ん?本当に?
中国国家統計局「中国経済でデフレは起きていない」
4/19(水) 17:32配信
中国国家統計局の報道官で国民経済総合統計司の付凌暉司長は18日の記者会見で、「総じて見ると、中国経済で現在、デフレは起きておらず、次の段階でも起きないだろう」と述べました。
Yahoo!ニュースより
デフレは起きていない、ね。
不透明感を増す支那経済
経済好調
ここのところのニュースで、支那経済が好調だというようなニュースを見かけるようになった。
中国経済、1~3月は4.5%成長と予想上回る-個人消費けん引
2023年4月18日 11:13 JST 更新日時 2023年4月18日 14:39 JST
中国経済は1-3月(第1四半期)に予想を上回る伸びを示した。個人消費の増加や生産の回復がけん引役となり、景気の持ち直しが軌道に乗っていることを示唆した。
Bloombergより
個人消費が伸びているらしいね。
しかしそれは、春節の効果があっただけなのでは?と疑ってしまう。
万里の長城は人の波 観光地にぎわう中国、経済回復続く?リスクは?
2023年4月18日 21時00分
厳しい移動制限などを伴うゼロコロナ政策が終わった中国では、経済回復が徐々に広がっている。特に影響を受けていた飲食や旅行などは勢いを取り戻しつつあり、観光地はにぎわいを見せる。習近平政権は楽観を強調するが、経済回復にはリスクも見え隠れする。
朝日新聞より
経済回復のエンジンを吹かすために、春節の時期には「ゼロコロナ政策」の終了を宣言して国内旅行を推奨した。それが数字に現れたという見方は穿ち過ぎかな。
青年失業率は過去最高
声を大にして「景気回復」と宣伝している一方で、不安な数字も見え隠れする。
中国、1-3月期GDP成長率4.5%…青年失業率19.6%で過去最高値
4/18(火) 16:00配信
「ゼロコロナ」防疫を終了させた中国が今年1-3月期国内総生産(GDP)成長率4.5%を記録した。中国国家統計局は18日、中国の1-3月期GDPが昨年同期比4.5%増となる28兆4997億人民元(約557兆円)を記録したと発表した。
~~略~~
ただし3月の青年失業率(16~24歳)が史上最高値の19.6%を記録し、社会不安要因に浮上している。中国の青年失業率は昨年は16.7%、2021年は14.3%を記録した。青年失業率19.6%は上海封鎖が行われた昨年上半期(1~6月)の過去最高値19.3%よりも0.3%ポイント増加した数値だ。
Yahoo!ニュースより
どうして青年失業率が上がっちゃったんですかねぇ。
しかし、問題はそれだけではない。その一つは、若年労働力の供給圧力の高まりという供給側の問題である。日本の文科省に相当する教育部によれば、2022年の短期大学と大学院を含む大卒は前年比167万人増の1,076万人と、初めて1,000万人の大台を超えた。2022年は新型コロナの感染拡大にこうした事情が加わり、若年失業率の上昇に拍車がかかった。大卒の4分の1がIT業界への就職を希望しているが、同業界は習近平政権が掲げた「共同富裕」に伴う規制強化によって業績が悪化し、人員削減を進めているというミスマッチの問題も大きい。
もう一つは、若年層の就業環境が不安定で、解雇されやすいことである。中国では、解雇は勤続年数に応じた補償金の支払いが義務化されているため、そのしわ寄せが若年層に集中する。ある人材会社がインターネットを通じてIT業界の人員削減の状況を調査したところ、解雇の対象となっているのは主に入社年次3年未満の若年層である。若年層は採用されにくいと同時に解雇もされやすい脆弱な存在である裏返しとして、25~59歳の失業率が低位で安定しているのである。
日本総研のサイトより
どうやら、支那の構造的な問題があって、青年失業率が上がりやすいからそれが表面化したのだということらしい。
しかし、若年層の失業率が高いということは、将来的に爆弾を抱えることになる。まさにこれから社会を支えていく層の就業が不安定だと、少子化に拍車がかかるなどの影響が出ていくだろう。
長期的にみても、供給過剰が緩和される見込みは薄い。国連の「世界人口推計2022年版」によれば、16~24歳の人口は2007年から減少し、2022年に1億4,439万人となる減少局面にあったものの、それを底に2033年まで増え続ける局面に入る。中国は、早ければ2022年に人口減少社会に転じるが、若年失業率は低下に向かうどころか、今後10年にわたり高止まりの状態が続くとみておく必要がある。
日本総研のサイトより
更に、この傾向は今後10年にわたって高止まりするのだということにようだ。
デフレでなければインフレなのか
そうした状況にあって「デフレ」ではないという。では、どんな状況なのか。
中国のインフレ伸び悩み、世界の物価圧力緩和に寄与
2023年3月9日 10:59 JST 更新日時 2023年3月9日 14:40 JST
中国の消費者物価上昇率が2月に大きく鈍化し、生産者物価は引き続きマイナスとなった。食品や商品価格の落ち着きが背景にある。中国の経済活動再開が世界的なインフレ圧力増大につながらない可能性を示唆している。
Bloombergより
物価上昇が鈍化、というのだから、物価上昇局面ではあるようだ。ただ、支那としては国内でインフレが進んでも困る。
中国第4四半期の求人の全国平均賃金は20万円 前期比で3.8%上昇
2023年01月04日15:50
求人サイトの智聯招聘がこのほど発表した「中国企業求人の賃金報告」によると、2022年第4四半期(10-12月)における求人の全国平均賃金は月収ベース(以下同)で1万558元(1元は約19.0円)となり、上昇率は前年同期比では低下し、前期比では上昇した。中新経緯が伝えた。
人民網より
給料は上がりつつあるらしく、支那の価格優位を全面に出した貿易戦略は成り立たなくなっている。大量生産した製品を売りまくるというやり方はこれまでは非常に有用だったのだが、労働者の賃金が上がってしまうとそれも成り立たなくなる。
中央政府はそのことを理解した上で、薄利多売方針から技術力を高めて先端技術を独占する方針を打ち出しているのだが、それにアメリカが猛反発をしている真っ最中だ。それが半導体戦争に発展している。
地方政府も随分と酷いことになっていることは先日伝えた通りだが、中央政府は巨額の負債をなんとか誤魔化しつつ、デフレに陥らずかといってインフレが過熱しないように経済をコントロールしていかねばならないジレンマを抱えている。
ハードカレンシー化を狙っていた人民元だが
さて、経済をコントロールする上で必要なのは通貨発行権の適切な行使なのだが、支那経済が巨大化してグローバルな環境に晒されると、ドルベースの決済というのは都合が悪いことが多い。
人民元の決済シェア、2月も世界5位を維持
2023年3月27日 13:22
世界の銀行の送金システムを運営する国際銀行間通信協会(SWIFT)が発表した2月の月次報告とデータ統計によると、国際決済に占める人民元のシェアは2・2%で、世界5位を維持した。
上位4位はドル(41・1%)、ユーロ(36・4%)、ポンド(6・6%)、円(3・0%)の順となった。人民元建て決済額は前月に比べ7・5%増加したが、全通貨の決済額は6・5%減少した。ユーロ圏を除いた地域での人民元のシェアは1・5%で8位だった。
AFPより
一時期は円を抜いて人民元が決済シェア4位になっていたのだが、ここのところ決済額を減らしている。GDPは世界2位で日本の2.7倍の規模二まで経済規模が育ったのに、人民元での決済は積極的に増やしたくはないようだ。

ハードカレンシー化を狙って動いていた時期もあったのだが。
こうした経験を踏まえ、中国は、2009年より経常取引を皮切りに人民元を国際的に利用される通貨に変えていく方向に舵を切りました。まず、国際金融センターとして高度に発達を遂げていた香港の機能を最大限に活用してオフショア市場での人民元流通促進に力を入れ、それと共に世界各国と二国間スワップ協定を締結して公的セクターにおける人民元保有促進やプレゼンス向上を図りました。他方、国内金融改革や国境を跨ぐ資本取引については引き続き急激な変化を避けて一歩一歩着実に規制緩和や自由化を進める道を選びました。
このような人民元国際化の努力の結果、2015年11月に人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引出権(Special Drawing Rights, SDR)の構成通貨になることが決まりました。SDR構成通貨は、長らく米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドの4通貨でしたが、2016年10月からこれに人民元が加わります。これにより人民元の国際的なステータスは向上し、世界の公的セクターで準備通貨として採用される機会が増えると見られます。
国際通貨研究所のサイトより
どういうわけか、この努力も積極的に続けようという感じではなくなってきている。
しかしながら、人民元は今のところグローバル企業や金融機関からハードカレンシーとして認められる通貨にはなっていません。今後、人民元が真の意味で国際通貨となるためには、国際金融市場において人民元がもっと頻繁に利用され、元建て取引が活発化する必要があります。そのためにはオフショア市場での流通促進や公的部門のステータス向上だけでは不十分であり、国内金融市場の更なる改革と国境を跨ぐ資本取引の規制緩和が必要となります。国際金融の世界において中国がその経済規模に見合うステータスを手に入れるためには今後も着実な改革を積み重ねていくことが不可欠です。
国際通貨研究所のサイトより
この記事でも言及があるのだが、人民元の国際的な利用機会を増やすと言うことはすなわち、人民元のコントロールが難しくなることを意味する。支那共産党が独裁体制を維持するためには、コントローラブルな経済体制を死守することが必須であり、国境を跨ぐ資本取引の規制緩和などには耐えられないのだ。
見せかけだけのGDP数値
そう言ったわけで、「支那経済が好調」という報道が出ていてもにわかには信じ難い。

こんな記事が出て騒ぎになっているが、前々から支那のGDP数値は張りぼてである可能性が高いことは、多くの人々によって指摘されてきたことなので、GDPは当局発表の6割程度であったとしても驚きはしない。
GDPの数値が上がる理由は、経済活性化による商品取引量の増加の他にもインフレによる価格上昇分の反映の可能性があることは指摘するまでもないだろう。
特に、食料に関しては支那はアメリカからの輸入に頼る部分が大きく、アメリカは価格高騰によって少量価格が上がっている。加えて高関税をかけられているので、支那国内の食料品価格は上がっているはずなのだ。ドル高によってその影響は大きくなっている。
インフレは起きていないという説明ではあるが……。どうにも理に合わない状態になっていると思う。
今年の実質GDP成長率目標値は5%で、第一四半期は4.5%だと報じられた。
中国3月物価統計、CPI伸び鈍化・PPIは下落続く 需要低迷
2023年4月11日11:15 午前
中国国家統計局が11日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年比で1年半ぶりの低い伸びにとどまり、生産者物価指数(PPI)は下落率が拡大した。需要低迷が背景にあり、強弱まちまちの景気回復を支援するため政策当局者が一段の措置を取る可能性が高まっている。
~~略~~
CPIは前年比0.7%上昇した。伸び率は前月の1.0%から鈍化し、2021年9月以来の低水準となった。ロイターがまとめた市場予想は1.0%上昇だった。
ロイターより
ところがCPIは前年比0.7%増加という状況であった。
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住宅価格も下落を続けている。
食料品価格が恐らく高騰し、青年失業率は上がって消費者物価指数(CPI)も伸びていない。これが意味することは何か?というと、人民の可処分所得が減っていて、支那の国内経済は冷え込んでいる可能性が高いということになる。
デフレが進んでいる可能性は高そうなんだけど、それを認めていないだけということかも知れない。アメリカ経済は冷え込んできており、支那もまた怪しいとなると、経済減速の波は世界にも波及する可能性が高い。
国家統計局の発表する数字だけが好調、なんてことでなければ良いんだけどね。
追記
関連ニュースを見つけたので追記しておく。
中国の電子機器工場で「求人減少」の背景事情
2023/02/22 18:00
中国では元宵節(旧暦の1月15日。新暦では今年は2月5日)を過ぎると、春節(旧暦の正月)を故郷で過ごした出稼ぎ労働者が続々と都市部に戻り、働き口を探し始める。企業もそれに合わせて求人活動を行うが、今年は様子が違う。スマートフォンなどのエレクトロニクス製品やその部品を生産する工場の多くが、求人活動を早めに切り上げているのだ。
~~略~~
労働力需給の変化とともに、賃金水準も低下している。例えば電子機器の受託製造サービス大手、富士康科技集団(フォックスコン)の一般工員の時給は、ピーク時には30元(約579円)に達していた。それが直近では23~24元(約444~463円)で推移している。
徐氏の説明によれば、中小企業の賃金は大企業に「右へならえ」で上下動する。昨年の時給の相場は17~26元(約328~501円)だったが、今はそれが17~22元(約328~424円)下がっているという。
東洋経済より
全国平均賃金が上がっているというニュースがある一方で、地方の賃金が下がっているというニュースがでていた。この記事は地方とは言いつつ、華東地区(上海市、江蘇省、浙江省)、電子機器を作る工場でも求人が減っているのだとか。
その結果、時給が減っているらしい。
時給はフォックスコンで450円程度。中小企業ではそこから100円程度低い状況のようだ。青年失業率が下がっているという話とリンクしていると思う。募集が減っているのだからね。
格差が拡大しているというよりは、地域偏差が広がっているのだろうね。しかし、華東地区は未だマシで、もっと辺境に行くと更に酷い状況となっていることは想像に難くない。実際に、一部で11元ほどで働いていたという噂も聞いたので、農村などは悲惨なんだろうと思う。
コメント
おはようございます、
支那経済の減速は明らかで、春節後の景気動向は伏せられていましたが、
ここにきて確かに多くの指標が悪化していますね。
これで、1-3月のGDP+4.5%を誰も信じはしないでしょう。
電力消費量、鉄道貨物輸送量、鉄鋼需要量、銀行貸出額が軒並み振るいません。
国内経済が投資効率の低い内陸部側から軋み始めているようです。
また、急速な軍拡も傷んだ経済への貢献度は限定的です。
経済規模の大きさが、いまは裏目に出ているともいえそうです。
どうする近平!?
電力消費量や鉄道貨物輸送量辺りは、ある程度ごまかせるみたいですけど、鉄鋼需要量はなかなか不動産開発が振るわない現状では伸びないでしょうね。
銀行貸出額は、そうすると当然減ってくるわけですが……。
経済を計画的にコントロールしようというのがなかなか難しい話で、それを綱渡りのような感覚で進めていたのが、ついに立ち止まってしまったわけですから。
こんにちは。
夜間、衛星から見た街灯その他と経済指標の比較によると、中国経済は実際は発表の6割程度、なんて記事を先週末に見ました。
なかなか大胆な研究ですが、割と納得出来る部分もあるかと。
そんな国家の通貨が、しかも変動相場に対応してない(させてない)通貨がハードカレンシーなど、寝言にも程がありますね。
途中に引用したプレジデントオンラインの記事がそれ(6割)ですね。
見てくれだけを気にするのが統計局で、数字だけが一人歩きしますから、中身は相当痛んでいる可能性はありそうで、その結果が6割なんでしょうね。
経済が失速しているのは間違いなさそうですが。