支那の不動産開発業の不調に関しては触れたが、他に顕著なのは鉄道事業の不調である。
中国高速鉄道で黒字なのは6路線のみ―香港メディア
2024年5月10日(金) 8時0分
香港メディアの香港01は9日、中国の国有鉄道会社・中国国家鉄路集団(国鉄集団)の純利益が33億元(約725億円)を記録する一方で、高速鉄道で黒字が出ているのは主要6路線のみだと報じた。
レコードチャイナより
まあまあ有名な話ではあるので、「ああ、知っている」という人も結構いると思うが。
延長を続ける赤字路線
高速鉄道の94%が赤字路線
日本の場合、JR北海道など赤字を垂れ流して業務改善の糸口すらつかめない状況である。それでも最近は観光客が増えたことで改善はしているようだが。
ともあれ、営業距離辺りの鉄道利用者が多くないと、鉄道は黒字化することは難しい。
今年のメーデー(労働節)連休中の鉄道旅客輸送量は延べ9176万5000人、1日平均延べ1835万3000人で、2019年同期比で23.3%増加し、春節、清明節に続いて過去最多を更新したという。
一方で、高速鉄道の営業距離は23年末時点で4万5000キロに達しているものの、利益を出している区間は2300キロと全体の6%にとどまり、具体的には北京-上海、北京-天津、上海-杭州、広州-深センなど、人の流れが多く需要が高い6路線のみとなっている。
レコードチャイナ「中国高速鉄道で黒字なのは6路線のみ」より
同じことは支那でも起こるわけで、支那高速鉄道の営業距離は4万5000kmに達しているのだけれど、利益を出せる区間は2300kmのみだというから恐ろしい。
なお、高速鉄道ではなく通常の鉄道も含めると鉄道総営業距離は2023年末時点で15万9000kmに達しているのだそうだ。ちなみに世界一はアメリカで総営業距離は22万5000kmなんだそうな。支那の鉄道は未だに建設され続けているので、抜き去るのも時間の問題だ。
つまり2位が支那鉄道で、3位にロシア鉄道(9万km)が入ってくるそうな。
で、これだけの線路を維持する為には、当然お金がかかるわけで。
赤字の更なる積み上げ
で、実際どうか?というと、なかなかの負債の山を築いているようだ。
中国国有鉄道、累積赤字が122兆円超
2022/09/5 13:30
中国の国有鉄道である国家鉄路集団(国鉄集団)は2022年上半期の決算を発表した。総売上高は4857億元(約9.87兆円)で、純損益については去年上半期の507億元(1.03兆円)を58.5%も上回る804億元(約1.63兆円)の赤字となった。累積赤字額は前年同期から3.45%増えて6.00兆元(約122兆円)となり、負債率は去年末より0.48%増えて66.81%となっている。
中国経済新聞より
なんと、年間の赤字額は804億元(約1.63兆円)規模で、累積赤字額は6兆元(約122兆円)なんだとか。
もちろん、支那の国家運営に高速鉄道は組み込まれているのだから、簡単に倒産するとかそんなことにはならない。国家がだしているのだから倒産しようがないんだよね。ただ、累積で122兆円も積み上がってしまうと、これを解消することは難しい。
しかしその一方、貨物は好調であり、1日の輸送量、回転量、積み下ろしの数など様々な項目で過去最高を記録した。上半期の輸送量は前年同期比5.5%プラスの19.46億トンで、月間輸送量も前年比で9.6%増、ほぼ毎月過去最高となっている。
中国経済新聞より
貨物が好調でも、カバーし切れていないよね。
GDPを押し上げるインフラ投資
尤も、支那政府の狙いも分かる。
高速鉄道なんと年2700キロ開通…中国GDPを押し上げた「インフラ投資」 巨額負債の懸念もどこ吹く風
2024年1月18日 06時00分
2023年の中国の国内総生産(GDP)成長率は、目標通りの5.2%増だった。中国経済は、これまで成長の柱だった不動産業の長期低迷が見込まれるが、もう一つの柱であるインフラ投資は堅調だ。2023年末に相次いで開通した高速鉄道の現場を訪れると、インフラ投資に頼る地方政府の苦境が透ける。
東京新聞より
インフラ整備には国内経済を押し上げる力があるし、整備された鉄道沿線は駅を中心に利便性が格段に上がる。
そういう意味でも、赤字垂れ流しでも鉄道網を整備する理由はあるのだが、しかし一方で鉄道の運用するために設備投資は欠かせない。なんだったら赤字でも、という話になる。
ただ、支那の現状を考えると、経済発展を目指して計画的に鉄道網を構築しているのではなく、場当たり的に建設を推進している側面があることを否定できない。
毎年赤字なのに毎年建設、中国高速鉄道の意義はどこに?―中国メディア
2021年2月9日(火) 7時20分
2021年2月7日、中国のニュースサイト・観察者網に「造れば造るほど損が出ているのに、どうして高速鉄道を造り続けるのか」とする記事が掲載された。
記事は、中国高速鉄道について海外からしばしば「純粋なお金と時間、資源の無駄遣い」というやゆが聞こえてくるとしたほか、「高速鉄道のチケット代は高額だが、それでもコストをカバーするには全く足りず、運行すればするほど赤字になる」との声も出ているとした。
~~略~~
また、高速鉄道の建設により、情報、機械、冶金、建築、ゴム、合成材料、電力などあらゆる産業に経済効果が生まれるほか、数多くの雇用を生み出すという点でも「その経済効果は非常に大きい」と説明。造れば造るほど損を出すが、それ以上の経済効果を生み出すからこそ高速鉄道の建設を続けているのだとの見解を示している。
レコードチャイナより
「それ以上の経済効果」ねぇ。本当にそんなことが起きれば良いのだが、支那の場合にはその計画性がちょっと怪しい。
確かに鉄道輸送など経済性を高める側面はあるのだが、支那が建設を進めている高速鉄道網に関しては旅行者向けの設備であり、鉄道輸送には貢献しない。いや、高速鉄道を貨物輸送に用いる高速貨物列車を計画しているらしい。

が、これに経済性を持たせることが出来るのかは不明。欧州でも高速貨物列車が導入された国はあるが、あまり経済性に貢献ができてはいないようだ。
支那の場合は欧州よりも更に悪く、高速鉄道網を敷いた場所の人口密度が低く、鬼城を作ってそこに高速鉄道を、というようなアホの上塗りのようなことをやらかしているから、なお質が悪い。利益が出るわけが無いのである。そういう場所ばかりではないのだけれど、94%が赤字というのが何よりの証拠であるとも言える。
利用料金の値上げ
で、ここへきて値上げに踏み切った模様。
中国の複数都市が公共料金値上げ、デフレ圧力緩和も家計に打撃
2024年5月15日午後 2:53
中国の10都市以上に広がる公共料金値上げの動きは全国の超低水準のインフレ率を一時的に押し上げるかもしれないが、将来的には家計の購買力のさらなる低下を招き、デフレ圧力となる可能性があるとアナリストは指摘する。
ハイテク産業や製造業の集積地である深センや広州などの都市はここ数カ月で水道やガス料金の引き上げを実施したり、示唆している。国営メディアによると、列車本数が多い高速鉄道4路線の料金も6月15日から最大20%値上げする見通し。
ロイターより
公共料金の値上げのニュースではあるが、しれっと高速鉄道4路線の料金を最大20%値上げの予定が伝えられている。
デフレ圧力の強い支那だが、公共料金や高速鉄道料金の値上げをすれば、インフレ率は一時的に押し下げ……、いやどうかなぁ?
利用者が減りそうな気がするし、そもそも家計収入が増えない状況でそんなことをすると更にデフレを加速する可能性も。少なくとも高速鉄道の赤字改善には貢献しそうにないね。
赤字体質が加速すると、保線などが疎かになって事故に繋がりそうなんだけど、せめてそういう事故に繋がらないように頑張ってほしいものである。
コメント
中国に高速鉄道製造技術を渡してしまった川崎重工はいまだにJR東海を出禁らしいですな
出禁というか、取引しない形になっちゃいましたね。
日本車輌を子会社化したので、今後、川崎重工の出番はないかもしれませんね。
https://toyokeizai.net/articles/-/211939
こんにちは。
「不退転」の共産党は、一度引いた鉄道を手じまいするのは出来ない(間違いなく関係者の首が飛ぶ(物理))でしょう。
ある意味、今世紀の「大躍進」の、そのなれの果てがもうすぐ観れるのかと思うとwktkです。
※そうなる前に、とんでもないことが色々起こりそうですが……
こんにちは。
国家からして「前進、前進」ですから、バックギア壊れているんですよね。
鉄道の手仕舞いもどうするのか分かりませんし、不動産開発の方も意味不明ですよねぇ。どうするんでしょ?あれ。
引かぬ!媚ぬ!省みぬ!
聖帝サウザー改め皇帝シー。
そのうち、聖帝十字陵でも作り始めるかもしれませんね。