取り上げるつもりでキャッシュしていた記事なんだけど、楽韓Webさんも取り上げていたので、触れておくことにする。
韓国、建設会社844社・仲介業者月1000社が廃業(1)
2024.03.14 09:52
2022年からの急な利上げに触発された不動産沈滞が2年近く続き、建設・不動産業全般に暗い影を落としている。高金利と不動産プロジェクトファイナンス(PF)不良化の懸念で建設現場に資金が回らない流動性悪化が激しくなり、不動産開発業者から建設会社、下請け業者などに危機が広がっている。
中央日報より
「そりゃまあ、そうだろうな」という感想しか出ない。
不景気への悪循環
流動性の悪化
簡単に言えば流動性の悪化である。
13日、釜山のあるマンション建設現場。ここで3カ月間にわたり作業員向け食堂で昼食を作っていたという女性は「5000万ウォンの売掛金がたまっているが回収できるか不透明」と涙を流した。通常の作業員向け食堂は工事を行う複数の下請け業者が食事代を渡すが、これら企業も工事を総括する建設会社から工事費を受け取れずにいるために起きていることだ。下請け業者関係者は「われわれも作業員の月給を払えていないのに建設会社は待ってくれとばかり言う」としてため息をついた。
中央日報「韓国、建設会社844社・仲介業者月1000社が廃業」より
韓国ではクラウディングアウトが発生している話は前にも書いたのだけれど、内需も萎んでいる。
住宅需要が減ったことと、手抜き工事の発覚などで韓国人がマンション購入をしようという需要が減っている。
1月基準で全国の売れ残り6万3755戸の約85%に当たる5万3595世帯が地方に集中している。
中央日報「韓国、建設会社844社・仲介業者月1000社が廃業」より
特に地方のマンションが売れていない。
売れないから賃金が支払えずに、労働者も困る。資材も買うことが出来ない。特に地方の状況が悪い。実に悪い循環である。
廃業する不動産仲介業者
そうなると、不動産を仲介する業者も厳しくなる。
毎日のように地方の有力建設会社が倒産するかと思えば建設業の賃金未払いも急増している。住宅取引が急減し廃業する不動産仲介業者が全国的に毎月1000社以上出ている実情だ。
中央日報「韓国、建設会社844社・仲介業者月1000社が廃業」より
毎月1000社以上の不動産仲介業者が廃業しているようだ。そりゃ、売るモノがないんだから廃業するしかないわけで。
不動産仲介業者はもちろん地方にも居るんだろうけれど、不動産取引の多いソウルに集中している。それでも、取引の絶対量が減っているので取引数の少ない業者から廃業してしまう。
韓国の不動産サービス業者数27.7万社···40.1%は公認仲介士
登録 : 2024-03-08 10:51:35 修正 : 2024-03-08 10:51:35
2022年度基準で韓国の不動産サービス産業の事業体数は約27万7000社と集計された。このうち、公認仲介サービス業の事業体が11万1500社余りで40%を占め、最も多かった。
国土交通部は8日、全国不動産サービス産業標本4000ヶ事業体を対象に調査した「2022年度不動産サービス産業実態調査結果」を公表した。
亜洲日報より
まあ韓国における不動産仲介業者ってかなり多いんだけど、不動産バブル全盛期には、取引量も多かったから、飯が喰えていたんだね。
代表者の年齢は、60代以上の代表者の事業体が14万4081社で、全体の51.8%を占めた。30代以下の代表者事業体は6090社で、全体の2.2%に過ぎなかった。
不動産サービス産業従事者数は計78万3210人で、このうち「不動産管理業」が29万4834人(37.6%)、「不動産公認仲介サービス業」が17万160人(21.7%)で多いと集計された。
亜洲日報「韓国の不動産サービス業者数27.7万社」より
そして、高齢者に多い職業だというデータが出ている。これって、リタイアした人が就職するってことなんだろうか?
その辺りは想像するしかないのだが、何れにしても不動産不況の影響なんだろう。
失業者も増える
当然このような流れなので、失業者も増える。
韓国、建設会社844社・仲介業者月1000社が廃業(2)
2024.03.14 09:53
建設業不況の中で仕事を失う人も増加している。雇用労働部によると、1月の建設業の失業手当申請者数は2万700人で、昨年11月の1万600人、12月の1万2700人に続き増加傾向だ。
中央日報より
失業者は増えているんだけど、失業率はさほど高くはない。
2月の失業率3.2% 就業者増加数は2カ月連続30万人台=韓国
2024.03.13 09:00
韓国統計庁が13日に発表した雇用動向によると、2月の失業率は3.2%で前年同月比0.1ポイント悪化した。若年層(15~29歳)の失業率は6.5%で、0.5ポイント改善。失業者数は91万5000人で、前年同月比2.8%増加した。
2月の就業者数は2804万3000人で、前年同月から32万9000人増加した。就業者数の月間増加数は昨年11月の27万7000人から12月に28万5000人、今年1月には38万人に増えた。2月まで2カ月連続で30万人台を維持したが、増加幅は縮小した。
聯合ニュースより
全体で3.2%だが、若年失業率は6.5%となっている。フシギダナー。そのからくりは簡単で、多くの人が自営業者になってしまうからだ。
韓国、従業員のいない「一人社長」437万人…15年ぶり最多
登録:2023-11-01 18:35 修正:2023-11-02 08:14
韓国で「一人社長」の数が15年ぶりに最も多い437万人と集計された。新型コロナウイルス感染症の流行後にも景気低迷が続き、従業員をなくしたりそもそも置かずに働く自営業者の増加傾向が続いている。
ハンギョレより
稼げなくとも自営業者であれば失業扱いにならない。

一応リンクは貼っておくんだけれども、引用するのは止めておこう。要は稼げない自営業者が増えて失業率は下がらないという話なのだ。
不景気は進む
そんなわけで、韓国の国内が不景気になっているというのが現状となっている。
不動産景気が停滞しその波紋が全方向に及んでいる格好だ。実際に建設業が韓国経済で占める割合は大きい。建設業は韓国の産業群で2022年に付加価値335兆818億ウォンで国内総生産(GDP)の15.5%を占める。建設業就業者が雇用全体で占める割合も2023年に7.4%に達した。
建設・不動産業が内需経済で占める割合が少なくないだけに建設景気がこれ以上悪化しないように防がなくてはならないという声が出る理由だ。韓国政府は建設景気活性化に向けインフラなど公共工事予算の65%である12兆4000億ウォンを上半期に早期執行することにした。
中央日報「韓国、建設会社844社・仲介業者月1000社が廃業」より
だから、公共工事を増やそうという話が出ているらしいんだけど、現段階ではどう考えても悪手である。
何故か?一般的には公共事業を増やせば、民間の利益に繋がる。だから経済活性化を図ることが出来るという循環を狙えるのだが、今回の場合は売れないマンションが大量に売れ残って、それを不動産開発業者が抱えている状況である。ある意味、構図的には支那に似てはいるが、支那ほどダイナミックな手段を採れない分、更に不味い。

こちらは2022年のMoney1さんのところの記事で、この時点でかなり状況が悪いことを示唆していた。つまり、構造的にはマンションの過剰供給が問題であり、この辺りの整理縮小をやらないとどうしようもない。人口減少に対して不動産の過剰在庫を抱える状況が続く。
ソウルの人口、10年で86万人減…「不動産価格、高すぎ」
2024年2月10日 14:00
ソウルの人口が最近10年で約86万人減少したことが統計庁の国家統計ポータルでわかった。不動産急騰の影響とみられる。
それによると、2014年から2023年の間にソウルから他の市・道に転出したのは547万2490人だった。転入は461万1159人で、差し引き86万1331人減っていた。
AFPより
インフラ工事が出来る業者が減ることは問題なので、公共事業投資をやらない理由はないのだが、不動産の方は需要が縮んで行くので、インフラ工事の前倒しというのは寧ろ宜しくないことになるのかも。とはいえ、支那ほど経済に寄与する割合は多くないので、これだけでどうにかなるという話ではないことに注意願いたい。
とはいえ、他業種もあまり業績が宜しくないので、全体的に見て韓国経済は厳しい状況なので、韓国政府としては不動産で足を引っ張って欲しくないというのは本音なんだろうね。
コメント
こんにちは。
言える事は、
「沈没するならご自由に、でもこっち見んな。こっち来んな」
だけですね。
……政治家のバカ共が手をのばそうとするから、片っ端からその手を切り落とさないと……
※ホワイト国待遇の再度破棄も議題に上がっているらしいですが、さてはて……やるならさっさと「り地域」固定にして欲しい。
こんにちは。
韓国の建設業界は不動産業の沈没に相まってヤバイそうですな。
問題は、これの対策がなんらやられていないということで、困った話になるのは大統領選挙後だと思いますよ。