「おおっ、来たな」と思ったのと同時に、「そこまでフィリピンはヤバいのか」という感想が。
自衛隊とフランス軍の共同訓練、「円滑化協定」交渉開始へ…海洋進出続ける中国をけん制
2024/05/01 05:00
日本とフランスの両政府は、自衛隊と仏軍による共同訓練をしやすくする「円滑化協定」(RAA)の締結に向けた交渉を開始する方針を固めた。岸田首相が2日午後(日本時間2日夜)にパリを訪問してマクロン大統領と会談し、交渉入りで合意する見通しだ。日仏の安全保障協力を強化し、強引な海洋進出を続ける中国をけん制する狙いがある。
讀賣新聞より
フランスとの協力というのが、どういう意味合いを持っているのか、なんてことをちょっと考えると、色々と考えてしまうが。
フィリピンは支那に対抗するために尽力する
訪問軍地位協定交渉
えーと、何だろう。冒頭のニュースに触れる前に先ずこちらのニュースを紹介しておくか。
フランス・フィリピン、5月に訪問軍地位協定交渉へ
2024年4月26日 6:36
フランスのマリー・フォンタネル駐フィリピン大使は25日にマニラで記者会見を開き、両国が5月にも訪問軍地位協定の締結に向けた交渉を始めると明らかにした。AP通信などが伝えた。お互いの領土で軍事演習など連携が取りやすくなる。
日本経済新聞より
先日、フランスはフィリピンと訪問軍地位協定の締結に向けた交渉を始めた。
これ、結構展開が早くって、この話が出たのが去年の2月。あ、2023年2月の話は日本とフィリピンでの訪問軍地位協定なんだけど。
比大統領、日本との訪問軍地位協定締結に前向き
2023年2月13日午前 11:11
フィリピンのマルコス大統領は12日、日本と「訪問軍地位協定(VFA)」を締結する可能性について、自国領海の安全保障確保やフィリピン人漁業者の保護強化につながるならば「結ばない理由はない」と語った。
~~略~~
マルコス氏は岸田文雄首相との会談で、災害救助でフィリピンに自衛隊を派遣する手続きの円滑化で合意した。VFA締結に向けた一歩と捉えられている。
ロイターより
えーと、訪問軍地位協定というのは、軍事演習や有事の際にフィリピンを出入りする多数他国軍兵士の存在と活動に関する法的枠組のことで、駐留軍基地を整備するというところまでは行かないけれど、頻繁に来て貰える場所を確保するような法的根拠を作るイメージで良いと思う。
なお、フィリピンはアメリカと訪問軍地位協定(1999年5月27日に発効)を結んでいて、ドゥテルテ氏が大統領だった時にこの協定を破棄しろと言ったり、大騒ぎしていた時期もあったのだけれども、今のフィリピン大統領のボンボン・マルコス氏は思いきったな。
更に日本に加えてフランスである。
支那の海洋侵出
フィリピンは支那との間で領土に関する争いがあり、支那が「十段線」などとほざいて海洋進出、侵出?を図っていることにこの争いは起因している。
フィリピン“南シナ海で船が中国海警局から放水銃による被害”
2024年4月30日 22時52分
フィリピン政府は、中国と領有権を争う南シナ海でフィリピンの船が中国海警局の船などから放水銃による被害を受けたと発表し、中国側は反発しています。
フィリピン当局は4月30日朝、ルソン島から西に200キロ余り離れた南シナ海にあるスカボロー礁と呼ばれる岩礁の周辺で、フィリピンの船2隻が中国海警局の4隻の船から妨害されたと発表しました。
NHKニュースより
フィリピン当局と支那海警局との小競り合いもここ数年ずっと続いている。
フィリピン側が公開した映像には、中国海警局の2隻の船が、フィリピンの巡視船を挟み込んで両側から放水銃で水をあびせる様子が映っていて、放水された巡視船は、操だ室や手すりなどが損傷する被害を受けたということです。
NHKニュース「フィリピン“南シナ海で船が中国海警局から放水銃による被害”」より
ここのところは、フィリピン当局もカメラを持ち込んでこうした状況を世界的に報じるような対応を増やしてきていて、一触即発といった雰囲気である。

放水事件の起こった海域は、フィリピン寄りの海域であり、支那が領有権を主張するスカボロー礁(中国名・黄岩島)の近くのようだ。
支那はあろう事か、この海域を埋め立てて海上基地を作ろうとしている。もう少し南にあるジョンソン南礁周辺のスプラトリー諸島はすでに幾つか埋め立てられて基地が作られてしまった。


こういった海上基地は極めて脆弱ではあるが、ミサイル部隊などが配置されると厄介な事になる。そもそも他国海域にこういった海上基地を建設するのは、海洋法条約上適法であるとは言えない。
しかしそういった話を丸っと無視し、海洋侵出を進めるのが支那のやり方である。
そんな状況にあって、フィリピンは自国だけではとても防衛できないため、他国の協力を要請しているのである。
フランスにとっても都合が悪い
というわけで、フィリピンとして働きかけたのが、アメリカ、フランス、日本なのだ。特に、日本は地理的に近いことと、海洋国家であるために優れた海上軍事力を持っている。そう、海上自衛隊である。
そして、海上保安庁が警察的ノウハウも持っている。
では、アメリカ、フランスはどうなのか?といえば、やっぱりこの近辺に自国領があると話は変わってくる。
フランスは南太平洋のニューカレドニアやポリネシアに領土や基地を持ち、インド太平洋地域で軍事活動を活発化させている中国への警戒感は日本や豪州などと同様に高い。昨年にはニューカレドニアで陸上自衛隊と仏陸軍が、宮崎県で空自と仏航空宇宙軍がそれぞれ共同訓練を行うなどした。
讀賣新聞「自衛隊とフランス軍の共同訓練」より
アメリカはハワイやグァムなどの島を持っているから、やっぱりフランス同様少々都合が悪い。
日本の場合はバッチリ、シーレーン防衛に関わる問題なので、論ずるまでもない話となる。
なお、日本が推し進めるFOIPにもアメリカやフランスの賛同が得られているので、そういった枠組みでもアメリカやフランスの積極性は歓迎したいところ。安倍政権から始まった取り組みだが、岸田氏も随分と頑張っている分野である。

安倍政権時代にはかなり先進的な取り組みに感じたこの話、しかし実はかなり支那の後手に回っている。
「世界に安定、繁栄を与えるのは、自由で開かれた2つの大洋、2つの大陸の結合が生む、偉大な躍動にほかなりません。日本は、太平洋とインド洋、アジアとアフリカの交わりを、力や威圧と無縁で、自由と、法の支配、市場経済を重んじる場として育て、豊かにする責任を担います。両大陸をつなぐ海を、平和な、ルールの支配する海とするため、アフリカの皆さまと一緒に働きたい。それが日本の願いです。大洋を渡る風は、わたしたちの目を未来に向けます。サプライ・チェーンはもう、アジアとアフリカに、あたかも巨大な橋を架け、産業の知恵を伝えつつある。アジアはいまや、他のどこより多く、民主主義人口を抱えています。アジアで根付いた民主主義、法の支配、市場経済のもとでの成長―、それらの生んだ自信と責任意識が、やさしい風とともにアフリカ全土を包むこと。それがわたしの願いです。」
外務省資料より
これは2016年にケニアで開催されたTICADVIでの安倍氏の基調演説の一節なのだが、今やっと欧米諸国とも共通認識を持てるようになってきたということだる。
対支那包囲網
そして、これはすなわち対支那包囲網にフランスが参戦してきたという意味でもある。
フランスも「対中国包囲網」に参加 米国、オーストラリアに続き、フィリピンと南シナ海共同パトロール
2023年12月7日 21時13分
中国が南シナ海で軍事圧力を強める中、フランスがフィリピンとの共同パトロールに参加する意向を表明した。フィリピンは既に米国やオーストラリアと共同パトロールを実施しており、多国間の連携を進めて抑止力の向上を目指す狙いだ。
~~略~~
また、潜水艦やその他の防衛装備品を提供することでフィリピン軍の近代化計画を支援する準備もあるとした。
東京新聞より
正直、フランスの軍需産業を支える側面もあるとは思うのだが、しかし多国籍でこういった方向での団結をすることは、方向性としては正しいのだと思う。なかなか一国で支那に対抗するのは難しい。
そして、集団自衛権の行使というのが、この延長線上にある話なのだけれども、これが機能するためには積極的に共同演習をやっていく必要がある。
そんなわけで、今の日本の外交方針というのは最近割と良い線行っていると思う。
コメント
日本が努力しようが、米国のトップたるバイデンは「日本やインドはロシアや中国と同列の外国人嫌悪の国だ」と方言。
中国やロシアと同列に同盟国を扱いました。つまりジャップは敵と同列て本音てやがりますな。
こんな大統領に、しかも任期はあと半年。次はこいつになるか解らんのに、
やたらとこの時期に媚を売る岸田に、戦略眼なんかあるのですかね?
こんな奴らの言う事なら、まだカエル野郎の方がマシかもしれない。
木霊様は一貫して移民政策推進に反対してこられましたよね。
移民しないから日本はダメだ。外国人嫌悪でロシアやチャイナと同じだと方言する大統領と、そこに媚を売る岸田どうなんてすかね?
なんでいつも岸田を庇うの?
岸田氏の政策に関しても、是々非々ですよ。
良い面は良いと、悪い面は悪いと、そのように指摘しているつもりであります。
ただ、誤解されている部分が多いだけに、擁護する流れになることがあるのは自覚しております。
バイデン氏への突っ込みは別記事に書きました。
日本はアメリカと上手くやっていくしかないとはいえ、おかしな事を言われればしっかりと反論できないとダメですね。
岸田首相が2日に仏国を訪問、紅皇帝も5日から仏国に乗り込みました。
仏国は、こういう”鉄火場”交渉が大好きで、大抵のことならなんにでも首を突っ込もうとします。
今回は、日本・フィリピン側と支那側の双方にいい顔しつつ、アジアでの政治的・経済的利益を狙っているんでしょう。
特に今は、米国のアジア・プレゼンスが低下しているので、仏国にとってはチャンスなんでしょう。
フランスはおかしな事に首を突っ込んでいますね。
日本としても付き合う義理はないんですが、関係を深めることにメリットもありそうですから、距離感を図りながらやっていきたいですね。
こんにちは。
記事中の外務省資料に、韓国チャンのかの字も見えないのが……なんというかこう、手心というか……
そりゃ、「り地域」をアテにするバカは、もういないですよね……いないよな>外務省
こんにちは。
外務省としても、散々虚仮にされていますから。
とはいえ、それに懲りないのが彼らでありますから、注意してみていく必要があるでしょう。