うわー、コレは凄いな。
ハビエル・ミレイ政権は最初の大統領令で始まる
2023/12/11 12時40分
アルゼンチンの新政府は、内閣の劇的な修正を含むハビエル・ミレイ新大統領の最初の政令を発表した。
ラ・リベルタード・アヴァンツァ新政権が発行した官報の初版では、新国家元首が署名した13の政令が公表された。
Buenos Aires Timesより
ミレイ氏が大統領になるにあたって、色々なハレーションが起こるんだろうなとは思ったけれど、最初から飛ばしているなぁ。
アルゼンチンのトランプは初手から大暴れ
省庁改編
「中央銀行の廃止」などセンセーショナルな公約を訴えてアルゼンチン大統領に当選したミレイ氏のことに言及したのは11月下旬の話であった。
まあ、驚くべきニュースではあったが、流石に中央銀行の廃止をいきなりやるとは思っていなかった。
思っていなかったが、省庁再編をいきなりやるとは思っていなかったよ。
これらの文書の 1 つは必要緊急政令 (DNU) 8/2023 であり、これにより既存の 19 省庁が 9 省庁に減ります。内務省、外務省、国際貿易・関税省、国防省、経済省、社会基盤省、司法省、治安省、保健省、人的資源省である。
Buenos Aires Timesより
列挙されているのは残った省なのかな?10ある様に思うんだけど。
政府閣僚の任命も確認された:ニコラス・ポッセ(内閣官房長官)、ギレルモ・フランコス(内務)、ダイアナ・モンディーノ(外務)、ルイス・ペトリ(国防)、ルイス・カプート(経済)、パトリシア・ブルリッチ(安全保障)、マリオ・ルッソ(保健) )、マリアーノ・クネオ・リバロナ氏(司法)、ギレルモ・フェラーロ氏(社会基盤)、サンドラ・ペットヴェロ氏(人的資本)。
Buenos Aires Timesより
うーん?
- 内務省:ギレルモ・フランコス氏
- 外務省:ダイアナ・モンディーノ氏
- 国防省:ルイス・ペトリ氏
- 経済省:ルイス・カプート氏
- 社会基盤省:ギレルモ・フェラーロ氏
- 司法省:マリアーノ・クネオ・リバロナ氏
- 治安省:パトリシア・ブルリッチ氏
- 保健省:マリオ・ルッソ氏
- 人的資源省:サンドラ・ペットヴェロ氏
国際貿易・関税省がないな……。
人的資本省
なお、多くの省庁を吸収したのは人的資本省と呼ばれる組織のようだ。
人的資本省の新設は、ミレイ大統領による最初の大きな動きのひとつである。彼の盟友であるサンドラ・ビビアナ・ペトベロが率いるこのポートフォリオは、女性・ジェンダー・多様性省の廃止によって創設された。
「女性・ジェンダー・ダイバーシティ省が引き受ける公約と義務は、現在までに有効な予算クレジット、組織単位、資産、職員の地位や寄付金が移管されるものとみなされ、人類首都省が担当することになる。対応する構造物が承認される」と月曜日に発表された法令には書かれている。
このポートフォリオには、前政権の教育、文化、労働、社会開発省も吸収されることになる。
Buenos Aires Timesより
なるほど、女性、ジェンダー、多様性省という何をやっているか良く分からない省を統合したのね。
この省庁改編が成功するかどうかという話はなかなか難しいところだが、簡単に統廃合することが正しいのか?に関しては、日本の省庁などを見ると、仕事をアホほど抱えて動けなくなっているところなどもあるので何とも言えない。
ただ、任せられるのであれば民間に仕事を任せるというのは、思い切った決断であるし、小さな政府を目指すのであれば、一旦は整理した方が良いようにも思う。
注目していきたいところだ。
インフレ率は上がった
ただ、社会的にはあまり歓迎されていない模様。
ミレイ時代の始まりでアルゼンチンの月間インフレ率は12%に急上昇
2023 年 12 月 12 日12:31 AM
アルゼンチンの消費者物価は11月だけで約12%上昇した可能性が高いとロイターのアナリスト調査が月曜日に示した。これは自由主義者のハビエル・ミレイ新大統領政権下で初の月次インフレ統計となる。
日曜日に新政権樹立を宣言したこの南米の国は、すでに143%という3桁の年間インフレと闘っており、急速に上昇している。ミレイ氏はインフレ抑制に向けて「徹底的に戦う」と述べた。
ロイターより
これから安定的な手腕を発揮できれば、市場も落ち着くとは思う。

ただ、そう簡単にアルゼンチン経済が信用はされないようで、経済面でこそミレイ氏の手腕が期待されるところだと思う。
相変わらず、壮大な社会実験をやりたがるお国柄である。
追記
凄いな!
アルゼンチン、通貨ペソ54%切り下げ-経済危機に「ショック療法」
2023年12月13日 7:26 JST 更新日時 2023年12月13日 10:26 JST
アルゼンチンのカプト経済相は12日、通貨ペソの公定為替レートの54%切り下げを発表した。新レートは1ドル=800ペソとなる。深刻なインフレに見舞われる経済危機を乗り切るため、ミレイ新政権が導入する「ショック療法」の第1弾と位置付けられる。
Bloombergより
通貨の切り下げというのはなかなかお目にかかれない「ショック療法」なんだけど、その効果もかなり衝撃的である。
通貨ペソは発表前の1ドル=366.5ペソから対ドルでの価値が半分以下になる。決定を直接知る政府高官が明らかにしたところでは、アルゼンチン中央銀行は為替相場を小刻みに調整するクローリングペッグ制度を導入し、通貨ペソの毎月2%の切り下げを目指す方針という。
Bloombergより
対ドルで1ドル=800ペソか。ペソの価値は半分以下になることで何が起きるのかと言えば、一応はインフレ対策ということになる。ただ、この手法は頻繁には使えない。国内の富裕層から大きな反感を買うからである。
とはいえ、既に重病人であるアルゼンチンにとって、このショック療法は有効に機能する可能性は高い。
国際通貨基金(IMF)のジュリー・コザック報道官は「思い切った初期段階の行動」と称賛し、「一連の措置の断行は経済の安定に寄与し、より持続可能で民間セクター主導の成長の基礎になる」と歓迎した。
Bloombergより
政府から「インフレを放置しない」という強いメッセージが出されることは、大きな意味がある。少なくとも市場安定化に寄与していく「可能性」がある。継続的に政府が関与していくという意志を見せなければならないが、おそらくは混乱を来すのでは無く、事態収拾に向かう一手となるだろう。
あと、考え得るのはデノミネーションなのだが、これまた難しい経済政策になるんだよね。
アルゼンチンが2000ペソ紙幣発行へ、価値はわずか5ドル
2023/02/03
世界最高水準のインフレに悩むアルゼンチンが新たに2000ペソ紙幣を発行する。中銀が声明で明らかにした。最高額面がこれまでの2倍になるが、公式市場での価値は11ドル、非公式市場では5ドルにとどまるという。
News Picupより
今年の2月の記事がコレなんだけど、現在では11ドルは公式レートで8,800ペソに相当するので、既に4倍になっているね。公式レートと非公式レートの乖離も激しくなっているので、現在の非公式レートがどうなっているのかは知らないが、何れにしてもペソが紙くずになりつつある。
流石に不便なので、デノミネーションを実施すると思うんだけど、2桁くらいは落とさないと都合が悪そうだ。
当然、社会的には混乱するので、インフレ傾向にブレーキがかからないと容易に実行できない手段ではある。皆さんはジンバブエの例を知っているので、問題があることは容易に想像つくだろうが。
コメント
初手からそう来ますか……それだけ追い詰められているのでせう。整理して地ならししないと始まらないと。
ある意味これ革命ですなぁ。革命というのは物理的、あるいは比喩的にも流血が伴うもので、激震は仕方ない。
とはいえ手術成功、患者は死亡にならなきゃ良いけれど。
まあ、これは「他の国のこと」で、「日本がアルゼンチンになるー!」とか寝言を言う人もいますけど、生暖かく見守る事案です。
選挙で選ばれた大統領の政策ですから、アルゼンチンの選択ですしね。
中央銀行廃止じゃなくて、インフレ退治が最初の仕事だね。
インフレ退治は、中央銀行の仕事だからね。
大丈夫かね…
あの国は、水資源や農産物が豊富で割と豊かなずなんだけどね。
南米のギリシアだね。国民の気質もよく似ている。
本来は、インフレ退治のために中央銀行こそが働くべきなんですよね。
ですがコレが機能していない。だから、大統領になって「俺が中央銀行だ!」とやりたいのではないかと思います。
アルゼンチンは地下資源も豊かだし、農産物も水資源にも困らないハズなんですが、どうしてああなっちゃいますかね。
こんにちは。
この、豪腕を振るえるところが、大統領制の強みですね。
良くも悪くも。>隣を見ながら。
内閣制の総理大臣にはそんな権限無いし。
良く言えば「呉越同舟」<マテ、悪く言えば「船頭多くして船山を登る」「会議は踊る」ですからね。
まあ、豪腕は、そのあとの揺り戻しも怖いのですが。
そこまでに至る、数年あるいは数十年に渡って積み上げたものを、跳び蹴り一発で崩すのですから。
山津波をどう切り抜けるか。手腕をごろうじろ、と言ったところでしょうか。
こんにちは。
まあ、賢いトップからの明確な指示をしっかりと伝達できる構造になっていれば、それなりに回っていきますからね。
それに比べて我が国は……。
アルゼンチンのケースは眺めていて興味深いので、ありがたいネタが登場した、と思っていますけど。