この話は出た当時からかなり筋の悪い話であり、スキャンダルになることなく収束するのはほぼ確実だった。一体、これで騒いで立憲民主党は何が得たかったのか。
勝手ながら「小西文書」終了のお知らせ
2023/3/20 18:59
立憲民主党の小西洋之参院議員が公表した、放送法の「政治的公平」をめぐる総務省の行政文書問題は、参院予算委員会の議論を停滞させてきた。この話はもう終わりにすべきだ。
産経新聞より
産経新聞の記事ではあるが、チャンネル正論の動画を貼り付けて、「もうこれ、終わりにしようよ」という内容だった。
国会で議論する価値もない話
モリ・カケ・サクラ・コニ
国会で「何をやってるの」という話なんだが、スタート時点から筋の悪い話ではあった。
「内部文書」で高市氏らに攻勢 立民・小西氏
2023/3/3 19:56
立憲民主党は3日の参院予算委員会で、平成26~27年に当時の安倍晋三内閣が一部の民放番組を問題視、放送法に基づく政治的公平の「解釈変更」を試みたとされる問題に矛先を向けた。経緯を記した総務省の内部文書を入手したと主張する小西洋之参院議員が、岸田文雄首相や当時の総務相の高市早苗経済安全保障担当相らに攻勢をかけた。
「放送法の解釈が政治的な圧力でつくられることが認められていいのか」
小西氏は3日の質疑でこう首相に見解をただした。
産経新聞より
この話は、3月初めにすぐに片が付くと思っていたが、思ったよりも引っ張っている。おかげで、高市氏が手がけているセキュリティクリアランス関連の議論が止まってしまっている。
正直ウンザリなのだ。3月はほぼコレ一色で終わった。
既にこのブログで散々貶したが、モリカケサクラと同じ流れだからである。火のないところに火付けをして騒いで目立つ野党という構図になっている。
小西氏に何が主張されたのか
Twitterを見ていると、ちょっと、ネット依存症が疑われるほどTweetをしており、統合失調症が疑われるほど意見の変遷があるので、「何を主張したかったのか」は不明だ。だが、客観的に「何が主張された」のかは分かる。
その当時は、以下のような流れであったはずである。
- 総務省の行政文書だったとされる書面を示して、「放送法の解釈変更をした」と
- 当時、高市氏は安倍氏と電話で放送法の解釈変更について議論した
- 礒崎氏が暗躍して、放送法を歪めた
だから問題なのだ、と。
ちょっと何を言っているのか分からない。ちなみに、「行政文書」であったことは後に確認されたが、行政文書としては登録されておらず、官僚のメモ書き程度の文書で証拠能力に乏しいことが確認されている。
最近は、高市氏を辞職させれば終わりとか言っている。更に意味が分からない。
放送法の解釈変更は問題なのか
そもそも、放送法の解釈とは一体何なのか?と言うことなんだけど、これについては前回も言及している。
(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
放送法より
放送法4条のいわゆる「政治的公平性」というやつだ。
正直、僕はこの4条など削ってしまえば良いと思う。主観に基づいて報道する以上は、どうしたって意見の偏りは出るのだから、公平性など担保できないのだ。
だからこそ、これまでの政府見解では、「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」ということになっていた。ただ、高市氏が総務大臣の時に「一つの番組でも極端な場合は政治的公平を確保しているとは認められない」(平成27年5月)と発言して波紋を広げた。
この辺りの話を小西氏が蒸し返しているというのが、今回の小西文書事件の構図である。
前提をすっ飛ばすいつものやり口
しかし、この件については礒崎氏が説明しているのだが、高市氏の答弁の前提がある。
礒崎氏が呟いているが、要は選挙前や選挙中などセンシティブな時期に極端に偏った報道をされると困るから、そう言った番組は作るなよという、それだけの話である。
実に控えめで真っ当な話だ。
中身は、真っ当で、とても解釈変更が会ったとは言えない状況ではあるが、しかし、解釈変更が仮にあったにせよ、「一つの番組でも極端な場合は政治的公平性を確保しているとは認められない」というのが、「極端」の程度は問題とはなろうが、おかしな話ではない。
そもそも、「放送事業者の番組全体」って、いつからいつまでを区切って見るのか?という話もあるし、全てのテレビ番組を見ているわけではないが、概ね番組の内容は左寄り、反日寄りである。それこそ、極端に事実を歪めるようなおかしな番組1つを取り締まると言う方が現実的なのではないか。
で、それが出来ないのであれば、もう、放送法4条なんてなくしてしまえば良い。何しろ、実質的に守れていないのだから。特に、公共放送を自称するNHKが出来ていない。意味がないのだ。
質問するな
さて、この話の要旨は理解頂けたと思うが、最近になって、こんな報道があった。
高市早苗氏「質問するな」発言ようやく撤回…国会質疑での醜態が安倍元首相とダブる皮肉
3/20(月) 15:10配信
20日に一般質疑が行われた参院予算委員会。末松信介予算委員長(自民)は冒頭、15日に高市早苗経済安全保障担当相が放送法の政治的公平性をめぐる質疑で、「私が信用できないなら、もう質問しないでほしい」と答弁したことに関し、「誠に遺憾で、この場で注意する」と発言。これを受け、高市氏は「重く受け止める」「答弁拒否と受け止められることは本意ではない」などと釈明したものの、野党が求めていた謝罪や発言の撤回には応じず、午前の委員会は一時中断(休憩)となった。
Yahooニュースより
このニュース、この時の一連の答弁を聞いていれば、誰でも高市氏の主張が正しい事が分かるのだが、予算委員長をやっている末松氏は「注意」を出している。全く公平性に欠ける話だが、自民党内部でも高市氏を攻撃する、「出る杭は打つ」派がいるようだ。
正直、末松なる人物は全く信用できない。公開の場で説教をかましてくれたが、その内容は聞いてもさっぱり意味が分からなかった。
加えて、この日刊ゲンダイソースのニュースは、辻元氏を持ち上げてみたり、末松氏を持ち上げてみたりと、全く話にならない内容である。
そもそも、この「質問するな」という下りだが、立憲民主党の杉尾氏に「オマエの答弁は信頼できない」と噛みつかれて、その返しに答弁した話。
杉尾氏は、高市氏が当初、文書について「捏造(ねつぞう)」と述べた発言が、変わってきていると指摘。「大臣の発言を証明するものはまったくない。総務省には文書が残っていて、その文書に沿う答弁をしているが、高市大臣が言っていることは全く根拠がない中で、ずるずる変わっていっている」「全く信用できません。あなたの答弁は」と指摘した。
これを受け高市氏は、不機嫌そうな声色で「私が信用できないならもう質問はなさらないでください」と発言。杉尾氏は「いやいや、この問題の発端は、最初に小西議員&fr=link_kw_nws_direct)が示した内容について(高市氏が)捏造と言い切ったことだ。これが事実なら大臣どころか議員を辞めると。なんで今になって答弁拒否をするのか」と批判した。
Yahooニュースより
答弁を求めておいて、答弁したら信用できないとか、馬鹿じゃないの?そりゃ、「信頼できないなら質問するな」と言いたくなるよ。大体、答弁拒否をしたのではなく、その後も答弁をしている。答弁を端から否定するなというだけの話である。
文書原案という不可思議な話
これも高市氏が謝る筋の話ではないのだが、結果的に審議が止まってしまったので、「質問するな」と言ったことを取り消しただけ。
総務省「文書原案を作成」と報告 高市氏否定、放送法巡り
3/22(水) 13:23配信
総務省は22日の参院予算委員会理事懇談会で、担当局長が2015年2月に当時総務相を務めていた高市早苗経済安全保障担当相に対し、放送法の政治的公平の解釈などを説明したと記された行政文書を巡り、関係した職員の1人が「原案を作成した認識はある」と説明しているとの調査結果を報告した。一方、高市氏は「内容が正確ではなく、信頼に足る文書ではない」と全面否定する書面を提出した。見解の食い違いが一層鮮明になった。
Yahooニュースより
だいたい、行政文書の「原案」を作成って、意味が分からない。
放送法文書、文書管理簿に不記載 疑惑さらに深まる「総務省は経緯の説明を」
3/17(金) 17:00配信
高市早苗経済安全保障相に関する記述が登場する、放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書が、不適切に管理されていたことが分かった。公文書管理法で定められた「行政文書ファイル管理簿」への記載がなかったのだ。関係者が懲戒処分などの対象になる可能性がある。作成者が不明で、高市氏は「(内容が)捏造(ねつぞう)だ」と主張している今回の行政文書だが、疑問・疑惑がさらに深まった。
Yahooニュースより
官僚が情報を共有する為に作った文書であれば、どんな内容でも「行政文書」になってしまうのだが、問題の行政文書は行政文書を管理する為に定められた公文書管理法で定めた管理簿への記載がなかったという。
これだけでも文書の素性の悪さが際立つが、その「原案」を作成した人がいるという。「原案」って何よ。結局、件の行政文書は「原案」から上司の手が入れられて「作成」され、筋が悪いので管理簿に登録されなかった程度の代物だったと言うことである。
その信頼性を前提に、小西氏は噛みついているのだが、その信頼性を根底から揺るがす話が出た時点で、この話はオシマイである。
レクがあったかなかったかはさほど問題ではない
高市氏が否定しているモノの、大臣レクは日常的に行われているので、何かに紛れてレクがなされた可能性というのはあると思う。
ただ、その内容が正確かどうか、と言う問題は残る。で、問題とされる文章の一部がこちら。

この2月13日の文章だが、6人の参加者がいて「レク」が行われているとし、その文章は官僚の西潟氏が作成している。
その調査結果について、こちらの内容が問題となる。

調査結果から、「放送法の解釈の変更をするという説明を行ったという認識を示す者はいなかった」という事が分かっている。
小西氏の主張の前提がここで崩れてしまう。解釈変更は行われていないのだ。
総務相、文書登場の3人に捏造の認識なし
2023年3月20日 掲載
松本剛明総務相は20日の参院予算委員会で、総務省文書に記された高市早苗経済安全保障担当相への放送法に関する担当局長の説明について、文書に登場する3人が「捏造の認識はなかった」と説明していると明らかにした。
秋田魁新報より
ここで言う文書登場の3人とは、「捏造の認識がない」といった事から、立場的に文書作成に携わった西潟氏本人と、その上司である安藤局長、長塩放送行政課長だと考えられる。文章を読んでいただければ分かるが、高市氏を始め、平川参事官、松井秘書官は文書を確認していないのだから、そうなる。
ただ、答弁から文書の修正(書き直し)はなされたことが確認されている。
こうした情報から読み取れることは、「原案」が作られ、西潟氏は「捏造」を否定したが、上司二人は「捏造」は否定したが「修正」は否定をしていない。しかし、「捏造」を否定する西潟氏の書いたメモが正しければ、修正する必要はないのだ。調査結果にも「上司の関与を経て」と書かれている。そもそも、単なるメモなのだから、修正が入ること自体が不可思議だ。
一般的な企業で、お客様との会議で打ち合わせメモ(議事録)が作られ、その内容について上司に確認をとることはある。その際に、内容の抜けがあれば追記される可能性はあるが、大抵の場合は覚え書き扱いなので、修正されるなんてことにはならない。そして、議事録の「原案を作る」などという表現が出る余地はない。
「原案」からどう変わったか、は不明ではあるが、最終的には「関与」によって、変わってしまった結果が出来上がったということになる。
誰かが嘘をついている!ということだね。
何が大切なのか
現在、高市氏はこの問題で仕事を停止せざるを得ず、総務省の仕事も余計な調査を押しつけられてタスクが増えている状況にある。
そして、上で説明した通りに、小西氏の示した文書の中身において、故安倍氏や高市氏、礒崎氏が何か犯罪に荷担した証拠が書かれているようには読めない。
放送法の解釈変更は行われておらず、仮に行われたところで違法性が出てくる話でもない。報の枠内で解釈が行われているのだから、違法性が出るはずもないのだ。つまり、小西文書の中身が正しかろうと間違っていようと、違法性が出てくる話ではないのだ。
一方で、行政文書の漏洩は公務員法に抵触する可能性がある。この文書を持ち出した人間と、受け取って暴露してしまった小西氏は、犯罪を構成する可能性がある。
更に、行政文書の書き換えがあったとすれば、それは公文書の改竄ということになって犯罪を構成する可能性がある。
仮に、文書によって何らかの犯罪を構成したことが明らかになれば、小西氏は公益通報者という立場を得られる可能性はあるが、その場合もTwitterで暴れていることで名誉毀損などの罪に問われる可能性が残されていて、どっちに転んでも小西氏は立場が危うい。
ただ、この件で小西氏がどうなろうが知ったことではないし、総務省の体質についての改善は総務省の問題として粛々と対応してくれれば良い話である。
それよりも、無駄な議論で予算委員会を空転させることの方が、国益に資する話ではないので、いい加減この話は打ち切るべきである。
追記
この記事に追記するとは思っていなかったけれど、ちょっと面白かったので。
高市早苗氏、総務省文書は「怪文書の類い」 放送法巡り
2023年3月28日 10:46 (2023年3月28日 14:36更新)
高市早苗経済安全保障相は28日の参院予算委員会で、放送法の政治的公平に関する総務省の行政文書に関し「怪文書の類いだ」と指摘した。「事実と異なる内容を入れられている。作成者、配布先、作成目的も不明だ」と強調した。
日本経済新聞より
まー、小西文書ではなくて怪文書になっちゃいましたな。
確かに、おかしな内容なんだけど、これでも行政文書なんだよね。怪文書が行政文書として残ってしまうあたりが問題だろう。
予算委で「捏造」との表現をめぐり「かなり配慮したつもりだ」と述べ、撤回しない考えを改めて示した。「刑法で使う偽造や変造という言葉は当時の職員に厳しすぎると考え、一般的な用語を使った」と説明した。
野党の閣僚辞任要求も拒否した。「何らやましいこともないのに閣僚の職を辞するということはない」と言明した。
日本経済新聞より
内容の捏造どころか偽造や変造といってもおかしくはないと。
なお、この文書の改竄があった場合にも、既に法的な処分が行われる期限を過ぎている状況なので、情報漏洩あたりが残ることになるね。
しかし、虚偽の内容で国会質問して徒に時間を浪費することについて、犯罪を構成するような法律を作らないと、現状の改善は難しいのではないかな。
追記2
いやー、この記事で更に追記する事態になるとは。
小西筆頭幹事を更迭 憲法審巡る「サル」発言で―泉立民代表
2023年03月31日12時20分
立憲民主党の泉健太代表は31日の記者会見で、衆院憲法審査会を巡り「毎週開催はサルのやることだ」と発言した小西洋之参院議員について、参院憲法審筆頭幹事の職を更迭すると表明した。小西氏に厳重注意し、「行き過ぎた発言」を控えるよう求めたことも明らかにした。
時事通信より
お騒がせ議員の小西氏、参院憲法審筆頭幹事の職から更迭されることに。件の「サル」「蛮族」発言は、直接は高市氏の件には関係がない。関係ないんだが……。
立憲・小西氏「放送法違反で告発できる」 自身の発言報じたTV局に
2023年3月30日 21時00分
立憲民主党の小西洋之参院議員が、自身の発言を放送したフジテレビに対し、「放送法違反でBPO(放送倫理・番組向上機構)等に告発することが出来ます」などとツイッターで発信した。内容は放送局への圧力ともとられかねず、妥当性が問われそうだ。小西氏は国会審議で、放送法の政治的公平性の解釈をめぐり、政権を追及していた。
朝日新聞より
コレに関してテンパってしまったのか、小西氏、報道に対して圧力をかけるような発言をしちゃったんだよねぇ。
もともと、「サル」「蛮族」発言は、小西氏の認識で行くとオフレコ発言だったようなのだ。メディア側の主張は、「レコーダー向けていたんだから当然オンレコだ」というもので、「取材に来なかったじゃないか」という小西氏の難癖について、「いや、本人が目の前で発言したんだから、取材とかそういう話じゃないだろう」とやり返したようだ。
こういった流れの中で、「放送法違反で告発できるんだぞ」と、恐喝しちゃった。いやー、あなた、3月初めに何を主張したのよ。「高市氏が放送法の解釈を歪めた」という話してなかった?その中身が、1番組だけでも極端な偏向報道をしたら、問題視できるという話が、「報道全体でバランス採ればOK」という解釈に反するという話だったはずだ。
ところが、1月も経たないうちに、自分が望むような報道をしなければ、放送法違反で告発するぞと。そりゃねーんじゃないの?という話。
こんな芸人をいつまでも国会議員にしておくメリットがない。立憲民主党は、参院憲法審筆頭幹事の職から更迭するとしているんだけどさ、そんなヌルい処分で大丈夫?
コメント