄から台湾へのフェリーに乗ると、「お祖母ちゃんのいる島に渡ります」などというコメントが、「日本語と中国語」の「双方」で書かれた船内ノートを見かけたものです(昭和〜平成)
実は数世代前まで移民だった人が島嶼にはいて、それを差別する気はないが、
そのような「伝統」があるという事実。
この事実って「つけ込まれる要素」と成り得ますよね。
なので経済的合理性とは別に、国防としての整合性を離島問題ては考えねばならないという木霊様のご意見は正しい!!
防衛拠点に公費を投入するという考え方を、もう少し国民の間で共有する必要があるわけですが、その上でこの宇久島が防衛的価値があるという事であれば、そこに公金を投入するというのはアリだと思います。
ただし、日本は有人島数は416島。無人島数は13,705島で圧倒的に無人島が多いのですから、これが1つ2つ増えたところでという議論も必要であります。税金を天井知らずで投入するなんてことは出来ませんからね。
そういう意味で、民間企業にある程度の支援と許認可を与えて事業展開するというプランを実行すべきなのだと思います。
そういう文脈で離島での太陽光発電はアリなのか?と考えてみましたが、どうにも筋が悪い。特に九州電力に全量というのには無理がある設定であるように感じた次第。太陽光発電そのものは使い方次第だと思うんですけどね。
脈ありだと思っているのは魚の養殖なんですが、それが広がっていないところを見ると何が問題なのか。そのうちその点は扱ってみたいと思います。
第二次世界大戦はナチス・ドイツのポーランド侵略から始まりますが…。
ヒトラーがポーランド領内の「ドイツ系の保護」を口実にしたからてすね。
では、何故にポーランド領内に「ドイツ語を主言語とするゲルマン系」が多数いたのか?
実はモンゴル帝国のせいなんです。
ワールシュタットでドイツ騎士団が殲滅されます。ポーランドは焼け野原になり
農民がいなくなる。モンゴル帝国の撤退後、ポーランド貴族は、足りない農民を補充する為に、ユダヤ系の農地拾得を許すがそれでも足らない。
そこで大量のドイツ人を入植させた。
それが回り回って、ヒトラーがポーランド侵攻する時の口実に使われてます!
このように、「ちょっとだけ」と入植を許すと、その世代で(スゥェーデンみたいな)深刻な被害にあわずとも、数百年たっても禍をもたらす事がある!!
離島などはその条件に沿う場所です。
九州から沖縄にかけて、かつての日本の倭寇が基地を作ったら、いつの間にやら
シナ系や朝鮮系が海賊の中心になってた。「鄭成功」みりゃ解りますね!
それだけ外海とのリエゾンは、ヒサシを貸して母屋を取られ易いというお話です
沖縄に関しては、少しマシなニュースも見かけましたね。
またそれに関しても言及したいと思います。
こんにちは。
>このブログでは総じてメガソーラーに対して批判的な発言をしてきた。ただ、宇久島の記事を読んで、その姿勢を反省すべきかと感じた。
素晴らしい事だと感服いたします。
そして、メガソーラーそのものは、別に悪くはないのですよね。
その設置と運営に問題があるわけで。
離島のエネルギー問題を考えるにあたり、本土ないし近隣のより大きなパワープラントを持つ場所からの海底ケーブル経由の供給は、最も合理的ではありますが、有事にケーブルを切断されるとどうにもならない。
100%まで行かなくても、自給する為にソーラーを、というのは理にかなっていると七面鳥も思います。
そのために山を切り崩すのは如何なものかと思いますが……水利や山体崩壊の危険性があるので。
そこのバランスが取れて、採算ベースに乗るなら、何も問題がないかと。
要は、環境ヒステリーの活動家と、とにかくウケてるところにオールインして市場を焼け野原にする中華商法、この二つがガンなわけで。
※ソーラーに限らず、amazonなんかで、電子機器なんかを検索すると、純正品そっくりな格安パチモンの嵐に見舞われますものね。
※美味しくなったところに一斉にたかるのは、ハエとマスゴミと三流芸人と中華商人だけ、ですかね。
こんばんは。
太陽光発電システムを自家消費に使うということであれば、反対する理由はあまりないのです。
メガソーラーは平地があれば結構良いかも?と思いますが、山を切り開いて設置するのはどうかと思いますし、それを売る前提というのがどうにも。
上手くいくことを祈るしかありませんが、地雷臭がするんですよこの話は。