日本のリニア建設はなかなか前に進んでいないのだが、支那で計画されるリニアの話は度々聞くね。
陸上最速!時速600キロの高速リニア建設へ、中国・広州市が計画―香港メディア
2024年5月22日(水) 18時0分
香港メディアの香港01は22日、中国が時速600キロで走る高速リニアの建設を計画していると報じた。
Record Chinaより
またぞろ広州市が2035年までの計画としてリニア建設の話を出してきた。
実現は結構難しいリニア鉄道
支那のリニア鉄道
日本の話は、静岡県知事が散々ゴネていたことで、建設がなかなか前に進まなかったことは皆さんご存知の通りである。バカバカしいが、地方自治体の首長の権限はかくも大きいのである。これが、国家プロジェクトだったらまた違ったのだろうけれど。
さておき、支那のリニアの話である。
記事は中国メディアの報道を基に、「中国では現在、上海、北京、(湖南省)長沙でリニアが運行されているが、これらはいずれも中低速リニアであり、最速は上海リニアの時速430キロだが営業速度は300キロにとどまっている」と指摘。「時速、設計基準、運営モデルのいずれにおいてもこの3路線は厳密な意味での高速リニアではない」と論じた。
Record Chinaより
リニア強国(笑)の支那ではリニア鉄道が運行されている。
世界最速から陥落、「上海リニア」無用の長物に?
2020/05/27 5:40
世界で唯一の「高速リニアモーターカー」として商業運転を行っている上海トランスラピッド。試験走行では時速500km超を達成し、乗客を乗せた通常の営業運転でも最高時速430kmと、切符さえ買えば「誰でも世界最高速が楽しめる鉄道」として親しまれてきた。
東洋経済より

上海トランスラピッドと呼ばれる路線が有名なのだが、意外と何処を結ぶ路線なのかは知られていない。

浦東国際機場駅(飛行機のマーク)と龍陽路駅(赤のピン)の間、29.863kmを7分20秒で結んでいるが、ここから更に延長する予定はなく、最高時速は430km/hを記録している。
この上海トランスピッドは、ドイツに技術協力をしてもらって作り上げたトランスピッド式と呼ばれるもの。日本は超伝導リニアと呼ばれる別の方式なのだが、トランスピッド式で600km/hを目指すのは技術的に困難だと言われている。
トランスピッド方式
実のところ、トランスピッド方式は日本が計画している超電導リニアに比べて低コストでの導入、運用が可能だと言われている。永久磁石と電磁石を用いる方式で、停止時も浮上した状態なのだが、浮上量が約1cmなので起動の敷設や保守にかなりの精度が要求される。
日本で採用されなかった理由がまさにこれで、地震や地殻変動が発生した場合には1cmの浮上量では接触事故を起こすリスクがあるからだ。超電導リニアは10cmも浮上させることで、このリスクを回避しているのだが、そのために液体ヘリウム冷却を必要とする超電導磁石を使用する必要がある。故に高コスト化は避けられない。
というわけで、トランスピッド方式の路線を延長するというのは、なかなか技術的なハードルが高いと見られている。
長沙磁浮快線と北京地下鉄S1線
一方、あまり話題にはされないが、長沙磁浮快線と呼ばれる湖南省の鉄道も磁気浮上列車である。路線は18kmで長沙黄花国際空港から長沙南駅までの間を運行しているようだ。運行速度は100km/hらしい。

詳細技術は不明なのだが、何となく愛知県にある東部丘陵線(HTTS方式:リニモ)に似ている感じはする。まあ、リニモも運行区間は9km程度なんだけどね。
そして支那にはもう1箇所、北京地下鉄S1線と呼ばれる地下鉄に磁気浮上列車が採用されている。

こちらも路線距離は10.2kmで、運行速度は100km/h(最高速度は160km/hらしい)と長沙磁浮快線と似たようなものである。地下鉄として運用しているわけだから、さほど速度を必要としないという側面もあるのだろう。
結局のところ、磁気浮上列車を使いたいという面が先行し、運行メリットはさほどないというのが実情なのだろう。というか、ハッキリ書いてしまえば、現行のリニア鉄道ってアトラクションの域を出ないのである。この話は無論日本にも跳ね返ってくる話なのであるが。
あ、なお、リニモに関しては僕自身乗車したことがある。で、東部丘陵線にリニモを採用した意義については車内で(1)比較的急角度で曲がる線路(2)急勾配を登ることが可能と、「リニモである必要性」が説明されているのだが、万博用のアトラクションの域を出なかったというのが正直な感想ではある。完全な赤字路線で経営のお荷物になっているからね。
そこから導かれる結論は、支那の3路線もおそらくは採算が取れていないのだとは思う。
じゃあ、超電導リニアが完成したら採算がとれるのか?と言われるとこれが悩ましい。実際、難しいと言われているしね。ただ、意義がないかというと実はそうでもない。都市間高速交通というのは、それなりの需要がある。東京から大阪まで結ぶからこそ黒字化の可能性があるのだ。その話はまた別の機会にしたいと思うが。
世界最速の鉄道が欲しい
話は支那のリニア鉄道に戻るが、実は過去にも何度か「時速600kmのリニア完成!」という記事は見かけた。
中国中車、時速600キロのリニア完成 JR東海に肉薄
2021年7月20日 19:23
鉄道車両製造で世界最大手の中国中車は20日、時速600㌔㍍で走るリニアモーターカーが完成したと発表した。中国の鉄道として最速となる。JR東海はリニア車両で最高時速603㌔㍍を記録しており、それに迫る形となる。鉄道分野で世界的に技術開発競争が激しくなりそうだ。
日本経済新聞より
なかなか鼻息の荒いことだが、残念なことに未だにどんなシロモノなのかは明らかにされていない。いや、模型は出ているんだけど、建設プランが進行している!という話ばっかりで、実際に実験線でその速度を達成したという話ではないんだよね。

ちなみに、超高速リニア実験線の話もちらほら聞く。

こういうのを見ると、「空をとんじゃ駄目なのか?」とか思うわけだが、そうでもないのだろうか。実際のところ、JETROの方の記事には低真空チューブの中を走行する構想になっていて、これが難しいことは別の記事でも言及している。
こちらは韓国の話なんだけどね。
というか、何処の国でやっても技術的困難性があることには変わらない。やってみて欲しいとは思うのだが、現実的であるか?と言われると首を傾げざるを得ないのである。
夢のない話ではあるが、支那のリニア鉄道の話もやっぱり困難性は高いんだよね、上で書いたような理由で、ではあるが。つまり、支那が技術的に実現可能なトランスピッド方式では長距離運行に支障があるし、長距離運行できないのであればリニア鉄道のメリットが出せない。なんとも悩ましい話なのである。
が、個人的にはガンガン計画を推進して欲しいとは思っている。技術的な意義は大きいし、どんな鉄道ができるのか純粋に見てみたい気もする。何より、支那経済にも大きな影響を与えそうだし、ね。
コメント
こんにちは。
別のコメントでも書きましたが、静岡の知事選が……
まあ、口ではリニア推進を歌ってますが、返す刀でメガソーラー推進じゃあ……
世界的レベルで、今は、そういう、リベラルが台頭してしっちゃかめっちゃかになる時期なんだと諦めてます。歴史的に、そういう時代は必ず周期的に来ているようなので。
ついでに、国連の機能不全もあって大戦争とその後の新秩序構築もあり得るかなと思ってますが、まあそれはリニアとは別問題ですね。
とにかく、静岡県民には猛省を促したいところ。
大井川周辺とか、観光地としては大好きなのに……余計な事する暇と金があるなら、大鐵に投資して不通区間の復旧を急げと小一時間(ry
こんにちは。
静岡は残念でした。
本当に。
思わずリニアの記事を書いてしまいましたが……。