まあそうなるよね。
パナソニック、空調生産で「脱中国」 大部分を国内移管
2023/7/19 18:48
パナソニックホールディングス(HD)は19日、日本国内で販売するビル用エアコンの生産の大部分を海外から大泉工場(群馬県大泉町)に移管すると発表した。これまで中国・大連を中心に約9割を海外で生産していたが、地政学リスクへの対応や生産リードタイム(所要時間)短縮のため国内回帰を決めた。同社は6月に家庭用エアコン生産の国内回帰を発表しており、生産拠点の中国依存からの脱却を進めている。
産経新聞より
不要なチャイナリスクを背負えないというのが、日本企業のスタンスになりつつある。
逃げ遅れた企業は大変だねぇ
円安の影響も強い
支那のマーケットはそれなりに大きいので、完全に撤退するというのは難しいのだろう。けれど、円安状況を考えても国内回帰した方がメリットが大きいことは誰が考えても明らかだ。
ドル・円は139円台半ば、植田日銀総裁発言で政策修正観測弱まる
2023年7月19日 7:25 JST 更新日時 2023年7月19日 15:12 JST
19日の東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=139円台半ばに上昇。18日の海外時間に日本銀行の植田和男総裁が金融緩和維持の姿勢を示したことから、27、28日に開かれる金融政策決定会合での政策修正観測が後退した。
Bloombergより


ここのところは1ドル140円前後。今後、アメリカの状況が落ち着いてきているので少し上げる可能性はあるけれども、当面はこの水準が続くだろうと思われる。
同社設備ソリューションズ事業部の池田博郎事業部長は「部材高騰に加えて、日本に輸入する際の円安による損失が大きかった」と理由を説明。
産経新聞より
そして、材料費の高騰も企業には大きな影響がある。
国内回帰によるメリット
一番大きいのは、リードタイムの短縮だろう。
生産移管によって大連での生産はなくなり、ビル用エアコンの9割以上を大泉工場で生産する。移管のための投資額は約20億円で、来年3月末に完了する。生産リードタイムは3分の2に短縮される見込み。
産経新聞より
国内生産をして何が良いかって、生産にかかる時間が短くできることだ。海外で生産した場合にネックになるのが輸送時間と輸送コストである。
支那で作ると人件費が安いとはいっても、昨今では、支那での人件費は高くなりつつある。何より、生産品質が安定しない問題があって、作り直しのコストを乗せる必要がある。更に、港で足止めされるようなケースがそれなりにあることも、リスクとして考慮する必要がある。
そういった部分をカットできることが、国内生産のメリットである。
日本国内で生産するのに、日本人のきまじめさや器用さを期待することは難しくなってきているが、長期的に技術者を育てていくことを考えているのであれば、国内工場を作る意味はある。
ビル向けなどの業務用空調は生産の自動化率が低く、手作業による高度な技術が必要なことから、いまだに「職人の領域」とされ、国内回帰で熟練工を育てる狙いもある。
産経新聞より
ただ、労働者を確保するのは案外難しいんだけどね。
国内工場に投資する
しかし、それでも国内向けエアコンの国産比率を高めることで、企業の経営基盤の安定化を図る事が出来ることは大きい。
パナソニック、エアコン国内生産回帰 草津工場に100億円
2023年6月22日 19:00
パナソニックは22日、家庭用エアコンの国内生産を増やすと発表した。滋賀県草津市の工場などに100億円を投じて生産ラインを増強、中国でつくっている一部の国内向けエアコンの生産を国内工場に移す。2023年度から順次移管し、24年度にも国内向けエアコンに占める国産比率を現在の1割から4割に引き上げる。
日本経済新聞より
何しろ、国内工場であれば政治的要因で生産がストップする心配はしなくて良いし、自然災害などもある程度は予測が可能である。
支那の洪水は規模が大きくて対処が難しいからねぇ。
新型コロナウイルス禍や半導体不足などでサプライチェーン(供給網)が混乱したことを踏まえ、短い期間でエアコンを納品できる体制を整える狙い。パナソニックの社内カンパニー「空質空調社」の道浦正治社長は「『ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)』など市場の変化に対応しやすくしていく」と話した。
日本経済新聞より
価格の面よりも安定供給というセールスポイントを上げられるわけだ。正直、チャイナリスクで製造業に対する信頼はかなり低下した。納期の面では相当ダメージを受けたと言って良いだろう。
同社は家庭用ルームエアコンについても、省エネ性能が高い高級、中級モデルの生産を令和6年度までに草津工場(滋賀県草津市)に移管すると6月に発表している。投資額は約100億円で、部品の共通化や生産工程へのロボット導入による自動化を同時に進め、生産リードタイムを4分の1に短縮して約40億円の収益改善を見込んでいる。
産経新聞より
この目論見が何処まで上手くいくかは分からないが、家庭用のルームエアコンの製造もある程度国内で出来るようになることは、メリットが大きいのではないか。
岸田政権の政策
実は政府主導の取り組み
さて、こうした動き、実は民間だけの努力と言うことではないのである。「何もやっていないのでは」と思われる岸田政権だが、画期的な取り組みを幾つか行っているのは事実だ。その1つが製造業の国内回帰政策である。
補助金を出して、国内回帰の後押しをしているのである。
(1)生産拠点の国内回帰や多元化支援
新型コロナの感染拡大によってマスクなどの衛生用品を含めた日本のサプライチェーンの脆弱性が顕在化したことを踏まえ、政府は複数年にわたる取り組みにより、国内回帰や多元化を通じた強固なサプライチェーンの構築を支援するとしています。具体的な政策としては、経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」が挙げられます。一国への依存度が高い製品・部素材について、生産拠点の国内回帰を補助する内容となっています。また、同省の「海外サプライチェーン多元化等支援事業」でも、日本への製品・部素材の供給を目的とする海外製造拠点の複線化などに向けた取り組みを支援しています(図表4)。
JETROより
もうちょっと積極的に推進して欲しいところではあるが、これを利用して国内に工場を移管する企業は実は少なくない。
KYB、車部品生産国内回帰
2023年2月21日 2:00
自動車部品大手が生産や設計を海外から国内に戻す。油圧機器大手のカヤバ(KYB)は一部の足回り部品の生産を北米から日本に移す。車載メーターを手がける日本精機はソフト設計機能の日本への移管を始めた。新型コロナウイルス禍による混乱や地政学リスクの高まりを受け、製造業では安定的な供給網構築が急務だ。人件費などのコストが相対的に低い日本に生産などの機能を回帰させる動きが広がってきた。
日本経済新聞より
予定通りに製品を生産できないというのは、企業にとっては思った以上に大きなコストを支払わされることなのである。

国内回帰してバラ色の未来!というところまでは行かないが、それでも働き口が増えることは喜ばしいことである。そして、岸田政権も「仕事をしているんだ」という一端を紹介したわけだが……、今の岸田叩きが加速している背景には、アレな政策を推進しているだけではなく、支那にとって不都合な政策を進めていることに対する工作という側面もあるんだろうという話である。
コメント
岸田さんが製造業の国内回帰を進めている理由が、
国益のため、ではなく、自己の利益のためとか、
「某国人が(両親を含めた)家族を帯同して来日して働ける場所を広げる」でないことを祈りたいです。
親族が「外国人への就労斡旋」の会社をやっていると聞いた気がしますし、
最近(私の勘違いならいいけれど)「家族の帯同」が単純労働者にも解禁されたんですよね?
生産労働年齢一人(夫婦で数えれば二人)呼ぶために、ジジババ四人を入国させる、とかあったら恐ろしいです。
そこはまさにご指摘の通りでありまして。
勘違いでなく、特定技術2号の範囲拡大が決まっております。家族帯同可能で永住可能という、事実上の移民政策なんですが。
ただ、これも単純に反対しただけで成立するのか?という事まで考えねばならない話ではありまして。
その辺りはまさにこれからの課題でありまして、現状だと、配偶者と子供だけという縛りがありますが、将来的には分かりません(現在は該当者11名だけらしいですが)。
何より、転籍可能ということならば、一体何のために専門性の高い分野での人材を受け容れるという縛りになっているのか分かりません。
この「配偶者」ですが、ちゃんと「1名のみ」というルールがあるんでしょうね?
確かドイツで、イスラム教徒の「第二夫人」の入国でもめていましたよね?
日本は、自分の常識で考えて悪用を防ぐ縛りを入れないことが多いように思えるので。
ご心配の通りココはどうやら縛りがないらしいのですよ。
恐らくは設計されていないのでしょうね。そして、子供の方は人数制限はありません。
確か、子供手当を外国送金することが可能であった時代に、養子が100人以上(554人)いたという特殊なケースがありましたが、流石に受付の段階で拒否されたのだとか。
https://www.nikkei.com/article/DGXNSSXKG0087_U0A420C1000000/
しかし恐らくこうした事例は氷山の一角でしょう。悪用しようとすればいくらでも……。
そのうち、トランス女性と結婚したという悪質なケースも出てくるでしょうねぇ。