共同通信が珍しい記事を出していた。
中国軍人の凶悪犯罪相次ぐ 内部教材で腐敗体質が判明
2024/06/08
中国人民解放軍で2016年以降、軍人による殺人や強盗を含む凶悪犯罪や不祥事が相次いで起きていたことが8日、分かった。
共同通信より
支那人民解放軍の内部腐敗は知っているが、これを記事にしてしまったことには少なからず驚いた。どうした?共同通信。こんなニュースを報じて大丈夫なのか??
ただ、別な角度から言うと、共同通信の心配はともかくとして、記事の内容としてはクズ以下だ。完全に支那のプロパガンダに載せられた格好だからね。そういう意味ではいつもの共同通信である。
人民解放軍の腐敗は今に始まった話ではない
不正が横行
軍隊とは巨大な組織なので、色々な人材が出入りする。その中には犯罪傾向のある人材がいてもおかしくはなく、それは各国の軍隊で頭を悩ませていることでもある。
我が国の自衛隊でもそういった話はあって、マスコミは喜んでそういったニュースを針小棒大に報じている。が、支那人民解放軍の不祥事をどうして日本国内で報じるのか、その意図は?
若干不安になったものの、記事で書いてあること自身はさほど珍しい話ではない。寧ろ前から分かっていた話でもある。
武器を部外者に売却した事案もあった。
共同通信「中国軍人の凶悪犯罪相次ぐ」より
この話は、少々古い記事になるがこんな風に報じられたことがある。
兵器を密売する中国軍の危機的な腐敗 軍紀低下が高める日中偶発的交戦の可能性
2013.05.30
素材や形状によりレーダーに捕捉されないステルス性能を備えた米軍F22戦闘機が日本に配備されると公表された2007年1月、小欄を仰天させるニュースが流れた。中国人民解放軍戦闘機が「忽然と消えた」という。
ZakZakより
これがなかなか面白いというか大規模な不正で、実行犯が捕まったのかどうかはかなり気になったのだけれど、内部で処理されたんだろうねきっと。
紹介されていた事例はこんな感じだ。
- 陜西省の軍需倉庫に保管したミグ15戦闘機385機が25機に減った。装備更新に伴う後送処分が行われた際に、処分すべき360機はアルミ合金として企業に密売、記録は全て焼却されていた。
- 四川省の軍需倉庫からは戦車や装甲車1800両が解体後、やはり密売された。戦車・装甲車のモーターは1基1万元(約16万6000円)で転売され、鉄鋼部分は製鉄会社に持ち込まれた。
- 雲南省の軍需倉庫からは、11年分の備蓄物資が許可無く売りに出された。2006年の燃料高騰時には、軽油1万7000バレルが3回に分けて“小売り”されたことも。
- 広西チワン族自治区の軍需倉庫からは、野戦ベッドや軍靴・テント各20万セット、薬品が全て”処分”された。
こうした大規模な不正は、軍内部で組織的に行われていたようで、幹部が何人か失脚したと報じられている。その後どうなったのかは不明だが。
ロケット軍でも不正
また、去年、ロケット軍の不正に関するニュースがあって、粛正され人材刷新されたというニュースがあったと思う。
中国軍を巡っては、核ミサイル部隊を管轄するロケット軍の装備品調達に関わる大規模汚職が取り沙汰され、李尚福前国防相=昨年10月解任=らの関与も指摘されている。規律の緩みや軍人の質の低下が「強軍目標」の足かせとなっている可能性がある。
共同通信「中国軍人の凶悪犯罪相次ぐ」より
この話は、このブログでも取り扱ったね。
幹部交代で一体何があったのか?と騒然となったのだが、どうやら内部で深刻な汚職があったようで。
こちらで触れたのだけれど、ミサイルの燃料の代わりに内部に水を注入したり、規格の合わない蓋を取り付けたりという事例が報じられている。が、詳しくは何が起こったか説明されていない。
ミサイルの燃料の件は、本来、注入されるべき燃料を購入したように見せかけてその費用を着服したとか、そんな話なのだろう。水を注入したのは重量を誤魔化すためだと思う。パレードなどでミサイルを運んで見せることがあるのだが、燃料が空のままだとバレちゃうからね。
蓋の話は良く分からないが、わざわざ規格の合わない蓋を取り付けたというのは、正規の蓋を購入したと見せかけたのだろうか。
内規の乱れ
また、こんな話も。
内部教材は中央軍事委員会で綱紀粛正を担う「政法委員会」が作成した。武器や飲酒、性欲、金銭、インターネットなどが絡む16年以降の摘発事例をまとめ、思想教育を徹底する必要性を訴えた。
共同通信「中国軍人の凶悪犯罪相次ぐ」より
「武器や飲酒」或いは「金銭」は分かるのだが、「性欲」とか「インターネット」というのは一体何だろうか?
産経新聞は会員限定記事でこんなのを報じていた。
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読める範囲内ではタイトルにしか書かれていないのだが、「性欲」というのは「軍幹部による不倫相手の殺害」という辺りに関係しているのかも知れない。
そういえば、こんな話があったな。
習近平主席の妻、軍の審査委員に就任か 彭麗媛氏、人材育成を視察 香港紙報道
2024/5/5 19:54
中国の習近平国家主席の妻、彭麗媛氏が共産党中央軍事委員会の幹部審査評議委員会委員に就任したとみられると、5日付の香港紙、星島日報が報じた。
~~略~~
彭氏は習氏と結婚した当時、軍所属の人気歌手だった。
産経新聞より
軍内部の腐敗を引き締めるために、身内を要職に就けたということなのだろうが、それにしたって「共産党中央軍事委員会の幹部審査評議委員会委員に就任」って、凄いな。
能力があるから、とか、実績があるから、とか、そういう話ではないと思うけれども。
強軍戦略は空転
数年前にもこんなニュースがあった。
特別リポート:中国習近平の「強軍戦略」、米国の優位脅かす
2019年4月24日午後 1:04
中国の近代化へ改革・開放政策を積極的に導入した当時の最高指導者、鄧小平は「韜光養晦(とうこうようかい)」(才能を隠し、力を蓄える)を施政の基本とし、国際社会での突出を避けながら経済力の拡大に注力した。
ロイターより
この時も、人民解放軍の大改造を行って、軍事力を強化する!という風にぶち上げていた。
習の指揮による人民解放軍の改革は、1949年の中国建国後では最大の規模といわれる。忠実で腐敗のない強力な軍隊を作り上げるため、習は毛沢東時代から続いていた巨大な軍官僚機構を解体し、自らが中央軍事委員会の主席となって軍組織への権限を強化した。
ロイター「特別リポート」より
軍の近代化によって、強化を図ったという話だったはずなのだが。
上に紹介した2013年の記事の問題は、習近平氏の大掛かりな軍事改革によって、刷新されたハズだった。
2015年半ばから16年にかけ、習は大掛かりな軍事改革を相次いで打ち出した。非戦闘要員を中心に30万人を削減した後、強大な権限を持ち、汚職の温床ともなっていた「四総部(総参謀部、総政治部、総後勤部、総装備部)」を解体し、中央軍事委員会に直属する15の新たな機関に置き換えた。
ロイター「特別リポート」より
人民解放軍は、設立当初から後方支援をするための組織に非戦闘要員を抱え、自前で物資が調達できる組織運用がなされていた。上で紹介したように、装備品刷新にあたってスクラップを民間に売り払うなんてことが可能だったのは、そういう組織があったからに他ならない。
その中心にいたのが「四総部(総参謀部、総政治部、総後勤部、総装備部)」だったので、これを解体しちゃったのが習近平氏なのである。
詳しくは防衛研究所のレポートに詳しく描かれているが、習近平氏は自身が人民解放軍を掌握するために大鉈を振るったのである。
https://www.nids.mod.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j19_1_4.pdf
が、その結果どうなったかというと、それ以降も不正が横行していたということになる。尤も、このレポートにも「未だ課題は残っている」として以下の点が指摘されていたのだけれどね。
他方、同時に指摘すべきは、こうした国防・軍隊改革は未だ道半ばであり、なお多くの課 題が残っていることである。特に統合作戦体制における指揮・命令系統の再編という観点か らみれば、①党軍としての「呪縛」、②統合作戦指揮を担える人材の養成、③中央軍事 委員会、戦区、軍種の役割分担の細部調整、④戦区内の組織機構改革、など重大な課 題がなお山積している。こうした課題を克服しない限り、今回の改革の成果は限定的なもの になるであろう。
防衛研究所のレポートより
その結果どうだったのか?というのが、今回の話なのである。
……が、気になるのは何故、内部教材が外に持ち出されて報じられているのか?という点だね。今、明らかにされたと言うことは、案外既に対策が終わっているよという意味なのかも知れない。
ファイブアイズからの警告
パイロットの引き抜き
さて、「今更」の記事をもう1つ。
中国が欧米パイロットを引き抜き、ファイブアイズが警告
2024年6月10日(月)13時00分
中国が欧米人パイロットを「指導役」として勧誘している──米政府は「ファイブアイズ」(米、英、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの機密情報共有同盟)と連名で、そう警告した。
Newsweekより
これも今に始まった話ではなく、十数年前からパイロット引き抜きの話が報じられていたと思う。

以前言われていたのは民間のパイロットの話が中心だったけれども、一部は軍関連のニュースもあったように思う。
中国、訓練要員として英軍パイロット引き抜き 英国防省が警鐘
2022.10.19 Wed posted at 15:33 JST
英政府は19日までに、英軍の現・元パイロットが多額の報酬を提示され、中国軍に訓練を行う仕事に勧誘されていると明らかにした。国家安全保障上の懸念が生じるなか、英政府はこうした採用策を阻止する対策を講じる方針を示した。
CNNより
これはイギリスの例だが、ドイツやフランスも似たような話を出していたように思う。
例えばオーストラリア政府は2022年、元米海兵隊パイロットのダニエル・ダガン(退役後オーストラリアに帰化)が北京滞在中の6年間、中国人パイロットに空母への離着艦訓練を行ったとして、米武器輸出管理法違反の疑いで逮捕した。ダガンは容疑を否定。身柄引き渡しを求める米政府と法廷で争っている。
Newsweekより
それだけではなく、オーストラリアなど世界各国でもこの問題は深刻化してきていて、それをファイブアイズがわざわざ共同声明として出したというのだから、驚きである。
スパイ活動も
こうした話は、ちょっと前にもあった。
中国スパイ活動に「ファイブ・アイズ」対抗、米司法省がハッカー集団「APT31」の7人起訴
2024/03/26 13:25
司法省は25日、中国の情報機関・国家安全省の支援を受けて活動していた中国のハッカー7人をコンピューターへの侵入容疑で起訴したと発表した。ハッカーらは過去14年間、米政府関係者や政治家らを対象にサイバー攻撃をしかけていたという。
~~略~~
英政府は声明で、今回の摘発は「ファイブ・アイズ同盟国の支援を受けた」と明らかにした。
讀賣新聞より
これに先駆けて、こんな共同声明が出ている。
中国が知的財産を盗む、ファイブ・アイズが異例の共同声明
2023年10月18日午後 1:55
米英など5カ国の機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」は17日、中国が知的財産を盗んでいるとの異例の共同声明を発表した。
中国が人工知能(AI)を使ったハッキングやファイブ・アイズ加盟国へのスパイ活動を行っているとしている。
ロイターより
何というか、ここの所、対支那の姿勢が鮮明になってきているとは思っていたが、情報を追ってみるとファイブアイズが共同声明を出すという異例の事態が幾つかあって驚いた。
そもそもファイブアイズは情報の収集や分析を本業としていて、声明を出すような組織ではなかったと思うのだが。
共同通信が報じた「内部教材」が何処から出てきたのかは気になっているが、或いは「そういうこと」なのかも知れない。
コメント
すげえですねシナ解放軍????
戦車から戦闘機までスクラップにして売ってしまうのか……二次大戦後にイタリアで米軍廃空母を盗み出してスクラップで売った事件ありましたが、中国の方が規模がデケ〜????
まあ百万単位のリストラ重ねてきて、各地の解放軍が持っていた民需事業を奪いましたからね。公安や武装警察への移動の席も埋まってるし。
軍人としては、シナ式PMCかマフィアか、
備品窃盗団しか食い扶持がないですね。
まぁ実態はこんなものと思ってました。
やっぱりねぇ……。
良い鉄は釘ならず、良い人は兵ならず。
という伝統の国ですから。科挙とともに武挙が存在したけれど、はるかに武はランク下で、日本の武士や西欧の騎士のような武人統治の歴史ないから、軍人とは「ならず者」なのですね。やっぱりね。
それでも人民解放軍は多数の兵がいますから、一部が腐っていても実力はそれなりにあるんですよね。
装備も最新のモノを取りそろえていますから、侮れないというのが困ったところであります。
ならず者国家の面目躍如ですな。
こんにちは。
>紹介されていた事例はこんな感じ
これ、品目さえ替えれば、群雄割拠の時代の話しだっていっても違和感無いですよね。
習近平は軍閥潰しで軍区を作り直しましたが、結局元の木阿弥、という事なのかなと。
さすがは「上に法あれば下に策あり」の国、そこにシビry
むしろ、曲がりなりにも機能していた軍閥を引っかき回したツケが、もうそろそろ来るんじゃないかな?
恨み倍返し&ガラガラポンで末端の抑制効かない状態で。
そんな「時はまさに世紀末!」な歴史の再現を、正直、見て見たいモノですが、問題なのはそれが隣の国だってことですよね。
※今朝のニュースで、BRICSがG7の向こうを張って対抗意識丸出し、みたいな状態らしいですが、そりゃ中露が旗振ってりゃあ……次の枢軸国はあいつらか……
※インドは狸だからどっかでトンズラするかも。ブラジルも張り子の虎だし……
こんにちは。
昔から様々なことをやってきたということですから、驚くほどのことではないのかも知れません。
腐敗あっての支那ですから、そう簡単には腐敗は無くならないと思います。
不正が横行するのは、本中華も小中華も同様。
なのに、オモシロ兵器が本中華軍から出てこないのは何故?
オモシロ兵器ですか。
支那では積極的に開発しているのだから、おかしな兵器の1つや2つ出てきてもおかしくないはずですが、どうしてか不思議ですね。